EPOCALC's GARAGE

本州一下らない音楽レビューブログ

Waterloo Road/jason crest【1969】

超カルトバンドの超有名曲

Collected Works of Jason Crest

Collected Works of Jason Crest

  • アーティスト:Crest, Jason
  • 発売日: 2009/05/12
  • メディア: CD
 

 

この前ふざけてThe LambというThe1975の丸パクリをしてるんじゃないか?と話題だったバンドにスポットを当ててみた。

epocalcgarage.hatenablog.com

誰でも何かしらオマージュ元的なのはあるけれど、

もうちょっとオブラートに包むのが良かったと思います。(多分)

 

まあでも尊敬する楽曲にオマージュをすること自体はよくある話で、

オマージュ厳禁にしたら渋谷系の息の根が止まる。


…似すぎでは?

 でもこういうオマージュとかカバーとかで知る曲も多いよね。

 

オマージュ問題に巻き込まれないためには歌詞を変えてカバーする手をお勧めする。

たとえばSurfin’ USAはチャックベリーの歌詞変えカバー。

 

この手は面白くて楽なので多くのコミックバンドで使われる。

 

歌詞変えてないのにカバーの方が有名」という曲もある。

例えば有名なのはTwist&Shoutとか。

www.youtube.com

この曲はビートルズのイメージが染みに染みついているが、

よく思い出せばトップノーツの曲である。

というか、ビートルズ聴きすぎてトップノーツの方に違和感を感じる体になってしまった人も多いのでは?

どうしてくれるビートルズ

 

この前京都行ったとき回転寿司屋で何故かガンガンかかっていた「夏祭り」もそう。

夏祭り

夏祭り

  • ジッタリン・ジン
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 もともとはジッタリン・ジンというイカ天バンドの曲だったが、

 今はWhiteberryバージョンの方が有名。

…というか、誰だか知らんが太鼓の達人の曲だと皆思ってるでしょ?

ちょっと心が読めるんですよね、僕。もしかしてあなた辛いことある?

 

 

そしてカバーの方が有名な曲の最たるものがjason crestのWaterloo Roadだろう。

まず聴いてみてほしい。


Jason Crest - Waterloo Road

 

なんだか甘いメロディ、間奏に挟まる洒落た管楽器。

そう、これはかのオー・シャンゼリゼの原曲である。


Les Champs-Élysées(オー・シャンゼリゼ)/ダニエル・ビダル(歌詞付)

 

そもそもjason crestってだれ?というと、イギリスのサイケバンド。

現在はサイケのコンピにたまに顔を出す謎のカルトバンド的扱いだが、

当時はデビューしたは良いものの全く鳴かず飛ばずという感じだったようだ。

これはまずいな・・・と思ったプロデューサーは外部の作曲家に依頼。

で、できたのがこの曲だったというわけ。

 

この曲がたまたまイギリス旅行中のフランス人歌手の耳にとまり、

作詞家にフランス語Verを依頼しできたのがオーシャンゼリゼ。らしい。

 

ちなみに元々ウォータールー通りだったのがシャンゼリゼになっているのはローカライズの意味だけではなく

Waterlooがイギリスにフランスが負けた地・ワーテルローと同じつづりだからそうだ。

日本人にはそういう経験が少ないからかよく分からない感覚。

Fat Man」とかそういう感じだろうか。

 

そしてこれを吹き込むと大ヒット。全仏1位に輝いたそうだ。

その後の顛末は皆さんが良く知っている通り。

日本人でも空でフランス語で歌える人も珍しくないとんでもない有名曲になった。

 

そしてjason crestもウハウハ…ということにはならなかった。

残念ながら解散。結局アルバムも出さないままに終わってしまったらしい。

曲が評判になったのに売れずに終了なんて不運すぎる。

 

もっとも、先述の通りその後とあるコンピに取り上げられて局所的な人気を得、

稀に転がっているCDやレコードはかなり高価格で取引されている。

 

実際聴いてみるとjason crest、Waterloo Road的な曲は少ないものの実は結構良い曲が多い。例えばこれのB面もなんだか楽しい。

Education

Education

  • jason crest
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 カルトバンドになったのもなんだか納得。

全部サブスクにあるので是非是非聴いてみよう。

 

ちなみに、Waterloo Roadの作曲者のやっていたのはThe Four Penniesというバンドなのだが

四畳半フォークっぽく、Waterloo Road的な明るいサイケはほとんどない。

www.youtube.com

Waterloo Road的な曲が彼らから見つかりましたらご一報を。

ちなみに作詞者のやってたバンド"The Jugular Vein"はそもそも見当たりません。

こちらもご一報を。

 

 

 

 

 

銀界/山本邦山+菊地雅章【1971】

(定義上の)邦楽ジャズ

銀界

銀界

 

 

ジャズ、聞いてますか?

僕はそんなに聴いてません。ハイ。

なにぶん長い長い歴史があるので何から聴けばよいか分からず、

学校の近くのディスクユニオンの長いジャズの棚を行ったり来たりしては

結局買わないみたいな事態を何度となく繰り返している。

 

ただ、ジャズは商業音楽として成立しつつも前衛に行く一歩手前まで攻めるので

それなりに聞きやすいうえに前衛的で楽しい。

自由度も、ロックやポップスと同じかそれ以上に広いんじゃないかと思えてくる。

 

最近は例の80'sブームに乗っかりフュージョンも聴かれるようになったからか

あまりジャズに関係のない周りの人も結構フュージョンめいたのを聴いている。



こういうのね。この人は渡辺貞夫という日本を代表するサックス奏者。

この曲は中学の頃昼放送のOPに使ってた。

フュージョンは買い物を邪魔しないBGMとして使われることも多く、

よくある店内BGMとかもフュージョンに色濃い影響を受けている(らしい)。


ハードオフBGM 1080p 高音質

こういう歌詞がのりそうなメロディが日本のフュージョンの特徴。 

 

逆にかなり前衛的で買い物の手が止まるジャズもあり、

その中の一人として今回紹介するのは菊地雅章さんという方。

こちらも日本を代表するジャズ・ピアニストの一人だ。

 

菊地雅章さんといえばエレクトリック・ジャズ。

これは電子楽器を取り入れたジャズで、フュージョンの兄みたいなやつ。

かのマイルス・デイビスハービー・ハンコックなんかが得意とする。


特に初期はフリージャズっぽくて前衛的なモノが多い。

ハービー・ハンコック位になると大分穏やかになるけどね。

Rockit

Rockit

  • provided courtesy of iTunes

 

 

日本においては菊地さんのSusutoがエレクトリック・ジャズ名盤の誉れが高く

マイルスに「自分より俺の音楽を知っている」と言われたほど。

テロリロテロリロテロリロテロリロテロテロテロリーwwwww

 カッティングギターの上でぐるぐるしたキーボードが繰り返される。楽しいね。

菊地さんと言えばこういうイメージ。

 

この曲は日本のジャズのアンセムと化しているようで、

もう一人の菊地さん、菊池成孔もほぼ同じアレンジでこの曲をカバーしている。


DCPRG - Circle/Line~Hard Core Peace

 

でも、今回取り上げる銀界はこれとはベクトルが真逆。

なにせ銀界は伝統楽器・尺八を中心にしたアルバムなのだ。

なんだか古今亭志ん生が真面目に古典落語をやっているような不思議さがある。

 

一曲目から雰囲気が凄まじい。

www.youtube.com

最初は尺八が不在でジャズバンドが同じフレーズを繰り返すが、

この時点で十分「」の雰囲気が完成している。

そこに満を持して飛び込んでくる尺八もまた音が切り裂くようで凄いですネ。

この尺八はもう一人のクレジット、山本邦山さん。人間国宝である。ドヒャー

滋賀の生まれの方らしい。やはり京都に近いからか、江戸というより京の感じ。

 

 

でもこの曲は「」であり、二曲目からが本番。

www.youtube.com

 始まりは静謐そのものである。

最初は尺八のソロと思い出したように挟まるバンドの掛け合いで 

音を楽しむというよりかは、楽器と楽器の間の残響を楽しむような感じだ。

中盤は結構ジャズジャズしくなっており、

人間国宝を置いてきぼりにしてずんずん進むパートまである。

それでも決して「和」から離れない。

 

 

そしてジャケ写回収の曲「龍安寺の石庭」。


Stone Garden of Ryoan Temple

 頭の中で「龍安寺の石庭は京都東山文化の最高傑作で・・・」の様な文を任意のナレーターに読ませよう。

もう龍安寺で延々と流れているようなビデオになるよ!

以前ここの枯山水を一回見に行ったことがあるのだが、

写真で見るほど大きなものではない。

それ故に岩の大きさとか壁の傷跡とかが素朴な白石に映えていた気がした。

この曲も、飾り気のない尺八と派手な西洋楽器との対比が打ち出された曲で

なんだか似た構造を感じるぞ!

 

 

概して日本風といわれる音楽はヨナ抜きを使えど若干「中華」の気が入るものだが

このアルバムは初めから終わりまであくまで純和風、そして京風を保っているのが凄い。

似たように中華じゃない和風テイスト音楽に新月があるが、

あれは本人たちもよく分かってない手法で和のテイストを出している。



これを意図してやっちゃうのがジャズマンの凄さである。

もののブログによるとヨナ抜きの陰旋法らしいが、

それだけでここまで行けるものだろうか。凄いね。

 

そしてこのアルバムで大々的に伝統音楽を意識して曲を作った菊地さんが

あのテロリロテロリロテロリロテロリロテロリーに行くのだから面白い。

電子音楽と伝統音楽は意外と近い位置にあるよ!という話はあらゆるジャンルで聞くけれど

ジャズでの例が菊池さんなのかもしれないね。

 


山本邦山 - 銀界

 

SO WHAT!?/tofubeats feat.仮谷せいら【2013】

海月ねう~これ歌って~


02. SO WHAT!? feat.仮谷せいら/Seira Kariya (from album "tofubeats - lost decade")

 

最近、久々にVRにハマっている。

実は僕結構なVR古参ファンで

のらきゃっとのニコ動時代を知っているし、

今や伝説と化した月ノ美兎の初回放送も見ていた。

 

初期Vtuberは、不安定・未熟な技術面やUnity演算を逆にネタにする動画、

ロールプレイングするときに出てくる綻び、

3Dモデルであることを生かした自由奔放なパロディやギャグなど、

そのガバガバ具合・可愛いキャラに不似合いな狂気が面白くてウケていたのだが、

(それ故Live2Dによる安定配信のにじさんじは評価がそこまで高くはなかった)

現在はそのような不安定さは解消し、

Vtuberはただの実況者や解説動画と変わらなくなっているので

なんだかなあと思い、見なくなって久しい。

あの役割は今はのばまん氏が担っている気がする。

実験精神と狂気具合がまさに初期Vそのもの。

 

 

そんな僕が何故今再びハマったかというと。

いつも以上のことを特に何もしないお上さんから外出すんなと言われ、

外に一歩でも出たら"Everybody must get stoned!"と自粛警察の投石を食らい、

それを止めるキリストも復活後いつのまにか行方くらまししたので

外に出ないzoomによるコミュニケーションが増えた。

その中で何かふざけられないか、と思い立ち、

VR化してZOOM通話するという、

誰もが思いついただろうが最後の良心でやってないことをやろうとしたからだ。

で、調べていく中で最近のVtuber事情もちょっと見えてきた。

 

僕の一番好きな(だった)Vtuber海月ねう氏である。 

 

最初期はクラゲの一枚絵(しかもほぼ動かない)という中々狂った人で、

ギャグセンスも創作力も高く、心のVtuberベストテン第一位はこの人だった。

最近僕はパクチーを見て未来を思いますね。

 

今はVtuberをやめてをとはと名前を変え、

ほとんど楽家として活動しているようだ。

 (海月ねうはキャラクター名になった模様。)

このチャレンジャー精神こそ初期Vのそれ。

 

さらに調べていくとこの人、トラックメイカーシーンに最近は結構近いようで、

Neko Hackerが曲でフィーチャリングしたりしている。

 

また、昨今のトラックメイカーよろしく度々カバーを出しており、

その中にはYMOの君に胸キュソ胸キュンも含まれる。

 

いずれ名前に引っ掛けてNEU!もやってもらいたいものだが、

彼女に是非是非カバーしてほしいのがこのSo What!?だ。

 

この曲は今や名盤の誉れが高く、
中古で売っていたら4000円近くするtofubeatsLost Decadeに入っているシロモノ。

 

lost decade

lost decade

  • アーティスト:tofubeats
  • 発売日: 2013/04/24
  • メディア: CD
 

もっとも、サンクラで全部聴けるけどね!

 

 

 このアルバムにはかの有名な「水星」も入っているのだが、

コレを初めて聞いたときそれ以上に印象に残ったのがSo What!?だった。

 

So Whatといえば、皆様の頭の中にはシブくてカッコいいおじさんがトランペットを吹いている、

かの名盤のジャケットが浮かんでいるはずだ。

 


Miles Davis - So What (Official Video)

マイルスって唾抜く所作がめっちゃかっこいいよね。

それはともかく、So Whatといえば抑圧されていた黒人の叫びとも評される、

この動画のマイルスの目を見れば分かるような

美しいがなんだかおどろどろしいジャズ、というイメージのはずだ。

こういう曲好き。

 

で、それとほとんど同じ題をtofubeatsがつけた曲が
いえーい!ふーふー!

これなのである。そーわそわそーなのである。

90年代風の、ちょっと浮かれてちょっとダサい、

そしてとてもポップな恋愛ソングにつけているのだ。

こういう曲も好き。

 

このタイトルにこの曲は非常に衝撃的だった。

「厳翔」という名の店でかわいいパフェが出てきたような感じ。

 そして何よりSo Whatをもじった「そーわそわそー」である。

もうこのフレーズが頭の中ぐるぐるである。

 

道行く日本人全員マイルスのように命懸けの目をしていないかと。

音楽くらい少しぐらい浮かれてはどうなのでしょうかと。

tofubeats様はそう仰せなのでしょう。はい。

 

 

この浮かれ具合と言い、かわいらしさといい、

海月ねう氏にぴったりだなあと思っていたんですが、いかがでしょう。

 もう1ファンとして是非歌ってほしいですけどね。

あれか。UTAU作って歌わせるか。

 

bowlroll.net

とか思ってたら本人がUTAU作ってた。行動力の化身。

 

 

 

soundcloud.com

 

Pet Sounds/The Beach Boys【1966】

名盤(諸説あり)

Pet Sounds (Original Mono & Stereo Mix Versions)

Pet Sounds (Original Mono & Stereo Mix Versions)

  • 発売日: 2001/02/05
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

何度か他の記事内でも言っているが、

このブログは脱R論というブログに多大なる影響を受けている。

drr.hateblo.jp

取り上げている音楽は広範にわたり、

文体も硬くなく、かといってチャラくもないので

私的お気に入りブログランキング一位に万年降臨する。

ニコ動的なシステムがあれば、もっと評価されるべきのタグをすべての記事につけたいくらいだ。

 

しかし去年か一昨年くらいに管理人さんが癌になってしまい

それ以降、少々ブログから離れ気味の様子。

記事内に有頂天の「君はGANなのだ」とか貼ってたので意外と大丈夫かなと思っていたのだが

去年の大晦日以来全く音沙汰がなく、とても不安に思っている。

早く元気になっていつものキレキレの記事を書いてくださいね。

 

 

で、この脱R論で度々上がる話題に「Pet Sounds分からねえ」というのがある。

drr.hateblo.jp

上のレビュー記事でも、明確に苦手と言っている。

なんでも超の付く名盤というよりかは微の付く妙盤らしい。

この言い回し、脱R論かこのブログ以外の音楽ブログじゃ絶対出てこないね。

 

大丈夫。こういう人、一つの市町村作れる位いるのだ。

かの村上春樹も「最初聴いたとき、そこまで衝撃を受けなかった」という話をしているし、

当時の反応もいつもに比べるとあまり良くなかったらしい。

(それでもラジオで強制ヘビロテし、リスナーを洗脳したそうな。)

しかし評論では絶対的な名盤でRYMでもRolling Stoneでも高順位。

 

その二極化した評価故にいいね!と言えば「権威に目がくらんでいる!」言われるし

駄目ね、といえば「全然げーじつを理解できてないね!」と言われる、

どういうコメントを言えば良いかわからんアルバムの一つでもある。

 

この記事ではじめて触れる人もいるだろうから、

The Beach Boysについてサクッと解説しておこう。

 

彼らはアメリカのロックバンドで、The Beatlesより古株。

今なおいるので、現存する最も古いバンドの一つでもある。

音楽性的にはサーフィン&ホットロッドという、

一言でいえば青春の夏!!!みたいなイメージの人たちだ。

Fun, Fun, Fun

Fun, Fun, Fun

  • provided courtesy of iTunes

 特徴は何といってもそのコーラスワーク

合唱風の対位法的で複雑なハモリがかなり耳につく。

また曲作りも一見素直に見えて異様で

二小節だけ転調するみたいなことが頻繁に起こる。

それもこれも中心人物ブライアン・ウィルソンによるもの。

彼らのフォロワーは特に日本に多く、大瀧詠一山下達郎細野晴臣も、

はてはCorneliusもフォロワーといって差し支えない。

海外だとクラフトワークとかもそうらしい。

まあサブカル御用達のバンドだ。

 

 

The Beach Boysはさっき言った夏!!のイメージであったものの、

The Beatlesアメリカでも売れ始めると彼らを超えるために色々試行錯誤をしはじめる。

しかしThe Beatlesはそれを簡単にいとも超えていく一方で、

どう頑張っても超えられないよ状態になったウィルソン氏は病んでいき、

結果できたのがPet Sounds

無駄にRTを稼ぐことに終始するTwitterの偽メンヘラ垢にもこの病みっぷりを見習ってほしい。

 

 

一曲目のWouldn't It Be Niceがこのアルバムで一番素直。

Wouldn't It Be Nice

Wouldn't It Be Nice

  • provided courtesy of iTunes

いつもの彼らのコーラスであるのだが、どうも暗い。

なんだか夏というより初秋の風がする曲である。

このアルバム、通しでこんな雰囲気だが、

それは恐らくウォール・オブ・サウンドを取り入れたからだろう。

フィル・スペクターがやったという、リヴァーブマシマシのアレである。

Be My Baby

Be My Baby

  • provided courtesy of iTunes

イギリス出身の奴らを超えるにはアメリカの技を使うしかないと思ったのか。

 

邦題は「素敵じゃないか」なのだが、 

皆さんご察しの通り原題は仮定法なので、

正確には「素敵だっただろうね」が良いはず。

多分それだとちょっとアレなのだろう。

一回仮定法で歌詞全訳したことがあるのだが、かなり絶望的になった。ヤンデルネー

 

 一時期はやった陽だまりの彼女で取り上げられたので

陽の者にとりあえずBeach Boys勧めるときにはこの曲を使おう。

 

 

陰の者はGod Only Knows好きなのが相場だ。

God Only Knows

God Only Knows

  • provided courtesy of iTunes

 コーラス少ねー!

その代わりにかなり充実している後ろのホーン隊。

ほとんどバンド関係なくなっているがゆえ、

ブライアン・ウィルソンのソロと言われることもままある。

後から入ってくるコーラスも輪唱のようで不思議な感じ。

フリッパーズ無許可サンプリングしたことでも有名だね。

 

 玄人好みなのがCaroline, No

Caroline, No

Caroline, No

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かなーりスローテンポな一曲。これまたコーラスが少ない。

 こういう緩い曲が多いので、Pet Soundsは硬派なロックを好む人に受けが悪い印象。

でもこんな雰囲気、最近のシティポップ的なものに多い気がする。サックスの感じとか。

 

 

まあ、聴いてもらった感じで分かると思うが

賛否両論あるのもなんかわかるアルバムである。

 

この後、これに触発されたBeatles例のサージェント・なんだか・かんだかを発表。

  これは正直過大評価臭いな~と思っていたが、

レコードで聴いたら分かった。めっちゃ音良いわ。

丁寧な音作りというのがPet Soundsに通じるのかもね。

 

当時からこのサージェント・うんぬん・かんぬんは評価され、

後の「アルバム一枚で一作品」の理念を生み出したマイルストーンであるね。

 

さて問題は、これを聴いた米ロック界のヤンデレ*1ブライアン・ウィルソンの体調である。

案の定正気を保つことができず、次なるアルバムSmileで同じパートを複数曲に出すという

クラシックの交響曲を応用した手法で曲作りをすることにした。

だが結局あまりに複雑すぎて(本当に)発狂し、頓挫してしまう。

ちなみにそのアルバム中に入るはずだったのが、かの有名なGood Vibrations。

 

Good Vibrations

Good Vibrations

  • provided courtesy of iTunes

 正直Beatles越えしている気がしてならない曲である。

この曲を聴くとサビでAメロがハモるような構造になっていたり

全く毛色の違うパートが差し込まれていたりと

なんだかクラシック的なことをガンガンやっている。もはやプログレ

 

 

Smileは長らく封印状態だったが、

21世紀になってから実際に蔵出しされた。

正直万人受けしそうだし、色々面白いことやっているし、コーラスもあるし、

ちゃんと発売できていればPet Sounds越えしていた気がしてならない。

というかPet SoundsはSmileのための布石であって、

結局家が建たなかったので土台を有難がっているような感じがする。

だから賛否入り乱れるのだろう。

 

 

 

これは僕の個人的な見解に過ぎないのだが、

なんかね、Pet Soundsって人生追い込まれた時に聴くと良いと思うヨ。

僕の場合は受験失敗を含め数多の災難が一気に来た時があり、

その時「ああ、めっちゃ良いな・・・」と思いつつ一人公園で泣きながら聴いた覚えがある。 

それ以降大好きなアルバムなのですよ。うん。

 


The Beach Boys - Wouldn't It Be Nice (Original Video)

*1:英ロック界はシド・バレット

Marooned/Larry Lee【1982】

ドライブしながら聴きましょう

Marooned by Larry Lee

Marooned by Larry Lee

 

 

”Big In Japan”という言葉があるそうだ。

 日本でだけやたら流行る洋楽音楽家のことを指すらしく、

若干揶揄の意味が込められている。

ja.wikipedia.org

 

この中にはランナウェイズイアン・ギラン・バンドなんかが入るらしい。


The Runaways - Cherry Bomb

 

色々聞いてみたが、なんかちょうどそのころ日本で似たような音楽が流行っているときに

海外で偶々似たようなことをやっている人が売れるような気がする。

 

また、メロディが分かりやすいものも売れやすい気もする。

プログレだとELPなんかも割と他の地域より売れてたようだ。

 この手のインスト主体のバンドが日本では意外と売れるらしい。

ベンチャーズの続き、YMOの前という系譜かもしれないね。

 

で、今回紹介するLarry LeeのMaroonedもBig In Japanの一つ。

日本でやたらめったら見かけるが、本国ではどマイナーアルバムである。

 

Larry Leeはカントリーバンド、The Ozark Mountain Daredevilsのドラマーで中心人物だったらしい。

Jackie Blue

Jackie Blue

  • オザーク・マウンテン・デアデヴィルス
  • ロック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

 

ドラマーがリーダー格というのも珍しい気がする。

プロデューサーはかのイーグルスの担当でもあったようで、

それ故にそこそこの人気はあったらしい。

 

またカントリーといえど都会的な曲が多いのも特徴。

If I Only Knew

If I Only Knew

  • オザーク・マウンテン・デアデヴィルス
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

AORを先取りしていた、なんて言われることもある。

Maroonedはそんな都会的な面が前面に出たようなアルバムである。

 

一曲目からもう飛ばしていっている。

 


Larry Lee - Waiting To Let Go

全然カントリーじゃねえ。

ウォールオブサウンドを彷彿とさせるわしゃわしゃ感と

メロやギターの爽やかさが合いまって

君は天然色」の様な突き抜けっぷりである。

日本の夏もこういうからっとした感じだったらよかったのになんて思ってしまうネ。

 

一番有名なのはシングルにもなった"Don't Talk"

 


Don't Talk Larry Lee

 引き続き爽やかウォールオブサウンド

そしてここでは歌詞に"A Long Vacation"というワードが出てきており、

100匹目の猿現象が起こっている。

 

AORのコンピにもよく入っているのだが、

AORというとスティーリー・ダンだとかクリストファー・クロスだとか、

落ち着いて洗練された曲が多いので、

底抜けに明るいアメリカンポップス風のこの曲は

大抵コンピの中で洒落たバーにアロハシャツで入っちゃった人みたいになっている。

 

 

 

このアルバムの凄いところは捨て曲が一切ないところ。

この調子でずーーっと続いていく。

 
Larry Lee - Marooned

ちなみに、レコーディングメンバーがかなり錚々たる顔ぶれ

Chcagoのビル・チャンプリン、TOTOデヴィッド・ハンゲイト、The Bandのリック・ダンコ、

The BeatlesThe Whoでピアノを弾くニッキー・ホフキンスまでいる。

これだけ集まって全米80位代だったそうだ。何故だ。

しかし日本ではシティポップに音楽性が近しいことに加え映画で使われたこともあり、

かなーり売れたらしい。

まさにBig In Japanである。

 

そしてこのアルバムの独特な点はその商法にもある。

まず鈴木英人のジャケが爽やかだが、じつはコレ差し替え

差し替え前はLarry Lee本人が微笑みながらこちらを見るというもの。

 

 

f:id:EPOCALC:20200601164559j:plain

 

中身AORなのにジャケだけカントリーである。

さすがにこれでは売れないと思ったらしい。

 

さらにアルバム名まで変えた。

その名も「ロンリー・フリーウェイ」。

f:id:EPOCALC:20200601164912j:plain

Maroonedの一言も入っていない

というか鈴木英人だけ見て決めたと思わしきアルバム名だ。

さらに、シングル曲Don't Talkの題を"ロンリー・フリーウェイ"と変更。

もう何の跡形もない。

この手のジャケ変更はAORによくあることなのだが、

その中でも特にひどい例としてこのアルバムが挙げられる。

 

最後にこのアルバムの帯文句で締めくくろうと思う。

 

 

フリーウェイを駆けぬける真紅なキャディ、、まぶしい午後の乾いた心・・・。
気ままにアクセルを踏み、ラジオのボリュームをめいっぱい上げる。

音が流れ、青空にとけ込んでいく。なぜか淋しげ、ひとりぼっちのフリーウェイ。

 

 

ダッセ~!!!

 


Larry Lee - Number One Girl (1982)

ⒸEPOCALC