EPOCALC's GARAGE

本州一下らない音楽レビューブログ

MKWAJU/Mkwaju Ensemble【1981】

ジブリではない。

 

ムクワジュ・ファースト MKWAJU
 

 

年末の金曜ロードショーがお馴染み風の谷のナウシカらしい。

news.livedoor.com

「またジブリか」「もっと芸がないのか」「映写機のおじさんを返せ」「ムカデ人間やれ」など市井からは文句と不平の声が多く上がるが、

マスクがないと生きられないほど汚染された世界を描くこの作品は2020年の締めくくりに最もふさわしいかもしれない。

 

 

さて、この映画に限らず、ジブリ映画の丁寧な描写に欠かせないのは久石譲の音楽であろう。

僕は他のアニメ映画とジブリとを隔てているものは彼の音楽と言っていいんじゃないかとも思っている。

www.youtube.com

指揮からシームレスにピアノ演奏に移るの凄い。

ナウシカを観たことある方なら、この曲を聴いただけで映画のシーンが脳内再生されるはず。

シリアスでありながらも少し愛らしさがある作風が宮崎駿の映像と同質なのだろうね。

 

この手の音楽に与えた影響は計り知れなく、

こういう幽玄なクラシック的でありつつ、現代的な感性を併せ持った曲はひとまとめにジブリと言われるほど。

何せPenguin Cafe Orchestraジブリ風と呼ばれている文を見たことがある。

逆逆!!順序逆!!!


penguin cafe orchestra

 

ただ、これをはじめとしたジブリ関連の仕事であまりにも知られすぎているため、

久石譲というと、ああはいはいジブリの人ね、という感じで捉えられるし、

久石譲は単なる映画音楽家ということで音楽ファンからも一蹴されている感がある。

 

 

それは勿体ない!

というわけで今回取り上げるのは久石譲初期に組んでいたバンドMkwaju Ensembleじゃ!!

 

例にもれず、久石譲は子供の頃からヴァイオリンを習っていたらしい。

 へえ、そうなんだぁとか思っていると先生が鈴木鎮一*1だったらしくビビる。やはり偉人の人生は初手から違う。

結構ヴァイオリンもうまくなったそうなのだが、演奏よりも作曲の方に持ち始め

中学生の頃には既に作曲家を志していたそうだ。早えーー 

ただボッチで周りにベースやドラムを弾ける友人がいなかった為バンドができず

結果として現代音楽サイドへと転がっていくことになる。 

 

音大に入った後のある日、友人からあるレコードを貸してもらう。

それがかの有名なテリー・ライリーのA Rainbow in Curved Air

A Rainbow in Curved Air, for electric piano, dumbak & tambourines

A Rainbow in Curved Air, for electric piano, dumbak & tambourines

  • テリー・ライリー
  • クラシック
  • provided courtesy of iTunes

それまで武満徹シュトックハウゼンのようないかにもな現代音楽を聴いていた久石氏だったが、このアルバムに衝撃をうけ悩んだ末ミニマル音楽家に転向

この決定が後々にも大きな影響を及ぼす。

 

そのミニマルにハマっていたころの久石譲の代表的な作品が今回紹介するMkwaju

多くの人が「存在は知っているけど実際聴いたことはない」と言う久石譲のミニマルアルバムである。

 

演奏者名であるMkwaju Ensemble久石譲が組んでいた打楽器バンド。

メンバーは全員ベルリンフィルの楽団員である上に

このアルバムにはコンピュータプログラミング要員として松武秀樹がいる。またお前か。

 

A面はライヒのように組曲構成になっている。そんな一曲目は表題曲Mkwaju


mkwaju ensemble - mkwaju

いえええい!!ミニマルだあああ!!!!Hoooo!!!

概してミニマルというのはその曲の構成上、機械的になりがちといわれる。

が、このアルバムで久石譲氏が取り上げたのはアフリカのリズム*2

先の松武氏のプログラムしたドラムに加え人力のドラムもいるらしく

その2つからなるドラム隊が独特のグルーヴ感を出していてかなり人間的である。

この手法は最近だと東京塩麹に受け継がれているのかもしれない。

 

ふてぶて都市

ふてぶて都市

  • 東京塩麹
  • ジャズ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

この「18人の音楽家のための音楽」をアフリカンにしたようなこの組曲は現在では日本でもっとも初期のミニマルミュージックの好例として挙げられ、今でもよく演奏されるそうだ。


Mkwaju Ensemble - "Shak Shak"

ところでさっきからマリンバの残響が歪んでいるが、これはパイプに穴があけられ、そこに紙が貼ってある特殊なマリンバミトラ・マリンバというらしい。

この前衛的な楽器のおかげで、現代音楽ともポップスともつかない、不思議なこのアルバムの性格がより濃くなっている気がする。

 

B面はアンビエントな作風へチェンジ。


Mkwaju Ensemble - MKWAJU - Pulse In My Mind (1981)

これの作曲にはなんと乱数表をつかったということ。

ただ、偶然の音楽というよりは構成をしゃんとさせるために使ったらしい。いいね。

東アジアの空気感がほんのりと漂い、やや湿った感じの雰囲気。

まさにジブリ映画で夜や洞窟等のシーンに流れてそうな曲で、なんだか今我々が思う久石譲に一番近い気がする。

 

 

最後にドラムアンサンブルで締めておしまい。


Mkwaju Ensemble – Flash-Back (COCO-7764)

アフリカの民族音楽をミニマルで再解釈したような雰囲気。

確かにClapping Musicってアフリカ音楽っぽいな...と気づかされる。

そもそも、アフリカ音楽に最初に注目して評価を得たのはこのアルバムの前年に出たTalking HeadsのRemain In Lightであろうことを考えると、

このアルバムのコンセプト自体かなり先進的なものだったに違いない。

 

 

さてこのアルバムを出した後、久石譲はあることに気づく。

 

超前衛音楽なのに、それをやっている人たちは前衛的な新しい思考を持っていなかったからなんです。

それで”こういう状況からは、絶対新しいものは生まれない”と思っちゃったんですよ。

それでフッと横を見たら、ロキシー・ミュージックからはブライアン・イーノが出てきて、で、クラフトワークもいてという状況になっていたわけですよ。

彼らはロックをベースにして登りつめてきてミニマル的なことをやってて、僕は現代音楽のほうからきてミニマルをやってたんだけど、両者のやっている内容はそんなに違わなかったんですよ。

それなら飛んじゃったほうがいいやと思って。ポップスというフィールドがすごく新鮮に見えたんですよ。

ポップスの世界に行ったほうが、よりアヴァンギャルドなことができると思ったんです。

 

「キーボードスペシャル 1994年2月号 NO.109」より抜粋

 

そう、クラシックよりポップスの方が前衛ではないかと思い始めたのだ。

 

その後、JAPANレーベル*3からソロ作品を出したのち、ある映画の劇伴制作にお呼びがかかる。

そう、それこそが風の谷のナウシカである。

それでは最初のYoutubeを見返してみましょう。

www.youtube.com

よくよく聞くと、字幕くんが解説している通り、確かにミニマルミュージック的な動きをしている曲があったりアンビエントを彷彿とさせる曲があったりする。

ポップスに転向した後も久石譲ミニマル、前衛の精神を忘れていないのだ。

 

 

以降、ちょくちょくミニマルのアルバムを作っている。

その名も「ミニマリズム」。

DA・MA・SHI・絵

DA・MA・SHI・絵

  • provided courtesy of iTunes

 確かにミニマルだが、ポップスで培ったの歌心も忘れていない作品。

こちらも是非。

 

ちなみに大学時代はクセナキスも好きだったらしい。意外。

 

 


久石譲がマックのポテトを揚げている時に流れている曲

(これが久石譲っぽくなるのもミニマルが根底にあるからかもね。)

*1:音楽教育で超有名な人。昔行っていたヤマハのピアノの先生が使っていた教本がこの人のヤツだった

*2:そもそもMkwajuというのは、ある樹の種類を指すアフリカの言葉らしい。

*3:P-MODELムーンライダース矢野顕子と前衛な人が多かったのでここに契約したらしい

MOZAIC MAGAZINE様に寄稿させていただきました。

ヨコザワカイト様の運営されているMOZAIC MAGAZINE寄稿させていただきました!

初寄稿ということで気合を入れるべく、早稲田祭で無制限に配っていたZONe2本を使って書きました。

他記事も併せて是非お読みください。

 

またEPOCALCは寄稿依頼をどしどし募集中です。

どのくらいどしどしかと言うと自分で仕事もらいに行くくらいどしどしです。

お気軽にTwitterのDMまでどうぞ。

 

 

 

存在しない名盤DIG!!!!

註:存在しません。


ゆらゆら帝国 無い!!

 

そして時は2020。世は大名盤時代....

数多の「名盤ランキング」が跳梁跋扈し

そして「名盤選」が乱立、しのぎを削っていた...

 

 

...とまあ、最近のネット上の音楽界隈はずっとこんな調子である。

JMX氏のランキング以降、それから溢れてしまった名盤を拾い上げる作業がずっと続いている感じだ。

 

とはいっても、名盤のメンツが固定化されつつある昨今、

 しばらく前から俗流アンビエントのように今まで見向きもされなかった名盤を探す人々が一定数おり、

いかにして新風を名盤界に巻き起こすかというのは現代社会の命題である。

しかし、発売された音楽が有限である以上、名盤にも限界が存在し、

このままでは数十年で名盤は地球上から枯渇すると言われています。

 

 

 ここでEPOCALCからの新提案

皆が実際にあればな...という名盤を出し合ってはどうだろうか!?

 つまり「存在しない名盤」である。

存在しない名盤は音楽ファンの数だけ存在するうえ、好き勝手なことを言えるため

持続可能な名盤として注目されること間違いなしだ。

 

というわけでネット上の人間関係...ではなく存在しない名盤について調査することにした。

 

というわけで今回は、

皆の「おれのかんがえたさいきょうのめいばん」を見てみよう!という記事です。

 

実施方法

Twitterでこんな風に呼びかけてみた。

 

 

洋邦問わないどころか地球外もOK、

ただし実在してはいけないという前代未聞の名盤募集をかけた。

するとどうだろうか、意外なほど注目を集め、

結構いろいろな人のもとに届いたようだ。

ただあまりに短期間に広まったせいですでにオワコン扱いされている気がするが、まあ仕方がない。

 

その中でも僕が好きだったのもをピックアップしてご紹介したい。

 

 存在しなくても強いレジェンドたちのアルバム

やはり普通の名盤選でも強い人、常日頃から人気な人は存在しない名盤でも強い。 

その中から秀逸のなのをいくつか。

ちなみに、この手のものはほとんどが違う世界線の名盤であった。

やはり平行世界でも人気なのだろうか。

さよならアメリカ、さよならニッポン/はっぴいえんど

 

はっぴいえんどのメンバーがソロをやらなかった世界線での3rd。

各々のソロ1st+本当の3rdという構成。確かにこれは名盤。

ただ、これらから集めたとなると大分ファンキーなアルバムになる気がする。

今頃邦楽はファンク系のリズム一色になっていたかもしれない。

 

 HOME/フジファブリック

志村さんが生きていた世界線でのフジファブリックのアルバム。

確かに志村さんが東日本大震災を経験していたらどんなアルバムになっていたかかなり気になる所。 

東日本大震災のアルバムと言うとceroのMy Lost Cityなんかが思い当たるが、

シティポップだけではなく、邦ロック視点からのアルバムも欲しかったね...

なんだか想像するだけで悲しくなるからやめだやめ!

 

Metallica/Five

 

本当の5thは有名なブラック・アルバムだが、

何を思ったかそうではなくミックスをリスナー側でやれと要請する珍盤

これね、たぶん当時のグランジHR/HM勢とかから猛烈に批判されたけれど

五年後くらいに全然ジャンルの違うクラブミュージックや前衛ロックに再評価されたタイプの名盤だよね。*1

ドラムのレコードがサンプリングされまくる未来が見える。 

あとVektroidがボーカルのレコードを遅回しにしてトラックに重ねるとかしそう。

 

 

皆夢見るコラボレーション

実現は難しいけど、皆が待ち望むコラボは存在しない名盤の醍醐味だ。

実現できないんであれば妄想してまえ。音楽に限らず、全てのヲタクが通る道である。

 

 奇跡のしゃぼん玉/桑田佳祐&長渕剛 

 

 長渕剛桑田佳祐がコラボ。

この二人と言えば確執があることで有名で、もっとも有名な共演NGの一組だろう。

実際、このツイートでも挙げられている2014年の紅白のスタッフは

この二人を同時に写さないように苦心したそうだ。

 でも、妄想であればいくらでもコラボ可能。こんな危険な盤だって作れるぜ!

Pがマキタスポーツなのも良い。多分レコ中たまにスージー鈴木が遊びに来ている。

 

OUR SORAMIMI/向井秀徳タモリ

 向井秀徳タモリというありそうでなかった組み合わせ。

 この二人が手を組めば、最強のコミックアルバムがいとも簡単に作られてしまう予感がする。

個人的な希望としてはタモリ3の曲のいくつかをクリアランス取って再演してほしい。

ついでに透明少女を「ボッサ風」「シャンソン」「中華風」3通りでハナモゲラしてほしい。

 

 duet / キース・ジャレット舘野泉

今回来たもので一番泣ける。

先日半身マヒで復帰が絶望的との報が界隈をざわつかせたピアニストキース・ジャレット

日本の誇る左手ピアニストの名手舘野泉氏とのコラボ。

いや、これ本当に実現してほしいね。 

舘野氏自身、半身不随になって絶望しつつも左手ピアニストとなった経歴の持ち主であるので

彼のようにキース・ジャレット氏も右手ピアニストとして活躍するきっかけになってほしい。

これ出たら絶対買う。

 

 Flippers Guitar 4/小沢健二+小山田圭吾

ロリポップソニックフリッパーズ・ギターの二人が合流。

Pointのころにかつての盟友二人、しかもミニマムミュージックということでどこかSketch Showを思い出す。

本当に発売されていたら恐らく比較されたことだろう。

このツイートへの引用RTで秀逸なものが。

 

 

実際に企画された世界からのツイート。

なるほど、毎日の環境学ってそういうアルバムだったのかあ、

と一瞬納得しかけてしまった。危ない危ない。

現実と虚構の交差をこのハッシュタグに一番望んていて、それが見事に体現されていたツイート。最高。 

存在しないライブとともに現れるライブ盤 

今回意外とライブ盤も来た。

なにせ一番最初に来たのがライブ盤。 

 それがこれ。

 Live at Tokyo Rocks 2013/Blur 

Blurの来日記念盤。

ここでOasisをカバーしたという、前項のおいしいコラボの要素も入っていて贅沢。*2

そしてライブ盤の大きな特徴はアルバムだけではなくライブまでもでっち上げられる点。 

Rocks Tokyoは2012年までなのでそもそもそんなフェスはない。

もしやっていたらsuchmosとか出てたのだろうか。気になる。

 

 Live at Moon, Literally/Frank Sinatra

 本当にFly Me to the Moonされたシナトラのライブ盤。

そしてアポロ絡みのお約束でオカルトオタクへの格好の餌になってしまったらしい。

多分、50周年盤にはシナトラが国旗の横に立って宇宙服姿で歌う特典映像が入っているのだろう。 

こういうギャグ名盤に走るのも一興。

 

解像度高いけど、全て虚構

 お待たせいたしました。今回のメインディッシュ。

全てでっち上げの噓っぱちアルバム!

 

 ミラー ミラー ミラー/北川奈津子

 え、「いる」じゃん。

 この芸名の感じと言い、時代感といい、

昭和の名曲100の片隅にいる人の隠れ名作の雰囲気をしっかりと漂わせている。

CD選書が中古1,500円くらいするけれど最近1,000円名盤で再発された感じのアルバムだ。

これ、人だけは本当なのかなと思ったけどそんなアイドルさえいなかった。全ては幻。

 

 Madam Yann’s Beat Classics Vol.1

 オザケン+Corneliusのアルバムに素晴らしい引用RTをしてた人が挙げたのがこれ。

大滝詠一ゴダイゴに続くCMソングの名盤だ。

 なるほど、テクノのハウスの語源はハウス食品だったのか...

と危ない危ない。また納得してしまった。民明書房「音楽の歴史」はsosaidkayさんが執筆すべきだろう。

ちなみに、実際これのCMの曲はテクノ風らしい。へえ。

 

Dakes/THE GYDEROLL 

 

今回のMVP。

曲込みで存在しない名盤を作っている人がおり、その人が「見つけた」名盤。 

 なんか普通にJoy Divisionと一緒に紹介されてそうな佇まいである。

この世には色んな凄い人がいるものですね....

 

 

 

 

 

今回やって意外だったのはアニメやゲームを下敷きにした盤がなかったこと。

僕のTL上の音楽好きはアイマスなどのゲーム好きな方が多く、

アイドルが作中世界で出したアルバムとか何枚か来るだろな...と思っていたらなんと0

ちょっとビックリした。そういうのは解釈違いとか起こして良くないのだろうか。

映画や小説をネタにしていたJMX氏を見習ってほしい。

 解釈違いが起こりようがないって?それは禁句。

 

 

ここで紹介できなかったものの中にも秀逸なものが結構あるので

もっと見たい方は#存在しない名盤で検索検索!

また、ある程度皆さんが呟けばまた記事にするので気が向いたら是非。

ではまた。

 

なぜ世界は存在しないのか (講談社選書メチエ)

なぜ世界は存在しないのか (講談社選書メチエ)

 

 

*1:実際、四枚同時再生で成立するアルバムをフレーミングリップスが出してた

*2:調べてみたら実際BlurがWhateverのカバーをしているらしい。ファンには有名なのか。

この前選んだ洋楽30選小レビュー

空前のランキングブームの波に乗れ!

THE洋楽コレクション100 2010~2019 Vol.2

THE洋楽コレクション100 2010~2019 Vol.2

  • 発売日: 2019/06/05
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

先日あった邦楽100選以来ネット上では様々なランキングや名盤関連のハッシュタグが飛び交っている。

例えば、#オールタイムベストエモだとか#過小評価されてると思う私的に最高な邦楽アルバム10選だとか。

 

 

こうなってくると一種の社会現象と呼べるものになってきた。*1

今年の流行語は「コロナ禍」「鬼滅の刃」「名盤ランキング」の三つ巴に違いない。

 

さてそんな中で一番にのっかったのはModern Age氏の #みんなが選ぶ洋楽オールタイムベストアルバム100_In2020だろう。

ただ、最初は英米オンリーとのことだったのでユーロロックやボッサ好きの僕は参加を控えようかな...と思っていたが、

すぐにルール変更。日本以外全部という筒井康隆並の太っ腹になったのですぐに参加した。 

 今回は邦楽に引き続き洋楽の方の僕の選盤を紹介させていただきます。

正直に言うとあんまし洋楽しらないんだけどね... 

 

30位 Trout Mask Replica-Captain Beefheart&The Magic Band

でました。世紀の大迷盤でござい。 

ジャムセッションで作られたような奇々怪々な曲が連なり、何も知らないと即興で作られたものなんだろうな、と思ってしまうが

実はそうではなく、Captain Beefheartがちゃんと頭で考えて作曲したものであるらしいから驚き。

で、それを再現するためにバンドは8か月毎日12時間練習させられた。ひでえや!*2

そんな練られたアルバムだからか、この手のアルバムにありがちな方向性が分からなくて飽きるということがあんまりなく、

むしろアルバムの1/4くらい過ぎたときにはもう謎の力でノリノリなっていること必至。

 

29位 All Things Must Pass-George Harrison

みんな言うことだがBeatlesのソロはどうしてもBeatles期の曲に比べて見劣りしてしまっている気がする。

 ただし、この人は例外。一番脂がのっている時期で解散したので直後のこのアルバムの完成度が凄い。

多分後々のAORとかのポップスの源流はこのアルバムなんじゃなかろうか。

バンドでもっと作ってほしかった感もあるが、このアルバムが元々は3枚組なので許しているところもある(かも)。

 

28位 Hit Vibes-Saint Pepsi

keatscollective.bandcamp.com

 

昨今流行っているシティポップだが、大きく盛り上がり始めたのはここかららしい。

Future Funkの始祖的な盤で、手元の蒸気波ガイドでもFuture Funkでは一番頭に載っている。

シティポップ、R&Bやディスコなどの古い音楽のワンフレーズが執拗に繰り返され、繰り返され、繰り返され...

亡霊のように踊らされている、というのは非常に素晴らしい例えだね。

 

以前レビューしたので詳しくはそちらもどうぞ。

epocalcgarage.hatenablog.com

 

 

27位 Concerto Grosso n.1-New Trolls

Concerto Grosso

Concerto Grosso

  • アーティスト:New Trolls
  • 発売日: 1999/10/15
  • メディア: CD
 

 イタリアンロックの名盤。

もう手垢がギトギトについた話題に「ロックとクラシックの融合」というのがあるが

それを地で行く...というかある意味での最適解を導き出したのがこの盤。

オケとバンドが一緒になってポール・モーリア風の音楽を鳴らし

そしてその間に挟まる泣きのギター。

若干一発ネタ感も否めないが、プログレ屈指の名演だと思う。

このアルバムが凄すぎてNew TrollsといえばConcerto Grossoみたいな感じになってしまい

本人たちはそれを払拭しようと頑張ったようだが諦めたらしくConcerto Grosso n.3まで作っている。興味ある人は是非。

 

26位 Valtari-Sigur Ros

Valtari

Valtari

  • アーティスト:Sigur Ros
  • 発売日: 2012/05/29
  • メディア: CD
 

これについて調べてみたが、なんとSigur Rosのなかではイマイチ認定されているようだ。

そんな!こんな良いアルバムなのに!?

内容はアンビエントをポストロックでやってみました!という感じ。

例えるなら映画の前に流れる音楽を集めてきたようなアルバム。

他のSigur Rosのアルバムよりも輪をかけて落ち着いており、その点の印象がロックファンには良くないのだろうか。

僕はアンビエントとポストロックが好きなので好き。

カレーにカツ乗せればうまいのと同じである。ウム。

 

ところでこの前脱税がどうのと話題になっていたが大丈夫だろうか。

結構金銭面で苦しいとか。がんばれ!!

 

 

25位 To Pimp A Butterfly-Kendrick Lammer

To Pimp a Butterfly

To Pimp a Butterfly

  • アーティスト:Lamar, Kendrick
  • 発売日: 2015/03/24
  • メディア: CD
 

 僕はどうもラップが苦手でHip Hopはトラックだけでいいよ…的な立場をとっているので

あんましラップというのを聞かないがこの人は別である。

というか、後ろでやっている音楽家全員ジャズ畑の人なので

ほとんど最近のジャズに語りがのっているような構成だ。

ラップで見え隠れする嫌なマッチョさがあんまり感じない音像で好き。

どうやら歌詞も凄いらしいのだが英語分からないので割愛。

調べてみたら、なんか凄かったです。(小並感)

 

24位 Autobahn-Kraftwerk

Autobahn-Remastered

Autobahn-Remastered

  • アーティスト:Kraftwerk
  • 発売日: 2009/08/20
  • メディア: CD
 

 どこかで見かけたレビューに

電子音鳴らしてニアニアしていた陰キャがみんなにも分かるような曲を作ったらこうなった

というのがあったがまさにそういうアルバム。

 

今まで実験室の中だけの存在だったシンセサイザーを外に引っ張り出してきた偉大な盤。 

というか英米のアルバムしかないような名盤選にも普通に入ってくるあたりすげえ。

ちなみにこれの日本盤の帯が面白かったのでお時間あれば下の記事を読んでみてくださいな。

epocalcgarage.hatenablog.com

 

23位 1978 Gli Dei Se Ne Vanno, Gli Arrabbiati Restano!-Area

1978 (Gli dei se ne vanno, gli arrabbiati restano!) [2018 Remaster]

1978 (Gli dei se ne vanno, gli arrabbiati restano!) [2018 Remaster]

  • 発売日: 2018/10/26
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

ボーカルがヤバいバンドの名作。

どうヤバいかと言うとホーミー、オペラ等々考えられる限りの全ての技法を使っていくという変人。

またバンドの演奏力もすごすごでフリージャズ的な音楽が炸裂していく。

同時代的な評価がこのアルバムの直前までほとんどなかったのが信じられないほど凄い人たち。

これはボーカルが脱退する前の最後のアルバムで

他のアルバムに比べてよりポップに仕上がっているのだが

それでいて実験精神も忘れていないのが流石。

 

プログレ好きでは有名なのだが、一歩他界隈に行くと途端に無名になるバンド。

知らない人は是非聴いてほしい。

 

22位 In The Court of Crimson King-King Crimson

In The Court Of The Crimson King (50th Anniversary Edition) [Blu-ray]

In The Court Of The Crimson King (50th Anniversary Edition) [Blu-ray]

 

 これ、解説いる?ってくらいのアルバム。

プログレに珍しく全体的に割と短めでこの前もペプシのCMで使われてたね。

本国ではそこまで有名でもないという話をたまに聞くけど、どうなんでしょう。

僕は絶対にガセネタだと思う。

 

21位 KID A-Radiohead

KID A

KID A

 

ネタバレ。オケコンは選んでません。 

つまり僕のレディヘで一番好きなのはこれってことになります。

オケコンも良いんだけれど、あんまりオルタナチックなものが好きではないんですよね...

あと、アンビエント好きなのでこっちのほうが好きなのかもしれないね。

そういえば受験の前の日に聴いてたら不安が倍増したな。受験生諸君は真似しないように。

 

 

20位 Tago Mago-CAN

TAGO MAGO [Analog]

TAGO MAGO [Analog]

  • アーティスト:CAN
  • 発売日: 2014/06/13
  • メディア: LP Record
 

 略してたまご*3

ボーカルがダモ鈴木という日本人なので、我々にとっては馴染みやすいドイツのバンド。 

このアルバムが特に名盤の誉れが高く、クラウトロック関連でみないことはない。

四つうちの所謂ハンマービート的なリズムが延々と続き、

いつの間にかトリップした感覚へと連れていかれる合法麻薬

日本人による日本語の歌が聴ける稀有な洋楽名盤でもある。

 

19位 Floral Shoppe-Macintosh Plus

Macintosh Plus Floral Shoppe

Macintosh Plus Floral Shoppe

  • 発売日: 2020/06/22
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 今の音楽界を定義づけていると言っても過言ではない一枚。

これがなければシティポップがここまで流行ったかどうかは怪しいし、

そもそも80年代に注目さえ集まらなかったかもしれない。

 また、アルバム自体も作った人のセンスが炸裂しているのにも注目。

普通この手のサンプリングトラックは一曲に数曲の元ネタを使うが、

一曲に一曲だけ使うハードスタイルで攻めたのは偉大過ぎる。

 

ちなみに、これの看板曲現代のコンピュー人力でカバーしている変人がいた。阿保。(誉めている)


MACINTOSH PLUS - リサフランク420 現代のコンピュー (Cover)

 

 18位 Penguin Cafe Orchestra-Penguin Cafe Orchestra

Penguin Cafe Orchestra (Reis)

Penguin Cafe Orchestra (Reis)

 

もっと評価されるべきなアルバム、其の一。

恐らく、ジャンル的にはポストクラシカルなのだが、

にしてはなんだか妙にポップで、シリアスさはあんまり感じない。

 そしてどこかロック的でもあるのだが、どこがと言われると答えに窮してしまう。

 一言で言い表すのが難しいバンドなのだが

それを見事に言い表したバンド名。ペンギンカフェオーケストラなんだよ。

このクラシックともロックともつかない謎の音楽性

あるレコ屋ではプログレに、またあるCD屋ではジャズに置いてあるという妙な存在。

技術ではなく音像で勝負、バンドでロック以外をしようという発想は

後続のポストロック勢に影響を与えた。

 

ちなみに、この人たちのトリビュート盤が大体はっぴいえんど界隈なので

Penguin Cafe Orchestraはっぴいえんど史観扱いされることがある。それはやりすぎ。

 

17位 E2-E4-Manuel Göttsching

E2-E4 - 2016 - 35TH ANNIVERSARY EDITION

E2-E4 - 2016 - 35TH ANNIVERSARY EDITION

 

 僕は1枚に一曲しか入ってないアルバムが大好きなのだが

その中で一番好きなのがこれ。

 発売時点では「Tangerine Dreamじゃんwww時代遅れwww」と言われ、全く見向きもされなかったのだが

ハウスでサンプリングされるようになると評価が一変。

今やハウスの始祖的な大名盤扱いを受けている。

実際聴いてみるとTangerine Dream感もあるのだが

それ以上にノリが良く、所謂New Ageとは一線を画していたことが分かる。

一家に1枚は置いときたいアルバム。

 

16位 Acabou Chorare-Os Novos Baianos

Acabou Chorare

Acabou Chorare

  • 発売日: 2013/02/10
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

MPB初期作にして最高傑作の内の一つ。 

今一度ブラジル音楽というのは何だったのかを見つめなおして作られた

ブラジル人にしかできないサイケだ。

詳しくは記事をご覧くださいな。

epocalcgarage.hatenablog.com

 

 

15位 In The Aeroplane Over The Sea-Neutral Milk Hotel

IN THE AEROPLANE OVER THE SEA (IMPORT CD)

IN THE AEROPLANE OVER THE SEA (IMPORT CD)

 

 日本人が好きそうなのにあんまり日本人が知らないと言われる名盤。

その良さはピッチフォーク満点の折り紙付き。さあ聴いた聴いた!

感覚としてはRubber Soulに近い感じ。

だが、あれよりもずっとサイケになっておりコンセプトアルバム仕立て。

Rubber Soulの作風のままSgt.Peppersに突入したBeatlesみたいなアルバムである。

確か20世紀末の作品だったと思うのだが、ピコピコサウンドオルタナが跋扈する中、

こういうフォーキーな歌ものをやったのは皆驚いただろう。

 

14位 Blonde on Blonde-Bob Dylan

BLONDE ON BLONDE

BLONDE ON BLONDE

  • アーティスト:DYLAN, BOB
  • 発売日: 2004/03/29
  • メディア: CD
 

 2枚組アルバムで一番好きなやつ。

歌詞も良いらしいが、普通にメロが好き。

前に記事を書いたのでこれもそれを読んでみてね。

epocalcgarage.hatenablog.com

 

 

13位 Arti+Mestieri-Tilt

Tilt

Tilt

 

 個人的にはイタリアンロック最高峰。

基本的にはちょっと芋臭く、斜に構えたようなジャズロック

それでも十分魅力的なのだが、そのバンド隊の下で筋肉ムキムキのドラマーがバカスカ叩くという

なかなか独特の構成で成り立っているバンド。

欧州の田舎道の上で馬車が荷車を引っ張っていくようなイメージの音楽が繰り広げられ

まさにイタリアの田舎!一気に聴ける。

マグリットみたいなジャケ写も大好き。

 

一つだけ難点を挙げるとしたらドラムのミックスが小さいこと。

元々のドラムの出音がでかすぎたのだろうか?

 

12位 Odessey&Oracle-The Zombies

Odessey & Oracle

Odessey & Oracle

  • アーティスト:THE ZOMBIES
  • 発売日: 2007/01/01
  • メディア: CD
 

 Sgt.Peppersが出たとき、世は空前のサイケ戦国時代と化し

数多のサイケバンドが出ては散ったらしいが、

マニア以外にもちゃんと受け継がれて聴かれているのはこのバンド位かもしれない。

Time of the Seasonがこのアルバムでは一番有名でカバーも多いが、

他にも良曲ぞろい。というかTime of the Seasonが一番地味曲説がある。

一回このアルバムの鍵盤を弾いたことがあるが、コードだけなのにめっちゃ大変だった。なにあれ。

 

11位 Herbie Hancock-Head Hunters

Headhunters

Headhunters

  • アーティスト:Hancock, Herbie
  • 発売日: 1997/04/19
  • メディア: CD
 

 一曲目のベースを聴いた時点でもうノリノリ。

ジャズの名盤であり、ファンクの好盤であり、フュージョンの始祖。

これだけ色んな分野を取り入れつつ難しくなっていないのは流石すぎる。

このブログの記事もあわせてどうぞ。

epocalcgarage.hatenablog.com

 

10位 NEU!'75-NEU!

Neu 75

Neu 75

  • アーティスト:Neu
  • 発売日: 2012/11/13
  • メディア: CD
 

このポップな意匠から度々パロディの標的になるクラウトロックの代表的存在。

 名曲と誉れが高いのはHallogalloで、一般的な知名度が高いのはそれが入っている1stだろうけれど

アルバムとしての完成度は圧倒的に3rdであるこれだと思う。

ほとんどの曲で彼らの十八番ハンマービートが打ち鳴らされるが

トランスあり、パンクあり、アンビエントありと実に豊富。

いかに様々な人々に彼らが影響を与えるかを予感させる一枚。

 

9位 Funeral-Arcade Fire

FUNERAL [CD]

FUNERAL [CD]

  • アーティスト:ARCADE FIRE
  • 発売日: 2017/10/13
  • メディア: CD
 

 最近までポストロック勢に勘定していたのだが、

調べたらどうやらそうではないらしい。うそん。

で、そういう人たちの1stアルバム。

でも相当にクラシックみたいなことをやっていて

音像の構築とかもポストロックっぽいと思うな...。

でもこの手の人たちに比べて歌の比重が大きいのが特徴。だから分けられるのかも。

 

海外ではかなり流行ったらしいが、日本では取り残されてしまい、

そのことが日本音楽業界では大失敗として認知されている様子。

 

その反省が今のビリー・アイリッシュのプロモに繋がってるらしい。 へえ。

 

8位 Since I Left You-The Avalanches

Since I Left You by Avalanches (2002-03-01)

Since I Left You by Avalanches (2002-03-01)

 

 

 もっと評価されるべきなアルバム、其の二。

サンプリングアルバムの最高峰といえばこれ。

実際内容が凄まじく良く、こいつはすげえや...となる。 

また、このノリがVaporwaveに受け継がれているのは確実だろう。

でも、あんまり名盤選で見かけない。なんでだ。サブスクにないからか。

これも記事でいっぱい書いた。

epocalcgarage.hatenablog.com

 

7位 TNT-Tortoise

TNT

TNT

  • アーティスト:トータス
  • 発売日: 2016/01/06
  • メディア: CD
 

 ポストロックの超名盤。

この謎の落書きが脱力感を誘うが、中身は全く手を抜いていない。

かなり難しい演奏をしているのに、そう感じさせない爽快感のあるアルバムだね。

ポストロック全然知らないし…みたいな人に勧めるなら絶対にコレ。

いつか演奏してみたい。管楽器で参加します。

 

 

6位 Loveless-My Bloody Valentine

LOVELESS

LOVELESS

 

 

お待たせいたしました。マイブラです。

文句なしのシューゲイザーの名盤。

というかこれ以外シューゲイザーと認めない過激派が存在する。

でもこのアルバムだけマイブラの中でさえ異質だよね。 なんなのこれ。

70年代がキンクリ、10年代が花の専門店なら、

90年代における中核はこれとニルヴァーナの二大巨頭だろう。

 

 

5位 Revolver-The Beatles

REVOLVER

REVOLVER

  • アーティスト:BEATLES
  • 発売日: 2009/09/09
  • メディア: CD
 

 そしてBeatles。ここは外せません。

個人的にはSgt.Peppersはそこまで...という感じなのでこれを推したい。

まあ、これについて僕が語る必要はないかもしれないけれど 

まずジョージの曲から始まるのがみんなで作ってる感があって良いし、

サウンド的も統一感があって好き。

 

4位 The Velvet Underground&Nico-The Velvet Underground

Velvet Underground & Nico-45th Anniversary

Velvet Underground & Nico-45th Anniversary

 

 もうさっきから文句なしの名盤が連続していて僕からのコメント必要なのかという気になっているが、

まあ名盤っすよ。はいはい。

 

所謂アヴァン・ポップの先駆けになった作品で

特にクラウトロック勢はこのアルバムに影響を受けた人が多い気がする。

 

 ところでこのジャケのバナナ、実際にはがした人はいるのだろうか。

下にはピンクの果肉が隠れているというが、実際見てみない限りには信用できない。

僕の当分の目標はオリジナル盤のバナナを剥くことである。 

 

3位 Tarkus-ELP

TARKUS

TARKUS

 

プログレって難しい!というイメージがあるのは

7割ピンフロの狂気のせいだと思っている。

あれが有名なので初心者がまず聴いてしまい、難しい...と諦めてしまうのではないだろうか。

そんな中で僕がお勧めしたいのはELPタルカス

かなり軽快にずんずんと進んでいき、曲調も明るい。

 また、プログレ長い長い!と言われるが、このアルバムは短い曲をつないでいるだけなので

そう思って聴けば全然OK。なんなら一曲だけプレイリストに入れたって構わない。

それでいてプログレらしさにあふれているかなりの好盤だと思う。

B面は適当とよく言われるが、個人的にはそっちも好き。

 

2位 Wave-Antonio Carlos Jobin

Wave [12 inch Analog]

Wave [12 inch Analog]

 

世紀の名盤。一民族音楽であったサンバをここまでソフィスティケートして

さらに一番脂ののっている時期のロックと対等に張り合えるまでにしたのは偉大過ぎる。 

そしてBeatlesは一応初期は既存のロックの文法にあくまでも則っていたが、

ジョビンは他数人で新ジャンルを作り上げ、彼らとかち合ってたのだからすさまじい。

新ジャンルって言ってもジャズじゃん!と思うかもしれないが、当時のジャズ人からすると全くの別物

Beatlesとともにボサノヴァにも立ち向かわねばならず、ジャズはかなり苦境だったようだ。

そして今でもボサノヴァ系の音楽家が絶えないのを見るに

このアルバムは思っている以上に名盤かもしれぬと思いこの順位。

 

1位 Pet Sounds-The Beach Boys

PET SOUNDS

PET SOUNDS

  • アーティスト:The Beach Boys
  • 発売日: 2001/04/05
  • メディア: CD
 

 

そしてこれ。これも世紀の名盤。

ただ、Beach Boysはサイケ嫌いで有名なので

サイケ臭いこのアルバムが名盤と言われるのは皮肉めいているね。

よく分からないな...という話を聞くけど、そうだと思う。分かりにくい。

なんども聴いたとき不意に分かる系の名盤の始祖かもね。

 

前にも記事で言ったが、これはどうもSmileへの前哨戦という感じで

家が建たなかったから土台を有難がっているのだと思う。

その後Smileを再現する試みが何回か行われているが、

確固たる完成品があるPet Soundsに比べて何か抜けている感じがし、未完成な印象がぬぐえない。

Smileが完成しなかったのは本当に残念。

完成していたら文句なしでこの位置に収まっていたことだろう。

 

 

 

とまあ、以上30枚でした。

最初にも言ったけれど、あんまり洋楽詳しくないので

大分偏りのあるランキング*4になってしまった気がするけど気にしない気にしない。

まだデッドラインには時間があるので、参加したい人はお早めに!

 

 

*1:僕も#存在しない名盤を広めようかなと思ったが、さすがに怒られると思ってやめた。

*2:終わりがけには最早新興宗教の域に達してたらしい。

*3:僕しか言ってない

*4:数えてみたら1/3が非英語圏だったし、半分が英米以外だった。

古風/冥丁【2020】

帰ってきた日本音楽

古風

古風

  • アーティスト:冥丁
  • 発売日: 2020/09/27
  • メディア: CD
 

 

日本人に和を感じさせるような曲を作るのはとても難しい、と言われる。

 

海外の人に日本と思わせるのはカンタンである。 

チャンチャカチャンチャンチャンチャンチャードワーンみたいなあからさまに中華な曲でも

向こうの人は日本風だなと思ってくれる。

www.youtube.com

適当に和楽器つかっとけ、そしてヨナ抜き音階入れておけ。

 

ただ、こういう感じだとどうしても中華の気が入り、

日本人はそれを気にしてしまうものである。

この手ではかなり頑張っていると思われる上の和楽器バンドもちょっと中華臭い。

 実際そういう質問が知恵袋に投稿されてたし。

detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

 

まあ、僕やこの投稿者みたいな素人・オブ・ザ・イヤーでも気になるのであるから

一線をひた走る一流の音楽家ならなおのことであるらしい。

 

これまでにも多くの人々が中華をなくそうと努力をしてきた。

このブログでも新月菊地雅章の涙ぐましい努力の成果を紹介した。

 

日本において、旧来の音楽は明治政府により有耶無耶にされ、

文部省歌や西洋音律に基盤をすり替えられてしまったので

「和風の音楽」というのは音楽を知っている人ほど作りにくい。

そんな中この二組はかなり健闘している方で、実際どちらも名盤名曲と呼ばれるもの。

しかしながら、そんな彼らでさえ和楽器ヨナ抜き音階の呪縛からは逃れえなかった。

普遍的な曲で和を表現するなど至難の業である。

 

が、それを軽々やってしまった人がいる。冥丁だ。

冥人ではない。空目した人は対馬から戻ってこい。

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相当詳しい方でないかぎり日本人でご存知の方はあまりいないようだが

海外での人気はすさまじいものらしく、

一昨年のピッチフォークの賞にデビュー作「怪談」が選ばれるなど広島在住の凄い人。

www.youtube.com

ジャケ写の骸骨がなんだかかわいい。

 

で、その内容だが、アンビエント的なトラックに古い怪談の朗読が入るというもの。

また怪談だけではなく、光明真言のようなナンセンスな呟きも入っており

 夜中に聴くと本当に気味が悪い。(誉め言葉)

 

2ndアルバムも「怪談」と同じようなノリの内容だが

こちらは朗読やボーカルなしで粛々とアンビエントが進む。 


Meitei / 冥丁 - Komachi [Full Album]

 

音楽的には全く「和」ではない良質アンビエントなのだが

なんだか蟲師を思い出すのは僕だけではないはず。

www.youtube.com

そう、この人の音楽性は音楽面というよりは

音楽によって作られるサウンドスケープを和にするという

ひじょーーーーにめんどくさい手の込んだことをやっているのだ。

冥丁をかければいつでもどこでもお気軽お手軽日本気分。

万が一海外に行くことになったら大量の米とともに冥丁のカセットやCDも必需品になるだろう。

まとめブログの「海外赴任おススメアイテム⑤選」に冥丁が入る未来はそう遠くない。

 

 

そして今年、彼の新しいアルバムが出たと一部で盛り上がっていた。その名も古風

日本での人気のなさにしびれを切らしたのか、タワレコ怒涛のポップを展開中。

 

 

 さてどんなもんなのかな~と思って聴いたら驚き。今までと全然違う。

 

まず、シングルカットされていた花魁Ⅱが白眉。


Meitei / 冥丁 - Oiran II / 花魁 II (Official MV)

 

今作、こんな感じで今までの純正アンビエントからうって変わって

サンプリングマシマシピアノカラメの作風にチェンジ。

この作風だと他にSolitude 2:14 amが記憶に新しい。


Solitude 2:14am / Fading Away [Lofi beats]

こちらはなんだか現代の気怠い若者という感じだが、冥丁はやはり

しかも日本のわらべ歌や民謡を使っているとだけあって今回は音楽的にも結構和である。

冥丁によれば、この曲は過酷な労働環境の遊女のための曲らしく、

いうなれば花魁のためのジャズ。

久々に音楽で泣いてしまった。凄まじすぎる。

京都のパララックスレコードで延々と鳴っててほしい。

 

 

今回は花魁に代表されるように昔の女性たちという裏テーマもあるらしく、

川上音二郎の奥さん、貞奴の曲もある。


Meitei / 冥丁 - Sadayakko / 貞奴 (Kofū / 古風, 2020)

 

感傷的で苦悩に満ちた先ほどの曲とは逆に気概にあふれたお嬢さんという感じ。

男社会でバリバリに活躍した貞奴にふさわしい曲だね。

オッペケペー節的なおちゃらけも感じる。


川上音二郎一座 [明治の流行歌]オッペケペー節[日本人最古の歌声]

個人的な話をするとオッペケペー節は大好き

中学時代全部覚えてたのでなんだか懐かしい。

 

 

全編にわたってこの凄まじい音楽とサウンドスケープが作られる。

もっと発売が早ければ間違いなく例の邦楽ベストアルバム100に投票していただろう。

そのくらい凄い作品。冥丁の名の通り、大正時代に亡くなった人が冥府から帰ってきて作った音楽みたいだ。

 

みんな大好きUROROSによれば前二作と「古風」の三つは連作らしく、

LOST JAPANESE MOOD、すなわち失われた日本のムードをコンセプトにしているらしい。

なるほど、道理でサウンドスケープが豊かなわけ。

しかし、前の二作はどちらかというと江戸の文化を彷彿とさせるものだったが、

今作はなんだか明治期や大正期をイメージさせる様な気がする。

こういう昔の忘れられた歴史発掘シリーズはこれでお終いらしいのだが、

江戸→明治・大正ときたら次は昭和っぽいですね、旦那。

今後も冥丁からは目が離せないぞ!

 

ちなみに今度なんと折坂悠太氏と同じフェスに冥丁が出てくるようなのだが、

 開催場所が静岡とちょっと遠くて行けなさそう…

いや、這ってでも行くべきか。迷うなあああぁ…


冥丁(Meitei) - 古風(Kofū) (2020) [Full Album]

ⒸEPOCALC