音楽初心者はコレを聴こう!邦楽20選
はじめまして、邦楽
このブログは音楽通の皆様から参照されることが多い。
が、弊ブログの本来の主旨は
「初心者がより深いところへ行けるようにするブログ」
であるので、元々の地点からズレてきてしまっている記事もちらほら。
というわけでこの記事を作りました。邦楽の最初の一歩支援記事です。
この記事の最大の特徴はロックに終始しない入門、文脈も合わせた入門であります。
だいたいの音楽初心者入門記事、邦楽ははっぴいえんどとブルーハーツ聞いとけ、ロケンロー!で終わっちゃうんですが
この記事はなるべくそれは避け、極力幅広いジャンルを取り上げています。
またこのアルバム気に入ったらこっちもどうぞ!という形で関連アーティスト等も紹介しています。
一応時代順に並べてあるので、歴史もちょっとは分かるはず。
正直20枚に絞るのかなりキツかったですが、ごゆるりとお楽しみください。
・音楽はヒット曲しか知らない人
・最近の邦ロックは少しは知っているが、昔のは知らない人
・皆が聴いていないような曲に手を出してみたい人
・研究所で作ったホムンクルスに「音楽」の概念を教えている人
アルバムNo.1/スパイダース
邦楽でのロックの祖とされる作品。
所謂グループサウンズにおいて一番重要な人たちであり、
ここからロックベースでの邦楽ポップス史が始まったと言えるね。
このアルバムの曲ではないが、バン・バン・バンは今でも非常に有名。
海外でもジャパニーズ・ガレージロックと称され人気の模様。GS風味の洋楽バンドなんてのも存在する。
ちなみに、はっぴいえんど史観のやつらはこれに注目していない!という人がいるが、はっぴいえんど史観の人にそんな人はいない。
これにハマった!という人は加山雄三やモップスなどをおススメしておく。
やや古くなっている感は否めないが、どれも今聴いても楽しめる音楽である。
風街ろまん/はっぴいえんど
で、さっきちらっと話に出たはっぴいえんど。 誰が呼んだか日本のビートルズ。
メンツは細野晴臣、大滝詠一、鈴木茂、松本隆。今見るととんでもない集団。
商業的に大成功!とまではいかなかったが、同時代的にも音楽通ではよく知られた存在だったらしい。
それは当時の雑誌ははっぴいえんど界隈ばっかり取り上げたため内田裕也が拗ねるほど。そこから日本語ロック論争へとつながっていく。
そんなはっぴいえんど、とりあえずこれ聴いときゃ間違いはない。
今から音楽を志す日本人なら誰でも、海外の人でも手に取るかもしれない名盤である。
個人的には邦楽史を語る上で、はっぴいえんどより彼らの所属したレーベルURCに注目した方が良い気もしているので、良ければそちらも是非。おススメは五つの赤い風船。
また内田裕也ワークスもここで拾っておこう。
内田裕也何やってた人か分からないという声も多いが、彼がはっぴいえんどと同時期にプロデュースしたフラワー・トラベリン・バンドはカナダでチャートインするなど非常に偉大である。
はっぴいえんどと聴き比べると双方のロック観の差が見て取れ、とても面白いのでおススメ。
ライブ/村八分
さて、はっぴいえんど等ニューロックが台頭してもGS組だって負けてはいない。
カルトGSの代表格・ダイナマイツの山口富士夫による伝説的なバンド。
70年代初頭とは思えないほどの殺気と熱量であり、ロックが好きな人ならみんな大好きなはず。
この時点でもうほとんどパンクロックに片足を突っ込んでおり実際後々パンクブームが勃興したとき、ある音楽家は「村八分じゃん」と言ったとか。
村八分に限らず裸のラリーズ、後の世代だが非常階段など関西のバンドは時代を先どってしまったような人が多い。
村八分を気に入った方はここら辺を聴いてみると面白いかも。
POO-SUN/菊地雅章
日本のジャズはかなり良作が多いうえにKing Gnu筆頭に昨今の著名な音楽家を深く知るためにはジャズの文脈が不可欠なのだが、いかんせん内容が難しいものが多いので初心者に勧めづらい節がある。
この手の記事でロック・ポップスのみの紹介にとどまってしまうのはジャズ自体の難易度の高さに原因があるのかもしれない。
で、こちらのアルバムは和製エレクトリックジャズの初期盤でエレピ中心の音作り。ロックの空気に近くかなり軽快&爽快で聞きやすい。
この菊地雅章は日本ならではの音楽を追求した第一人者でもあるのでこのアルバムで興味持ったら他のアルバムも聴いてみよう。
そして菊地さん周りのメンツも日本のジャズ一線級の人であり、そこを調べても楽しい。
聴きやすいうえに内容も高度、縦にも横に広げられ、和ジャズ入門にうってつけ!
これにハマった方は日本のフュージョン*1やアコースティックジャズ*2にも手を出してみよう。広遠な世界が広がっている。
人間なんて/吉田拓郎
日本音楽史においてフォークも外せない。
特に重要なのは吉田拓郎。井上陽水と並ぶ、フォーク界のヒットメイカー。
アンダーカルチャーから邦楽をアップデートしたはっぴいえんど/内田裕也周辺とは対照的にメジャーシーンから変革していった人物である。
特にこの盤がおススメ。特に「結婚しようよ」は一番最初のニューミュージック*3と言われる。
実はURC界隈の人物もかなり参加している。優秀な人物は自然と集まるのだなあ。
吉田拓郎にハマった方は、もちろん井上陽水も聴いてみよう。井上陽水は80年代後半「第二次ブーム」が井上陽水黄金期なので気になる方はハンサムボーイから聴くのが良いと思う。
一触即発/四人囃子
【Amazon.co.jp限定】一触即発~デラックス・エディション~ [3CD] (Amazon.co.jp限定特典 : デカジャケ 付)
- アーティスト:四人囃子
- 発売日: 2019/10/23
- メディア: CD
日本ならではの芸術ロックの始まりはここからである。
芸術性の高い長めのロック、所謂「プログレッシブ・ロック」は洋楽が主流で日本人にできないと言われていたのだが、
彼らは海外勢の曲を完コピした上に、このアルバムで日本のプログレを確立してしまった。
このバンドの影響力はすさまじく、みんな大好き平沢進からフュージョン、果てはV系にまで影響したと言ってしまっても良いね。
四人囃子が良い!と思ったアナタは日本のプログレである新月やNovellaも聴いてみよう。そしてさらにプログレを聴いた後BUCK-TICKやL'Arc〜en〜CielなどのV系を聴いてみると違った発見があるはず!
Solid State Survivor/YMO
なるべく他のアルバムとの主要メンバー被りは避けたかったが、初心者に紹介する時これは外せない。
日本の音楽を定義づけてしまった名盤。日本の音楽全てに(これに反発するという形も含めて)影響していると言っても良い。*4
それまでシンセサイザーを使った音楽は高尚で難しいというイメージだったのだが、ダンサブルでアッパーなこのアルバムはそれを粉々に砕いてしまった。
その一方でちょっとした暗さも隠れており、電子音楽の多面性を紹介してくれている。
今回の20枚の中で一番最初に聴くべきアルバムであるかもしれないね。
YMOを一通り聞いたら、ポストYMOと言われたテクノ御三家*5、その後東京ロッカーズ、関西ノーウェーブも聴いてみよう。
また彼らより先に日本人でシンセを大々的に用い、海外でヒットした冨田勲も是非どうぞ。関連する日本のサントラ系音楽家たち、吉村弘、喜多朗、さらに初期久石譲や高橋悠治などの現代音楽家も聴いちゃえばパーペキ。
For You/山下達郎
今の時代だったらヤマタツはこの盤をオススメするのが定石かな。
世界中で知られるJapanese City Popの本命名盤。
大瀧詠一周辺、通称ナイアガラ界隈*6で最大の人物は山下達郎であり、彼が日本のポップスを一段階上に引き上げたことに異論はない。
そのキャリア中でもとびきり爽やかな曲がメジロ推しな今作は国内外で最も評価される一枚。これは絶対に聴いておこう。
ヤマタツが好きなら竹内まりやや師匠・大滝詠一は勿論、影響を受けた村田和人や角松敏生もおススメ。
また夏の象徴として山下達郎と並び称された、サザンオールスターズも是非聴いておこう。アルバム数が多くて戸惑うかもしれないけど、個人的おススメ入門盤はステレオ太陽族。
Timers/Timers
忌野清志郎の覆面バンド。あらゆるゲリラ的手法を用いて活動を行ったことで有名。
日本の音楽家で、全方位の権力に全力で立ち向かった人たちはこの人たちくらいである。
また意外と取り上げられないのだが、分かる人には分かるような当時のアングラシーンを意識したような音楽を表舞台で行ったのも結構大事。
楽曲自体も様々なジャンルのコラージュのようで意欲的なものばかり。
またなによりパフォーマンスが優れているのでYouTubeで当時の映像を見てみるのも面白い。
こんなことやっていいのか!!と爆笑と衝撃を受けるはず。
これに興味を持った方は、まずはRCサクセションを聴くべし。YMOと人気を二分したバンドであり、グラムロック・パンクロックが日本の頂点に立った稀有な例。
また、80年代の日本のパンクも漁ってみよう。アナーキーやスターリン、じゃがたらなど、今でも伝説と称されるバンドがわんさかいる。
さんだる/たま
バンドブーム期から誰を選ぼう...と思ったけど、ブルーハーツは音楽初心者でもそこそこ知ってそうだったのでこっち。ブルーハーツに並ぶ80年代バンドブーム最大の功績であり、インディーズからのヒットアーティスト先駆けになった。
音楽に詳しくないとコミックバンドに見えてしまうが高い技術力の必要なことをいとも簡単にやっており、そこから紡ぎ出される異質な世界感は多くの人たちを虜にした。
このアルバムは最大のヒット作「さよなら人類」も入っており、初心者におすすめ。
たまに興味をもった方は彼らのいたナゴムレコードをまず聴こう。
筋肉少女帯や後の電気グルーヴである人生など、たまのように一見珍妙だが高い技術力を持ったバンドが勢ぞろいしている。
またバンドブーム期の音楽を聴くのも◎。ブルーハーツを筆頭にBegin、ジッタリンジン、The Boom、ユニコーン 、X、BLANKEY JET CITY、果ては小室哲哉まで、各界の名アーティストめじろ押し。
Camera Talk/Flipper's Guitar
そんなバンドブームの対抗馬として出てきたのがフリッパーズギター。世界中の音楽を縦横無尽にパロディし、洒落たセンスで聴かせるスタイルは後々渋谷系と呼ばれ世界中に影響することになる。 またメンバーである小沢健二と小山田圭吾の各々のソロワークスも素晴らしく、どこを切り取っても申し分ないバンド。あまりに衝撃的だったため、フリッパーズ以前と以後で邦楽史を分けることもあるそうだ。
活動期間が短いためアルバムは三作しかないが、入門にはこれがおススメ。気に入ったら全部聴こう。
そしてフリッパーズを一通り聴いたら、各々のソロを聴くのが定石。
小沢健二はLife、小山田圭吾のソロCorneliusはFantasmaからどうぞ。彼らとコラボしたオリジナル・ラブ、Pizzicato Fiveを聴けばなお良し。さらにトラットリアレーベルなんか聴いちゃえば最早渋谷系は大体聴いたと言ってOK!目指せ渋谷系マスター。
もっとも渋谷系マスター後もCymbalsやPerfumeなどのネオ渋谷系、神前暁や前山田健一などのアキシブ系と派生ジャンルも尽きることはない。
あとここで拾ってしまうがデス渋谷系はノイズ音楽の入り口として最適。少なくとも海外音楽史でも超重要バンドのboredomsは絶対に聴こう。そこからやMerzobow、Boris、Coaltar of the Deepersのようなノイズ~ノイズロック系に行くのもよし。実はジャパノイズという言葉があるほど日本はノイズ音楽の名産地なのだ。
ちなみに渋谷系という言葉はあらゆる音楽家にラベリングされ、スピッツやミスチルまで渋谷系と言われていた時期があったらしい。へえ~
5th WHEEL 2 the COACH/スチャダラパー
日本語ラップである。
ラップはなんだかなあ...という人もまだ多い感じがするが、そういう人でもまずこれは聴こう。
スチャダラパーは渋谷系を代表するグループでありつつ、日本語ラップを大衆に広めた人たち。
このアルバムまでは特有のギャグ感・ポップ性が前面に出ていたのだが、今作では本格的なヒップホップを志向。とはいえど、初心者でも乗れるような非常に高度な曲がめじろ押しである。
特に「サマージャム'95」はあまりラップに詳しくない人でもフェイバリットソングにあげるほど定番と化した曲。一回は聴いてみよう。
これが気に入った方は日本語ラップ諸作をガンガン聴くべし。
キミドリ、いとうせいこう、ECM、キングギドラ、かせきさいだあ、SHING 02、PSGなど文学性の高いものが多く、海外のラップに比べマッチョイズムを感じないものが多め。マッチョイズム嫌いな僕が言うのだから間違いない。
個人的にはSmall Circle Of Friends、降神(とMCの志人ソロ)もおススメ!
空中キャンプ/Fishmans
そんなわけでサブカルでは渋谷系が流行りまくっていたのだが、だんだん行き詰りはじめる。そして渋谷系の終焉を象徴する存在の一つがFishmans。出たときから渋谷系にもバンドブームにも属さない、不可思議な存在であった。
そしてこの空中キャンプから一気に豹変。儚く透明感あふれる、唯一無二の音楽性はFishmansが辿り着いた境地であるね。これ以降の作品は海外でもかなり評価が高く、次のアルバムLong SeasonはRYMというサイトでへたなビートルズの作品より高位につけられている。まじかよ。
このバンドを気に入ったアナタは、渋谷系の終焉という意味でサニーデイ・サービス「東京」も聴いてみよう。空中キャンプと同じ年に出てきた70'sフォークリバイバルなアルバムであり、邦楽を軽視する「洋楽至上主義」が蔓延っていた音楽界を木っ端みじんにした。ちなみにこの人たちの流れは現在の「下北系」に接続する。
ギヤ・ブルーズ/Thee Michelle Gun Elephant
大分後になって「なんでみんな教えてくれなかったんだよ!!」ってなったバンド。故に紹介しないといけない。
渋谷系はネオGSというムーブメントから分岐しているとされているのだが、
ネオGSはモッズという60年代イギリス志向のスタイルのバンドも多く輩出した。
で、ネオGSそのものではないものの、その流れを汲む90年代の日本のモッズ中でも代表的な存在が彼ら。渋谷系と対になるような存在として認識すると良し。
60年代のブリティッシュビートを基調としており、かなりカッコいい。
いそうで意外といない音楽性で売れるか心配になるが、なんと大ヒット。特にこのアルバムが名盤。是非聴こう。すぐ聴こう。
これにハマった人はネオGS由来のモッズを聴いてみよう。コレクターズなんかがおススメ。
School Girl Distortional Addict/Number Girl
さて、渋谷系はめでたくFishmansとサニーデイ・サービスによって終焉したのだが、渋谷系にとってかわるように出てきたのが97年組と呼ばれるバンドたちである。その中でも特に大事とされるのがナンバーガール。今のロキノン系邦ロックやボカロ系など、多くの音楽に直接接続できる存在。
このアルバムについては正直音質が酷いのだが、それでも黙らせてしまうような迫力と疾走感あふれるギターロックは唯一無二。またZAZEN BOYSやKimonosなど、ナンバガ以降の関連作は前衛的になるのも面白い。テクノが好きな人はそっちの方が好きかもしれない。
ナンバーガールを聴いたら他の97年組、くるりとスーパーカーも聴いてみよう。どちらも偉大なバンドである。各バンドについてメンバーがやっている他のプロジェクトなりバンドなりを聞くのも一興。是非お試しあれ。
また、ナンバーガールにハマったアナタは椎名林檎・東京事変をちゃんと聴くと新たな発見があるはず。
また関連人物の多いbloodthirsty butchers、eastern youthとかのエモ方面を攻めるのも音楽オタクっぽくて良。
3/キリンジ
サニーデイ・サービスの「東京」というアルバムははっぴいえんどに再注目させることになったというのは先ほどチラッと言ったが、
それをさらにシティポップのレベルまで押し上げたのがキリンジである。
特に名盤とされるのはこれ。有名なエイリアンズもこのアルバムが初出。
ちなみに今でこそエイリアンズは日本の名曲扱いだが、当時の売上は全く振るわなかったらしい。ゆえにキリンジの現在の評価については歴史修正だと言われることがある。
キリンジが好きな方はLampやGuiro、benzo、Platinum900を聴いてみよう。今のブームの前、シティポップ的な曲が見向きもされなかった時代に今の土壌を作った偉大なる先人たちである。サブスクにない人も多いので注意!
この系統で(売上的には一発屋ながら)珍しく売れたキンモクセイなんかもおススメ。
3/ゆらゆら帝国
ゆら帝ことゆらゆら帝国。60年代~70年代サイケロックを志向する、意外に日本にいなかった感じのバンドである。
実は渋谷系期からいるバンド*7なのだが、表舞台に立ち始めたのは90年代終わりくらい。
前衛的な曲が多く、時代と合うまで時間がかかったタイプのバンドなのかもしれない。でもこのアルバムはポップで明るい曲が多く彼らの個性もビシビシに感じられるので、初心者にもおススメ!是非ここからゆらゆら帝国に入国しよう。この後ゆらゆら帝国のめまい/しびれや3×3×3に探検するのも◎。
そして彼らの一番の名盤といわれるのは「空洞です」。ゆらゆら帝国を一通り聴いた後に聴いてみよう。
空洞ですまで聴いた方は、ゆらゆら帝国を担当した名プロデューサー・石原洋のプロデュース作を聴くべし。代表的なところだとOGRE YOU ASSHOLE。昨今世界的流行の浮遊感のあるサイケロックへの良い入口になること請け合い。
ハイファイ新書/相対性理論
正直00年代は個人的に邦楽暗黒期だと思っており、
売れ線音楽は素人の芸人、ロックも音作りや編成に個性のないバンドばかり、
数少ない独自性の高い音楽の多くは古株、ないしはサニーデイやFishmansなどの流れをそのまま汲むポスト渋谷系*8で
結局90年代から変わっていない上にそこまで売れてなかったりと00年代独自の音楽という点ではあまり褒めるところがない。*9
それを打破したと個人的に思っているのが相対性理論。特にこの1stアルバムが最高に良い。
日本ではあまりないエモ系ポストロックのようなアルペジオに加えてギターリフは抑え目。その音作りは所謂「邦ロック」とは一線を画し、そして歌詞面もガロ系漫画を彷彿とさせる不可思議で中毒性の高いもの。
この雰囲気はボカロなどのネット音楽に影響したと見え、彼らが多くの人に知られるようになる2007~2008年付近から遅れながらも邦楽が復活していく萌芽が生まれることになる。
相対性理論が気に入った方は、まずさよならポニーテールとパスピエをおススメする。音楽性や顔出しの拒否などを受け継いだ、相対性理論の直接のフォロワー。
また邦楽復活の立役者としてフジファブリックやサカナクションも必聴。実は両者同時代のロックバンドと比すると売上は苦戦したのだが、現在ではレジェンド級の知名度であることから分かるようにその音楽性の高さには目を見張るものがある。
あと、あまり指摘する人はいないがここからポストロックに行くのも良いかもしれない。 People In the Boxやtoeも意外と気に入るはず。
cero/My Lost City
キリンジ周辺の00年代シティポップと今のシティポップブームをつなぐ者といえばcero。
彼らのいるカクバリズムは星野源を輩出した名レーベル。その中でも最も先鋭的で注目を集めているのがceroなのである。
初心者の方は2ndであるこのアルバムから入るのがおススメ。
震災後に作られたアルバムであり、「My Lost City」という題から分かるように明るい中に深刻な暗さが流れている。この後の邦楽を予見したような音楽である。
また、このアルバム後に発表した名曲Orphansは邦楽を変えたと言われるほど。必聴。
彼らのフォロワーとして代表的なのが皆さんご存知Suchmosである。Suchmosのヒットによって邦楽が何歩も前進したのはご承知の通り。
またカクバリズムからリリースした音楽家、スカート、VIDEOTAPE MUSIC、在日ファンク、そして星野源なども非常に重要。ちゃんと聴いてみてね。
ついでにカクバリズム近辺ということで折坂悠太、カネコアヤノ、中村佳穂、柴田聡子などのフォーク系シンガーソングライター諸氏も是非とも聴こう。
lost decade/tofubeats
今日のトラックメイカー、シティポップを代表する存在tofubeatsの1stアルバム。
今日の日本のポップスに通じて流れているシティポップとヒップホップの間を揺らめくような雰囲気は本作収録「水星」によるところも大きいと思う。
当時のtofubeatsはブックオフをめぐってはそこで買った安CDをサンプリングして曲を作る、ということをしており水星もそこから生まれた曲。
ブックオフなどに忘れ去られた良い曲を思い出させる試みは音楽家のみならず、ライター、リスナーにまで多分に影響しているはず。
tofubeats聴いた方は所謂トラックメイカーと呼ばれる人たち、STUTS、group_inou、長谷川白紙やパソコン音楽クラブを聴いてみよう。古い音楽に影響されつつも、全く新しい概念を生み出してしまっている彼らには腰を抜かすに違いない。
また彼らに影響した前時代のトラックメイカーたち、Nujabes、レイハラカミ、FPM、テイトウワ、竹村延和なども聴いてみよう。
今でも全く古びていないのに驚くはず。
さて、というわけで2010年代前半までの音楽から、音楽初心者へのおススメ20枚でした。
あれがないこれがないあるだろうけど、僕も入れられなくて悔しいアルバムが結構あったので我慢してください。僕が大好きな大滝詠一入ってないし...
もっと知りたい方は以前Twitterで音楽好きがやっていた邦楽名盤100企画を見てみてください。
今回涙を呑んで取り上げられなかったアーティスト*10の名盤もたくさんありますので是非。
また幅広く知りたい方はこのブログだけではなく、色々なブログを見て掘り進めていくことが大事です。
僕のあまり知らないメタルや青春パンク、ヒップホップ等の情報はそちらで仕入れることをお勧めいたします。
素敵な音楽との出会いがありますように。
*1:Casiopea"Mint Jams"がまずはおすすめ
*2:これはちょっと難しいのが多いのだが、ひとまず福居良。山本邦山参加作品も分かりやすいかもしれない。
*3:≒J-POP
*4:小室哲哉や某有名ボカロPなど、あまり音楽ファンに顧みられないアーティストも坂本龍一に衝撃を受けて音楽を志した例が多い。
*8:ここで紹介したものだと、キリンジもゆら帝も90年代以前からいる。有名どころでも椎名林檎は90年代からいるしPerfumeはポスト渋谷系である。
*9:80年代も70年代からの地続きとよく言われるが、80年代シティポップにはヒットが多いのに比してこっちでちゃんと売れたと言っていいのは椎名林檎とPerfumeくらいである。