EPOCALC's GARAGE

本州一下らない音楽レビューブログ

Brahms:Symphony No.1 4th movement/Wilhelm Furtwängler【1945】

死に一番近い音楽

 

 

いつもはPCから書いているものの、不注意でメガネがブロークンしました。PCの画面が全く見えないので今回はほぼスマホから書いてます。

それ故読みにくい箇所があるかもしれないですがご了承くださいな

 

 

 

先日、このようなものを作った。

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そう、巷に言う「私を構成する9枚」である。

 実は以前にも9枚選んでおり、それらをこのブログの初期に取り上げた。

 

上に示した新作はサークルの新歓のために作った、いや作らされたもの。

皆さん新入生に向けて優しく普通に好きなものを選んでいる中で、

どうせなら意地悪いものにしようと全部サブスクで聴けないヤツを選んだ。

悪いだろ〜

 

これからこのブログではこの9枚の紹介をぼちぼちしていこうと思います。

まあでもすでに取り上げたものもあるのでそれは割愛。

今回はこの中でも異色なフルトヴェングラー指揮のブラームス第一番

もっと細かく言うと、1945年1月23日、ベルリンでの録音を取り上げます。

 

 

 

タワレコの有名な企画ポスターに「No Music,No Life」と言うのがある。

一応説明しておくと、著名な音楽家が「音楽」について一言名言チックなことを言う、という企画。

 

その中でも名作として今でも度々取り上げられるのは坂本慎太郎のもの。

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音楽は役に立たない。

役に立たないから素晴らしい。

役に立たないものが存在できない世界は恐ろしい。

 

坂本慎太郎

 

 

 

かの大数学者・岡潔を彷彿とさせる名言。

音楽というのは基本役立たないのである。

*1

 

役に立たないのは他にも芸術全般や数学、哲学なんかもそうだろう。

全体的に何らかの美学があるようなものが多いね。

だが、そういった役立たないものは人間がドツボに嵌まった局面に於いて途方もない力を発揮する。

 

数学であれば三平方の定理が有名。

中学校でも習う素朴な定理の一つだけれど、物理学が手詰まりに陥ったときに出てきた相対性理論には三平方の定理が根幹に使われていることは有名だ。

哲学も個人レベルで精神を救った人は数知れず、場合によっては曇った現状を打破しようとする社会運動にまでなる。

 

 

そして音楽。

今回取り上げるこの録音は、類稀な「音楽が森羅万象の中で最も役に立っているシーン」を収めたもの。

その凄まじさから今でもクラシックファンの間では語り草になるものである。

 

 

皆さん、1945年1月のベルリンと聞いて何か感づきませんか?

そう、時は第二次世界大戦末期

当時のベルリンは敗戦色濃厚で、毎日のように空襲があったらしい。

ベルリンの街はズタボロで観客・団員もいつ殺されてもおかしくない状況下。

 

敵は連合国だけではない。

フルトヴェングラーユダヤ人音楽家を匿っていたそうでナチスからも逃げなくてはならなかった。文字通りの死と隣り合わせの中での録音である。フルトヴェングラーが指揮をした1945年1月23日、このコンサートにいた人全員はきっと「自分の人生最後の瞬間」と思って来ていたに違いない。

 

 

この日の上演予定は本来モーツァルト魔笛交響曲だったらしい。

粛々と演奏は進んでいったが、突然 

 

パッ 

 

と明かりが消えてしまった。

発電所か変電所が空襲でやられたのだ。

突然の事態にオーケストラも驚き、演奏は中断。流石にこの中では演奏できないと、すごすごと団員とフルトヴェングラーは引っ込んでいった。

 

 

しかし、客は帰らなかった。

電気が止まったということはもうすぐこの劇場も空襲されるかもしれない。

そうなるなら人生をフルトヴェングラーの音楽で終わらせたい。そう願ったからである。

 

一時間後、フルトヴェングラーとオーケストラは再び壇上に姿を現した。

彼らもまた、タイタニックの音楽家の如く、演奏しながら死ぬことを決意したのだ。

 

その時演奏されたのがブラームス交響曲第一番、第四楽章である。

この状況下ではモーツァルトの様な軽快な音楽は似合わないと思ったのだろう。

第四楽章のみなのは、それしか演奏する猶予がなかったためとも、そこしか録音する余裕がなかったからとも言われる。

 

 

この演奏自体は多くは解説したくない。

死に一番近い音楽その場の全ての人が必要とした別次元の音楽を皆さんの感性で聴いてほしい。

録音の音は良くなく、多くの上手い演奏家が戦死したため演奏も上手とは言えない。

しかしこんなに恐ろしく、痺れるような演奏はこの先滅多なことでは出てこないに違いない。

 

 

ちなみに同じ日、ギーゼキングというピアニストがベルリンでベートーベンを録音している。

そちらもフルトヴェングラーほどではないが凄まじい演奏である。何せ途中に空襲の爆撃音が入っているんだから。

 

www.youtube.com

 

*1:これについて掘り下げると、「芸術が宗教ではなく芸術自身を目的化した」なんて歴史にも繋がるけれど、

そういう難しいことはここには書かないよーん

Happy Ending/大滝詠一【2020】

師匠、お久しぶりです。

【Amazon.co.jp限定】Happy Ending (通常盤) (デカジャケット付)

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  • アーティスト:大滝 詠一
  • 発売日: 2020/03/21
  • メディア: CD
 

 このブログ、あまりに大滝詠一要素が強すぎ

コレを読んでくれている先輩に

「もう大滝詠一はやめろ」と言われましたが、

これ取り上げないわけにはいかないよね~!?

 

というわけでこちら。驚きの大滝詠一完全ニューアルバムであります。

生前大滝さんが言及されていた企画のひとつで

90年代以降の色々をまとめたものらしい。

まあ完全ニューアルバムとか謳っているが実際のところ未発表音源編集盤で

最近のナイアガラにありがちなあこぎな商法である。

 

しかし大滝詠一については80年代が人気の最高潮であり、

90年代になるともう渋谷系にとってかわられた過去の人の風で、

正直曲も以前のように前衛的ではなく、魅力が半減している感は否めない。*1

復帰作となった幸せな結末は一応ミリオン近いヒットとなり、

大滝曲の割に歌いやすいので今でもカラオケで歌う人が多い曲ではあるものの

全体的にのぺっとした印象のある曲で

大滝詠一の娘さんも「これは売れない」と言ったそうだ。

 

でも、僕にとっては一番最初に自分の意思で買ったCDであるので思い出深いことは確か。

高校時代になっても、友人たちと勉強しているときに

ロンバケ→Each Time→幸せな結末→ベスト盤のローテーションで聴いていたし、

科学の甲子園に提出するための実験をしていた時も、

理科室に延々と幸せな結末を垂れ流していた。

その為、僕の青春は大滝詠一酢酸エチルの香りとともにあったと言っても過言ではない。

 

そんな日々も過去になった先日、下のようなティザー動画が来た。

なにやら予てより告知されていた大滝詠一ニューアルバムの動画らしい。

www.youtube.com

 

最後の方に聴いたことのない曲が入っていて期待が高まる。

でもちょっとその動画、巻き戻してもらえるかい?

・・・

 

 

 

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既存曲のミックスが変わっている。僕でなきゃ見逃しちゃうね。

 

 

聴いた感じだと21世紀唯一の大滝曲「恋する二人」のミックスは

個人的には良い方向に変わっている風。

肝心の幸せな結末がオケなしの歌でどうだか分からないが・・・

 

また、内容についても発表直後から考察班がかなり動いており、

インスト主体のモノではないか

歌は過去発表曲の続編じゃないか

等いろいろ説が飛び交っていた。

 

アニメオタク顔負けの考察。

 

そう気をもみもみしていると、ある日Amazonから謎の小荷物が届いた。

 

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な、なんだこれはー(棒)

いったいいつ誰がこんなものをー(棒)*2

ちなみに一緒にどうぶつの森が届いた。 

 

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世界初・大滝詠一×どうぶつの森ツーショット



 

 というわけでたぬきち無人島へ案内されながら早速聴いてみる。

 

 最初はドゥーワップ×ビーチボーイズ風コーラス的な小品。 

90年代のアルバム出だしによくあるやつだ~!

渋谷系が好んだ奴だ~!

 

で、次に来る幸せな結末。

 

 

幸せな結末

幸せな結末

  • 大滝 詠一
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

が、なんとびっくりシングルと全然違う。

今まであったオケがかなり薄くなっている。

もはやこれは別物だと言っても差し支えないレベル。

 

上の動画で「オケなしVer」だと思っていたものは、

どうやらこのバージョンだったようだ。

傍から見ると非常にどうでも良く思われるかもしれないが、

こういうバージョン違いが好きなナイアガラーのニーズが分かってらっしゃる。

 

 スキャット的な小品を挟んで次へ。

恋する二人。

恋するふたり

恋するふたり

  • 大滝 詠一
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

こっちも散々聴いたシリーズに入る曲だが、やはりイントロが違う。 

 イントロをどんだけ変える気なんだこのレーベル。

この曲自体の話をすると、先にも話した通り、

2000年代に唯一大滝詠一の遺した曲であり、

幸せな結末よりかは、元の大滝詠一節が復活している感がある。

そして最後がフェードアウトではなく、

ベストの特典ディスクに入っていた版。

そんなん知らないって?じゃあ買おう。

 

次曲はイスタンブールマンボというオールディーズのカバー。

 (下はムーンライダーズによるもの)

イスタンブール・マンボ

イスタンブール・マンボ

  • provided courtesy of iTunes

 ムーンライダーズもきれいにまとめているが

大滝詠一版ももちろんカッコいい。

ボーカリスト大滝詠一の魅力を味わいましょう。

 

Happy Endで始めようは大好き。

Happy End で始めよう

Happy End で始めよう

  • 大滝 詠一
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

大滝詠一らしい前衛ノヴェルティ・ソング

これもバージョンが違い、三番の歌詞が違う。

ニコ動でしか聴いたことない草津バージョンである。

惜しげもなくレア音源を蔵出ししていくが、

一体この死人をこき使う商法はいつまで続くのだろうか。

 

そして提供曲のガラスの入江やDream Boyは本人歌唱じゃないインストなのが残念。

ガラスの入江

ガラスの入江

  • 松田 聖子
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

なんか途中でちょっとハミングで歌っているんだったら最後まで歌おうよ。ね、大滝さん、ね?

でも、なんかナイアガラソングブック風で爽やか。

 

そしてすごく珍しい大滝さんの他人の曲の歌唱。

 


佐野元春  ダンスが終わる前に

佐野元春作曲の「ダンスの終わる前に」。

でも編曲が井上鑑だからか、完全にナイアガラ色になっている。

デビューアゲインに入っていた「うれしい予感」の歌唱が思い出されるネ。

 

そして今作最大の目玉はSo Long

村田和人の曲ではない。

 どこにも出されていなかった完全未発表音源で、

ナイアガラーだったらこれだけのために3300円払う価値がある。

 上に張り付けたブログ記事でも言及されていたが、

これは大滝さんの提供曲、雨のマルセイユの兄弟曲らしい。


雨のマルセイユ : 市川実和子 1999

 

兄弟曲というのはあんまり他の音楽ファンにはなじみがないかもしれないが、

「キーを同じにすれば一緒に歌って綺麗にはもれるような曲」である。

つまり、YMOとOMYの関係に等しい。


YMO - Rydeen VS OMY - Ryzeen (Xtrax's Mush-Up)

 

ちなみに、さっき紹介した「恋する二人」も松田聖子の「風立ちぬ」の兄弟曲。

70年代にもよく兄弟曲を作っていたそうな。

 

 

こうやってみると、意外と90年代の大滝詠一70年代にやったことをブラッシュアップしてやってたのかもしれない感じがする。

アイドルプロデュースにしかり、それの兄弟曲しかり、オールディーズカバーしかり、はっちゃけたノヴェルティしかり。

あんまり目立った面白さがなかったので自分の中での90年代大滝詠一の評価は高くなかったが、

地味~~~な狂気が隠されているのかもしれない。

 

そしてアルバム内に混入していたのだが、なんだこの紙は。

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来年の散財決定。ありがとうございました。

裏にはかくしごとというアニメの宣伝が書いてありました。

EDが大滝詠一の超☆名曲君は天然色です。

君は天然色

君は天然色

  • 大滝 詠一
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

これはそれでも町は廻っているDown Townに続き

ナイアガラなアニメになりそうです。

見てみよう。

 

 

 

あ、ちなみにどうぶつの森の島の名前は「かなりあしょ島」です。(一つしかないけど諸島とはこはいかに。*3

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よろしくおねがいします。

 

 

 

 

*1:これに関しては、前衛的&テクノ的&高速になりすぎた当時のヒットシーンへのアンチらしい。

*2:一か月前の自分です。

*3:もっと細かく言えば、このゲームの島、気候区分的には日本と同じCfaらしいのだが実際のカナリア諸島はCsa-BShなので結構違う。

CQ/The Outsiders【1968】

何から何までオーパーツ

CQ

CQ

  • アーティスト:Outsiders
  • 出版社/メーカー: RPM
  • 発売日: 2011/03/28
  • メディア: CD
 

まず言いたい。 

このジャケ、60年代のアルバムのものに見えませんよね!?

こんなミニマムで未来的なジャケットが68年のものとは驚き。

さながらシュレーダーのごとき時代錯誤感。

ja.wikipedia.org

Oh,De Stijl...

 

さて、いきなり賞賛で始まったこの記事だが、

ジャケットだけではなく内容も含めて

オーパーツ的なアルバムである。ウン。

 

オーパーツ

高校時代、半ば無理やりオカルト研究会会長に祀り上げられ、

一応務めとしてオカルトを研究していたころ滅茶苦茶漁ったオーパーツ

オーパーツというのはご存じの方も多いだろうが、

「それらが発見された場所や時代とはまったくそぐわないと考えられる物品」

である。

Wiki調べ)

 

有名なのはアンティキティラの歯車

ja.wikipedia.org

いまでも完全にわからないほどの超・複雑&精巧な機械

1000年もの間失われた技術になってたらしい。

ただ、こういうもののほとんどは

「思いがけず時代を先どったようなものを作ってしまった」

ようなものが多い。

 

音楽にも「なんでこんな音楽この時代にあんの!?」みたいな

オーパーツ的なものがたまに存在する。

これもだいたい 「思いがけず時代を先どったようなものを作ってしまった」パターン。

 

しかし、エリック・サティという狙って先どった狂人もいる。


クラシック名曲 「音楽界の異端児」エリック・サティのメドレー5曲

あえて聴かれない「家具の音楽」を提唱。

半世紀後に現れるアンビエントやBGMの先駆けとも言われる。

100年以上経っているけど全く古くない。

僕の手元にある最高にふざけた解説に定評のある「荒唐無稽音楽事典」では

聴いてみたが、全部坂本龍一のパクリではないか。

訴えられるぞ。

荒唐無稽音楽事典-高木壮太

とあるほど比較的最近の曲にも影響を与えている。

僕も中学の頃に衝撃を受け、

初めて自腹で買った楽譜がサティの全集だった。

 

ロック的なのだとNeu!なんかが代表的オーパーツ


NEU! - Hero

こっちは狙ってやったわけではないが

72年時点でトランスを、

75年時点でパンクをやっている

なんだこいつら。

 

 

そして今回ご紹介するオーパーツもなかなか凄い。

まずこのThe Outsidersというバンドはガレージロック好きの人の間で結構有名なようで

オランダ出身のダッチ・ガレージバンドと言われる人。

さっきのシュレーダー邸もオランダの建物だったね。

ちなみに同名のバンドがアメリカにもあるようだけれど、今は忘れよう。

Time Won't Let Me

Time Won't Let Me

  • The Outsiders
  • ロック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

1,2のぽかん!読者はアメリカのThe Outsidersを忘れてしまった!

読者は新しくオランダのThe Outsidersをおぼえた!

 

 

このバンド、60年代のバンドがのべつまくなしにビートルズを連呼する中、

The Pretty Thingsストーンズをお手本にしたらしく、

メジャーなものに歯向かう姿勢が後々のパンクに通じるものがある。

ジャンル的には先述の通りガレージロックで

演奏もパンキッシュなのだが、

それでいて時代がらか結構サイケデリック

たとえるならヴェルヴェッツの2ndに似た作風。

www.youtube.com

僕の様な、あんまりパンクとかガレージとかを聴きなれていない人でも取っつきやすく

破壊と創造、というよりは純粋に楽しい感じのガレージである。

 

 上の曲がヒットし、一般によく知られているのもこれが収められている1stらしい。

が、なんだか今回ご紹介したいCQはなんだかすごいことになっている。

 

このCQ、先ほどの曲よりもさらにサイケデリックみが加速しており、

もはや80年代終わり~90年代初頭のオルタナに片足を突っ込んでいるようなアルバムになっている。

 

 

一曲目はガレージロックらしいもの。

Misfit

Misfit

  • The Outsiders
  • ポップ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 強烈なだみ声とかなり強気な演奏。

・・・CCRかいな。

CCR、すなわちクリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァルとは

オルタナの先駆け」とも呼ばれるガレージロックバンドだが、

こっちのほうが若干早いのでCCRのさらに先駆けともいえるかもしれない

 またこういうのは大概古臭かったりあんまりメロディらしいメロディがなかったりするが、

結構メロディアスで今でも普通にノリノリで聴ける。

 

 そのノリで二曲目に行こうとするとビックリする。

Zsarrahh

Zsarrahh

  • The Outsiders
  • ポップ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

CCRからドアーズへ華麗に転身。

サイケの風味が前の曲と比べ物にならないほど増し、

右ストレートを予測してたのに背負い投げされたような気分になる。

 

 でさらに3曲目ではサイケデリックそのものになる。

CQ

CQ

  • The Outsiders
  • ポップ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 リヴァーブガンガンかかった歪みギター+ノイズに加え

当時としては異例だっただろうポエットリーリーディング的語り。

もはやこれは何なんだ。

 

転身に次ぐ転身により哀れなリスナーたちは右へ左へと振り回されるが

このバンドの「芯」が 通っていて、意外と通しで普通に聴けるのが凄い。 

 でもアルバム自体が長いので正直だれるっちゃだれる。

この当時のガレージは個人的にはそう思っちゃうものが多い・・・

 

しかしながら、「周りがサイケやっている中、90年代を思わず先取りしてしまった」この音楽も

聴いて全く損はないとは思います。


The Outsiders - CQ - 1968 ( Netherlands )

MEMORY OF HOLO LOVE/The mellows【2020】

バンド型Vaporwave

 

 

音楽ファンの間では長らく「バンドは下火」と言われ続けている。

 こういうと、そこら辺にいる大学生どもは

「そんなわけないじゃーん(笑)髭ダンにKing Gnuいるじゃーん(笑)」

とか言ってきそうだが考えてみてほしい。

確かにバンド自体はまだ全然存在するが

髭ダン、King Gnuどちらも今までのバンドと同じものと言えますか?

 


「邦ロックあるある2」MV

↑こういうのじゃないよね。

こういうバンド群を劣化させたような「いかにもなオルタナバンド」、

Twitterで見かけた言葉を借りれば「ナンバガから知識と信念を抜き取ったようなバンド」は

この動画のように茶化されるような存在になりつつある。

 

「バンドはオワコン」というのは言い過ぎだが

明らかに一昔前のじゃかじゃかテレキャス鳴らしてればいいだけの邦ロックの波はサヨナラして、

PCのおかげもあって編曲面においてかなり手の込んだことをやっているバンド群が多くなってきた。

正直従来型の邦ロックは好きくないので面白い人が増えて有難い。

 

洋楽でもその傾向がかなり強く

 周りの人々も大体Tame Imparaを聴いている。

www.youtube.com

Tame Imparaはオーストラリアのサイケバンド

つい最近までCorneliusとかスカート的なソロプロジェクトだと思っていた。

全く音像がバンドっぽくないし、アー写一人で写っているし。

 

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おい他のメンバーどこやったんだ。他のメンバーを出せメンバーを。*1

 世界的にはこういう感じの、バーブがかかったような曲が流行っている。

 

こういう音像が流行っている一因にはVaporwaveの影響が欠かせないと思われる。

epocalcgarage.hatenablog.com上の記事でも多少触れたVaporwaveだが、少しだけ解説すると

「昔の音源を無許可でサンプリング・遅回しにして、適宜リバーブだのなんだのした音楽」である。

著作権侵害しまくり、JASRAC卒倒ものの

言うならば街に勝手に描かれたストリートアート的な存在なのだが

バンクシーの如き才能が各地で大量に現れたため

 昨今の音楽界はほとんどコレを中心に公転し続けている状態。

90年代における渋谷系的なポジションになっている。

 

 

そんなVaporwaveへの回答、と呼ばれているバンドがこのThe mellows

僕が以前から贔屓にしているバンドPictured Resortと同じSailyardレーベル*2出身である。

 

Sailyardというとミントを口に含んだような清涼感ある曲を出すイメージがある。

Pictured Resortはまじでいいぞ。使っている機材もナイス。

いつかライブ行きたい。

 

しかし!このThe mellowsはTame Imparaも驚くほどのサイケ!サイケ!!サイケ!!!

では聴いてみましょう。

 

このEPの一曲目がすべてを表しているといっても過言ではない。

最初に入る謎フレーズの後は執拗なまでの同じ演奏の繰り返し、繰り返し、繰り返し・・・・

ひぇ~この人たちVaporwaveをバンドで演奏しているよ~怖いよ~

PVはなんだかパチンコ屋のCMみたいな感じだが、

実際古いパチンコ屋のCMの曲にありそう。

しかしながら、上に入っている歌はそういうアンビエントな路線ではなく

昭和歌謡的でありつつも独特でこちらはこちらでなんだか不安になるメロ。

Lo-fiでノスタルジックな音像も合いまって子供の頃に歩いた郊外の暗い夜道が思い出されます。あの怖さに似ている。

 

名前の付け方もVaporwaveを意識しているらしく、意図的に崩壊させたりする。


The mellows - ⌘▼ E m p t y 適当な偶然に▼⌘

⌘▼ E m p t y 適当な偶然に▼って・・・

・・・最高じゃないすか!!

このPVではやはりVaporな映像の後ろにモノクロ映画が展開されているが、

この「最近のリヴァイヴァルと全く別の古いモノの折衷」というのがこのバンドの性格をよく表している気がする。

何かに似てそうなのに上手に形容できない不思議なバンド。

 

 

そんなThe mellowsだが、今回のこのアルバムを出すにあたってインタビューに答えている。

www.cdjournal.com

が、なんだか「無名だったから・・・」みたいな話がよく出てきて凄く好感が持てる。

彼らが自信をもって我々は有名だと言えるようになるのはそう遠くない気がするけどネ。

ライブあまり行かないのだけれど、The mellowsに関してはいずれ行きたいな。

 


The mellows - Plastic Time

 

 

 

*1:実際ほとんどこの人のソロらしいです。やっぱりか。

*2:有名インターネットレーベル・Local Visionsとは姉妹レーベルらしく、たまにLocal Visonsのフィジカル販売をしている。Tsudio Studioも僕はSailyardで知った。

音楽家のいいね欄をのぞいてみる。

見てみよう、みんなのいいね欄。

「いいね」を購入につなげる 短パン社長の稼ぎ方

「いいね」を購入につなげる 短パン社長の稼ぎ方

 

 

こんにちは。

先日黙って出してたオモコロ杯に綺麗に落ちたEPOCALCです。よろしくお願いします。

皆さん、好きな人の裏側というのは見てみたいものですよね。 

ちなみにこれにYesと答える人は正直者、Noと答える人は嘘つきというように

簡易的なウソ発見器として使えると言われます。

 

しかし、行き過ぎると良くありません。

僕の古い友人は好きな人をストーキングして問題になっていました。*1

人が見られることを意図しない所を見ようとするのは良くありません。

 

 

 

 

・・・逆に言えば、誰でも見えるところだったらいくらでも見ていいんじゃないか!?

そういうわけで今回は楽家のいいね欄を根掘り葉掘り見てみよう!!!!という

中々に性格の悪い企画になります。

 

 

川谷絵音の場合

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安定したネタツイに定評がある

楽家Twitterといえばまずはこの人でしょうから、まずはジャブ代わりに。

 

早速いいね欄を召還するとなんと意外や意外、わずか43いいね。

その厳選されたツイートたちをのぞいてみると・・・

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ああ、安心した。

我々が期待する川谷絵音像をいいね欄でも表現しようとする

トップスターとしての姿勢をひしひし感じる。

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あと、The Novembersが占める割合がめっちゃ高い。

結構昔からの付き合いがあるらしい。にゃるほどにぇ~。

 

後藤正文の場合

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こういうツイートこそゴッチだ。

基本的に左派に寄りやすいミュージシャンの中でもずば抜けて左なのがアジカン後藤正文氏だろう。

まあミュージシャンはそうあるべきだとは思うヨ。

さていいね欄は・・・

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ああ~そうそう、そういうの~!後藤さんに求めているのはそういうの~!

この「いかにも」な記事にいいねできるのは後藤さんだからこそできる。

普通のミュージシャンは、さすがにここまでのヤツはちょっと…と思うだろうが、

後藤さんは「まあ、ゴッチだしな」で終わる。ブランド力凄い。

・・・こんなこと書くと後藤さんが「言いたいことを自由に言えないのはおかしい」とか言い出す。間違いない。

 

坂本龍一の場合 

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さすが世界のサカモト、ほとんど海外向け

ご存知、坂本龍一

一応このアカウントはご本人もやっているらしく、たまに日本語で呟く。

いいね欄を見てみると・・・

 

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絶賛ユザーン中。

坂本龍一に言及しているツイートだから・・・というわけでは別にないようで

普通に面白がっていいねしているようだ。

 

ならばユザーンの場合

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そのネタツイ度は非音楽ファンにも知れ渡る

音楽界のネタツイの帝王・ユザーン。

本当は渋谷系末期に活躍したタブラの大名手なのだが、

僕のクラスの仲間内ではもうタツイの人という認識である。

坂本龍一をもうならせる笑いの源泉はどこから来るのだろうか。

 

 

 

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ご覧ください、このいいね欄。

新旧・オールジャンルのミュージシャン関連のネタツイのオンパレード。

このいいね欄を見たとき「すごい・・・」と呟いてしまった。

このような日々のたゆまぬ研究・努力の末、あのユザーンのネタツイが生まれたのである。

 

岸田繁の場合

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音楽理論を全員分かってる前提でツイートする

今度は言わずと知れたくるりの人。

気難しそうなイメージがある岸田さんだが、

どんなツイートにいいねするのだろうか。

 

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ん?

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え?

 

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 意外や意外、なんと岸田さん鉄オタだった。

音楽関係以外のいいねはほとんど電車関係である。

これほどであれば電車に乗るために意味なく旅行したり、

家に凄いNゲージ模型を作っているのかもしれない。

 

 

 カジヒデキの場合

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文化的な生活。

遅れてきた渋谷系とも揶揄されるカジヒデキ

渋谷系を代表する人物といっても過言ではないが、

いいねするものはどんなツイートだろうか。

 

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ヌーヴェルバーグ!!!!

 

 

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北欧!!!!

 

すっげー!本当にこの人根っからの渋谷系だ!

本当にこんな人物いたんだ!(失礼)

かなりの割合で北欧(主にスウェーデン)とヌーヴェルバーグにいいねしており

今まで文章でしか知らなかった90年代渋谷系の人を見られたような気がして

タイムマシンで実際に関ヶ原の戦いを見たような気分である。

 

あと、たまにカジさんが住んでいるのであろう地域のお得情報にいいねがついている。

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平沢進の場合

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Twitter史に残る伝説のツイート

20万フォロワーいる自称マイナーミュージシャン。

(コーネリアスオザケンのフォロワーの合計数くらい。ステルスとは…)

何を言ってるんだか分からない*2・連投ウザイと言われながらも

なんだかんだでネットで人気のある人物である。

そもそも、この人がいいねを付けることなんてあるんだろうか・・・?

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付けてた。13件。

また13とはなかなか「らしい」数字を・・・

付けているのはほとんどP-MODELのキーボーディストことぶき光氏のもの。

・・・が、ことぶき氏のツイートはもう言語として破綻しており、意味不明。

あと「事務所の入り口に鮭の切り身が二つ落ちていた」という謎ツイートにもいいね。

いいね欄もつかみどころのない人物だ・・・

 

 

一十三十一の場合

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犬派らしい。

 シティポップの女王一十三十一

もうかなりのやり手・古参ミュージシャンだが

 積極的に若いミュージシャンと関わっていこうという積極的な姿勢は衰えない。

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そんな一十三十一がいいねするのはかわいい家具やおいしそうなご飯。

今までのガサツな男たちとはうって変わって癒される。

 

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 ネタツ大魔神ユザーンも一十三十一の手にかかればこの通り。

あのタツイの嵐からよくこんな綺麗なツイート見つけてこれたものだ。

感服。

 

 

 

折坂悠太の場合

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基本真面目だが、たまに謎なことを言う

 最後は若手二人で締めましょう。

まずは新しくも懐かしいフォークを奏でる折坂悠太氏。

フォーキーな作風でありつつも棘がある折坂氏のいいね欄は・・・

 

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 西東京界隈のフォーク人脈のツイートにいいねを積極的にしている。

誠実の塊かこの人は。

折坂氏はかなり大物になってしまったが、

自分を育ててくれた土地への感謝は忘れない、温情の深い人物のようだ。

 

長谷川白紙の場合

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ふざけてるんだかないんだか分からないところが作風と似ている。

 若手その2。

変拍子音楽理論をゴリゴリに使った音楽性で

そして謎にダ・ヴィンチ・恐山からフォローされている長谷川白紙氏。
出すものすべて奇怪な人物だが、そんな彼がいいねするのは・・・

 

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マンスーン。

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mann。

すばらしく現代のツイッタラーの姿そのものである。

まあ21歳らしいので、当たり前っちゃア当たり前。

今まで見てきた人とは違って界隈とか関係なしに

割となんでも「ネタツイ」にいいねしている感じだった。

あの喩えようもない不可思議な音楽は

雑多に転がるインターネットのネタのような飄々とした姿勢を吸収して生まれたものなのかもしれない。 

 

 

 

ええ。この企画、オチなしです。

お疲れさまでした。

また気が向けばやる可能性があったりなかったりします。

ではまた。

 

 

*1:ダメゼッタイ。

*2:それでも最近は大分分かりやすくなった方

ⒸEPOCALC