何から何までオーパーツ。
まず言いたい。
このジャケ、60年代のアルバムのものに見えませんよね!?
こんなミニマムで未来的なジャケットが68年のものとは驚き。
さながらシュレーダー邸のごとき時代錯誤感。
Oh,De Stijl...
さて、いきなり賞賛で始まったこの記事だが、
ジャケットだけではなく内容も含めて
オーパーツ的なアルバムである。ウン。
高校時代、半ば無理やりオカルト研究会会長に祀り上げられ、
一応務めとしてオカルトを研究していたころ滅茶苦茶漁ったオーパーツ。
オーパーツというのはご存じの方も多いだろうが、
「それらが発見された場所や時代とはまったくそぐわないと考えられる物品」
である。
(Wiki調べ)
有名なのはアンティキティラの歯車。
いまでも完全にわからないほどの超・複雑&精巧な機械で
1000年もの間失われた技術になってたらしい。
ただ、こういうもののほとんどは
「思いがけず時代を先どったようなものを作ってしまった」
ようなものが多い。
音楽にも「なんでこんな音楽この時代にあんの!?」みたいな
オーパーツ的なものがたまに存在する。
これもだいたい 「思いがけず時代を先どったようなものを作ってしまった」パターン。
しかし、エリック・サティという狙って先どった狂人もいる。
クラシック名曲 「音楽界の異端児」エリック・サティのメドレー5曲
あえて聴かれない「家具の音楽」を提唱。
半世紀後に現れるアンビエントやBGMの先駆けとも言われる。
100年以上経っているけど全く古くない。
僕の手元にある最高にふざけた解説に定評のある「荒唐無稽音楽事典」では
聴いてみたが、全部坂本龍一のパクリではないか。
訴えられるぞ。
荒唐無稽音楽事典-高木壮太
とあるほど比較的最近の曲にも影響を与えている。
僕も中学の頃に衝撃を受け、
初めて自腹で買った楽譜がサティの全集だった。
こっちは狙ってやったわけではないが
72年時点でトランスを、
75年時点でパンクをやっている。
なんだこいつら。
そして今回ご紹介するオーパーツもなかなか凄い。
まずこのThe Outsidersというバンドはガレージロック好きの人の間で結構有名なようで
オランダ出身のダッチ・ガレージバンドと言われる人。
さっきのシュレーダー邸もオランダの建物だったね。
ちなみに同名のバンドがアメリカにもあるようだけれど、今は忘れよう。
1,2のぽかん!読者はアメリカのThe Outsidersを忘れてしまった!
読者は新しくオランダのThe Outsidersをおぼえた!
このバンド、60年代のバンドがのべつまくなしにビートルズを連呼する中、
The Pretty Thingsやストーンズをお手本にしたらしく、
メジャーなものに歯向かう姿勢が後々のパンクに通じるものがある。
ジャンル的には先述の通りガレージロックで
演奏もパンキッシュなのだが、
それでいて時代がらか結構サイケデリックで
たとえるならヴェルヴェッツの2ndに似た作風。
僕の様な、あんまりパンクとかガレージとかを聴きなれていない人でも取っつきやすく
破壊と創造、というよりは純粋に楽しい感じのガレージである。
上の曲がヒットし、一般によく知られているのもこれが収められている1stらしい。
が、なんだか今回ご紹介したいCQはなんだかすごいことになっている。
このCQ、先ほどの曲よりもさらにサイケデリックみが加速しており、
もはや80年代終わり~90年代初頭のオルタナに片足を突っ込んでいるようなアルバムになっている。
一曲目はガレージロックらしいもの。
強烈なだみ声とかなり強気な演奏。
・・・CCRかいな。
CCR、すなわちクリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァルとは
「オルタナの先駆け」とも呼ばれるガレージロックバンドだが、
こっちのほうが若干早いのでCCRのさらに先駆けともいえるかもしれない
またこういうのは大概古臭かったりあんまりメロディらしいメロディがなかったりするが、
結構メロディアスで今でも普通にノリノリで聴ける。
そのノリで二曲目に行こうとするとビックリする。
CCRからドアーズへ華麗に転身。
サイケの風味が前の曲と比べ物にならないほど増し、
右ストレートを予測してたのに背負い投げされたような気分になる。
でさらに3曲目ではサイケデリックそのものになる。
リヴァーブガンガンかかった歪みギター+ノイズに加え
当時としては異例だっただろうポエットリーリーディング的語り。
もはやこれは何なんだ。
転身に次ぐ転身により哀れなリスナーたちは右へ左へと振り回されるが
このバンドの「芯」が 通っていて、意外と通しで普通に聴けるのが凄い。
でもアルバム自体が長いので正直だれるっちゃだれる。
この当時のガレージは個人的にはそう思っちゃうものが多い・・・
しかしながら、「周りがサイケやっている中、90年代を思わず先取りしてしまった」この音楽も
聴いて全く損はないとは思います。