MEMORY OF HOLO LOVE/The mellows【2020】
バンド型Vaporwave
音楽ファンの間では長らく「バンドは下火」と言われ続けている。
こういうと、そこら辺にいる大学生どもは
「そんなわけないじゃーん(笑)髭ダンにKing Gnuいるじゃーん(笑)」
とか言ってきそうだが考えてみてほしい。
確かにバンド自体はまだ全然存在するが
髭ダン、King Gnu、どちらも今までのバンドと同じものと言えますか?
↑こういうのじゃないよね。
こういうバンド群を劣化させたような「いかにもなオルタナバンド」、
Twitterで見かけた言葉を借りれば「ナンバガから知識と信念を抜き取ったようなバンド」は
この動画のように茶化されるような存在になりつつある。
「バンドはオワコン」というのは言い過ぎだが
明らかに一昔前のじゃかじゃかテレキャス鳴らしてればいいだけの邦ロックの波はサヨナラして、
PCのおかげもあって編曲面においてかなり手の込んだことをやっているバンド群が多くなってきた。
正直従来型の邦ロックは好きくないので面白い人が増えて有難い。
洋楽でもその傾向がかなり強く
周りの人々も大体Tame Imparaを聴いている。
Tame Imparaはオーストラリアのサイケバンド。
つい最近までCorneliusとかスカート的なソロプロジェクトだと思っていた。
全く音像がバンドっぽくないし、アー写が一人で写っているし。
おい他のメンバーどこやったんだ。他のメンバーを出せメンバーを。*1
世界的にはこういう感じの、リバーブがかかったような曲が流行っている。
こういう音像が流行っている一因にはVaporwaveの影響が欠かせないと思われる。
epocalcgarage.hatenablog.com上の記事でも多少触れたVaporwaveだが、少しだけ解説すると
「昔の音源を無許可でサンプリング・遅回しにして、適宜リバーブだのなんだのした音楽」である。
言うならば街に勝手に描かれたストリートアート的な存在なのだが
バンクシーの如き才能が各地で大量に現れたため
昨今の音楽界はほとんどコレを中心に公転し続けている状態。
90年代における渋谷系的なポジションになっている。
そんなVaporwaveへの回答、と呼ばれているバンドがこのThe mellows。
僕が以前から贔屓にしているバンドPictured Resortと同じSailyardレーベル*2出身である。
Sailyardというとミントを口に含んだような清涼感ある曲を出すイメージがある。
Pictured Resortはまじでいいぞ。使っている機材もナイス。
いつかライブ行きたい。
しかし!このThe mellowsはTame Imparaも驚くほどのサイケ!サイケ!!サイケ!!!
では聴いてみましょう。
このEPの一曲目がすべてを表しているといっても過言ではない。
最初に入る謎フレーズの後は執拗なまでの同じ演奏の繰り返し、繰り返し、繰り返し・・・・
ひぇ~この人たちVaporwaveをバンドで演奏しているよ~怖いよ~
PVはなんだかパチンコ屋のCMみたいな感じだが、
実際古いパチンコ屋のCMの曲にありそう。
しかしながら、上に入っている歌はそういうアンビエントな路線ではなく
昭和歌謡的でありつつも独特でこちらはこちらでなんだか不安になるメロ。
Lo-fiでノスタルジックな音像も合いまって子供の頃に歩いた郊外の暗い夜道が思い出されます。あの怖さに似ている。
名前の付け方もVaporwaveを意識しているらしく、意図的に崩壊させたりする。
The mellows - ⌘▼ E m p t y 適当な偶然に▼⌘
⌘▼ E m p t y 適当な偶然に▼⌘って・・・
・・・最高じゃないすか!!
このPVではやはりVaporな映像の後ろにモノクロ映画が展開されているが、
この「最近のリヴァイヴァルと全く別の古いモノの折衷」というのがこのバンドの性格をよく表している気がする。
何かに似てそうなのに上手に形容できない不思議なバンド。
そんなThe mellowsだが、今回のこのアルバムを出すにあたってインタビューに答えている。
が、なんだか「無名だったから・・・」みたいな話がよく出てきて凄く好感が持てる。
彼らが自信をもって我々は有名だと言えるようになるのはそう遠くない気がするけどネ。
ライブあまり行かないのだけれど、The mellowsに関してはいずれ行きたいな。