Happy Ending/大滝詠一【2020】
師匠、お久しぶりです。
このブログ、あまりに大滝詠一要素が強すぎて
コレを読んでくれている先輩に
「もう大滝詠一はやめろ」と言われましたが、
これ取り上げないわけにはいかないよね~!?
というわけでこちら。驚きの大滝詠一の完全ニューアルバムであります。
生前大滝さんが言及されていた企画のひとつで
90年代以降の色々をまとめたものらしい。
まあ完全ニューアルバムとか謳っているが実際のところ未発表音源編集盤で
最近のナイアガラにありがちなあこぎな商法である。
しかし大滝詠一については80年代が人気の最高潮であり、
90年代になるともう渋谷系にとってかわられた過去の人の風で、
正直曲も以前のように前衛的ではなく、魅力が半減している感は否めない。*1
復帰作となった幸せな結末は一応ミリオン近いヒットとなり、
大滝曲の割に歌いやすいので今でもカラオケで歌う人が多い曲ではあるものの
全体的にのぺっとした印象のある曲で
大滝詠一の娘さんも「これは売れない」と言ったそうだ。
でも、僕にとっては一番最初に自分の意思で買ったCDであるので思い出深いことは確か。
高校時代になっても、友人たちと勉強しているときに
ロンバケ→Each Time→幸せな結末→ベスト盤のローテーションで聴いていたし、
科学の甲子園に提出するための実験をしていた時も、
理科室に延々と幸せな結末を垂れ流していた。
その為、僕の青春は大滝詠一と酢酸エチルの香りとともにあったと言っても過言ではない。
そんな日々も過去になった先日、下のようなティザー動画が来た。
なにやら予てより告知されていた大滝詠一ニューアルバムの動画らしい。
最後の方に聴いたことのない曲が入っていて期待が高まる。
でもちょっとその動画、巻き戻してもらえるかい?
・・・
既存曲のミックスが変わっている。僕でなきゃ見逃しちゃうね。
聴いた感じだと21世紀唯一の大滝曲「恋する二人」のミックスは
個人的には良い方向に変わっている風。
肝心の幸せな結末がオケなしの歌でどうだか分からないが・・・
また、内容についても発表直後から考察班がかなり動いており、
インスト主体のモノではないか
歌は過去発表曲の続編じゃないか
等いろいろ説が飛び交っていた。
1曲目の「Niagara Dreaming」とラストの「Happy Ending」はインストだと予想していたが、「ナイアガラ慕情」「ガラスの入江」「Dream Boy」もインストとは……。予想以上にインストが多いな。
— eclipse1228 (@eclipse1228) 2020年3月14日
アニメオタク顔負けの考察。
そう気をもみもみしていると、ある日Amazonから謎の小荷物が届いた。
な、なんだこれはー(棒)
いったいいつ誰がこんなものをー(棒)*2
ちなみに一緒にどうぶつの森が届いた。
というわけでたぬきちに無人島へ案内されながら早速聴いてみる。
90年代のアルバム出だしによくあるやつだ~!
渋谷系が好んだ奴だ~!
で、次に来る幸せな結末。
が、なんとびっくりシングルと全然違う。
今まであったオケがかなり薄くなっている。
もはやこれは別物だと言っても差し支えないレベル。
上の動画で「オケなしVer」だと思っていたものは、
どうやらこのバージョンだったようだ。
傍から見ると非常にどうでも良く思われるかもしれないが、
こういうバージョン違いが好きなナイアガラーのニーズが分かってらっしゃる。
スキャット的な小品を挟んで次へ。
恋する二人。
こっちも散々聴いたシリーズに入る曲だが、やはりイントロが違う。
イントロをどんだけ変える気なんだこのレーベル。
この曲自体の話をすると、先にも話した通り、
2000年代に唯一大滝詠一の遺した曲であり、
幸せな結末よりかは、元の大滝詠一節が復活している感がある。
そして最後がフェードアウトではなく、
ベストの特典ディスクに入っていた版。
そんなん知らないって?じゃあ買おう。
次曲はイスタンブールマンボというオールディーズのカバー。
(下はムーンライダーズによるもの)
ムーンライダーズもきれいにまとめているが
大滝詠一版ももちろんカッコいい。
Happy Endで始めようは大好き。
大滝詠一らしい前衛ノヴェルティ・ソング。
これもバージョンが違い、三番の歌詞が違う。
ニコ動でしか聴いたことない草津バージョンである。
惜しげもなくレア音源を蔵出ししていくが、
一体この死人をこき使う商法はいつまで続くのだろうか。
そして提供曲のガラスの入江やDream Boyは本人歌唱じゃないインストなのが残念。
なんか途中でちょっとハミングで歌っているんだったら最後まで歌おうよ。ね、大滝さん、ね?
でも、なんかナイアガラソングブック風で爽やか。
そしてすごく珍しい大滝さんの他人の曲の歌唱。
佐野元春作曲の「ダンスの終わる前に」。
でも編曲が井上鑑だからか、完全にナイアガラ色になっている。
デビューアゲインに入っていた「うれしい予感」の歌唱が思い出されるネ。
そして今作最大の目玉はSo Long。
村田和人の曲ではない。
どこにも出されていなかった完全未発表音源で、
ナイアガラーだったらこれだけのために3300円払う価値がある。
上に張り付けたブログ記事でも言及されていたが、
これは大滝さんの提供曲、雨のマルセイユの兄弟曲らしい。
兄弟曲というのはあんまり他の音楽ファンにはなじみがないかもしれないが、
「キーを同じにすれば一緒に歌って綺麗にはもれるような曲」である。
つまり、YMOとOMYの関係に等しい。
YMO - Rydeen VS OMY - Ryzeen (Xtrax's Mush-Up)
ちなみに、さっき紹介した「恋する二人」も松田聖子の「風立ちぬ」の兄弟曲。
70年代にもよく兄弟曲を作っていたそうな。
こうやってみると、意外と90年代の大滝詠一は70年代にやったことをブラッシュアップしてやってたのかもしれない感じがする。
アイドルプロデュースにしかり、それの兄弟曲しかり、オールディーズカバーしかり、はっちゃけたノヴェルティしかり。
あんまり目立った面白さがなかったので自分の中での90年代大滝詠一の評価は高くなかったが、
地味~~~な狂気が隠されているのかもしれない。
そしてアルバム内に混入していたのだが、なんだこの紙は。
来年の散財決定。ありがとうございました。
裏にはかくしごとというアニメの宣伝が書いてありました。
これはそれでも町は廻っているのDown Townに続き
ナイアガラなアニメになりそうです。
見てみよう。
あ、ちなみにどうぶつの森の島の名前は「かなりあしょ島」です。(一つしかないけど諸島とはこはいかに。*3)
よろしくおねがいします。