EPOCALC's GARAGE

本州一下らない音楽レビューブログ

Xレビュー【第一週‐1】・「daniwellP/MKLYPN」

新企画です。

 

~都内某日~

 

カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ

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一人で机に向かうEPOCALC(イメージ)

ああ...

 

f:id:EPOCALC:20201129223447p:plain最近忙しいわりに全く交流と言うものをしてないよ。人とは業務連絡以外で話していない。ああ!これもあれもコロナのせいだ...!!!

 

f:id:EPOCALC:20201129223447p:plainコロナさえなければ!!!コロナさえなければ音楽好きの人々とおしゃべりとかできただろうになあ!!!

 

 

 

果たして本当にそうかな ?????

 

f:id:EPOCALC:20201129223447p:plain何…!?誰だ...!?!?

 

 

ふふふ....私は....

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クロスレビュー博士だ!!

 

f:id:EPOCALC:20201129223447p:plainクロスレビュー博士!?!?

f:id:EPOCALC:20201129225316j:plainああ、あらゆるクロスレビューを一日18時間読み漁り、あまりにハマりすぎて会社からクビになったクロスレビュー博士というのは私のことだよ!

f:id:EPOCALC:20201129223447p:plainそんなにクロスレビューを極めた奇人が現世にいるとは...

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f:id:EPOCALC:20201129223447p:plainそれはそうと、博士といえば白髪のおじいさん。あなたはむしろIT系社長の雰囲気ですが...

f:id:EPOCALC:20201129225316j:plainそれはアインシュタインのイメージのせいだね。むしろ博士は私のような感じの人であることの方が多いよ。

f:id:EPOCALC:20201129223447p:plainそうなんだ。博識ですね。

f:id:EPOCALC:20201129225316j:plain一応Ph.D.(メディアデザイン学)だからね。

f:id:EPOCALC:20201129223447p:plainあ、まじで博士なんですね。

 

 

 

 

f:id:EPOCALC:20201129225316j:plainそれはそうと、君はさっきコロナのせいで交流が減っていると言っていたね。

f:id:EPOCALC:20201129223447p:plainええ、サークルでの会食とか大っぴらにできないですし。

f:id:EPOCALC:20201129225316j:plainなるほどね。でももしかしたら別の理由かもしれないよ。

f:id:EPOCALC:20201129223447p:plainえ、どういうことですか??

f:id:EPOCALC:20201129225316j:plain君が最近開いていないそのアプリを見てごらん。

f:id:EPOCALC:20201129223447p:plainインスタですか?ええ...

 

f:id:EPOCALC:20201129223447p:plainああ!友人たちが個人的に会ってなんかしてる!僕呼ばれてないのに!

f:id:EPOCALC:20201129225316j:plainそう、コロナのせいじゃない。君に現実の友人からの人望がなかったからなんだ。

f:id:EPOCALC:20201129223447p:plainクロスレビューのせいでクビになった人に言われたくなさすぎる...

 

f:id:EPOCALC:20201129225316j:plainだけど君にはネット上にたくさん音楽通の知り合いがいるようだね。

f:id:EPOCALC:20201129223447p:plainええ、現実じゃなくネットに頼るのはちょっとアレですが。

f:id:EPOCALC:20201129225316j:plainそういうときこそ音楽のクロスレビューをしてみるのは良いんじゃないかな?

f:id:EPOCALC:20201129223447p:plain確かにミュージックマガジンも新譜のクロスレビューやってますしね。

f:id:EPOCALC:20201129225316j:plainミューマガのはクロスレ"ヴ"ューだ。間違えないように。

f:id:EPOCALC:20201129223447p:plainはあ。それはそうとやってみることに越したことはないですね。

f:id:EPOCALC:20201129225316j:plainそう、名付けてXレビューだ!

f:id:EPOCALC:20201129223447p:plainクロスレビューそのままだとファミ通の商標にひっかかるんですね。

 

数週間後...

f:id:EPOCALC:20201129225316j:plain頼んでいた方からレビューが来たようだね!

f:id:EPOCALC:20201129223447p:plainさっそくみてみましょう!!

 

 

今回のお題

daniwellP/MKLYPN

 

MKLYPN

MKLYPN

  • 発売日: 2019/01/09
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

クロスレビュー博士からの一言

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今回EPOCALC君が選んだのはボーカロイドのアルバム。

daniwellPはNyan Catの作曲者として有名です。

しかし今作にはそれのオリジナルバージョンが入っておらず、かなり玄人向け

ボーカロイドでは、ある人にはかなりハマってある人には全く刺さらない、なんてことが他のジャンルより頻繁に起こりますが、

それがレビューにどのように影響を及ぼすのか見ものですね。

 

f:id:EPOCALC:20201129223447p:plainではまず僕のやつから行かせてもらいますね。

評1;EPOCALC(平民)

このところ、ボーカロイド界隈は縮小の一途を辿っているらしい。

確かに、十年くらい前までは全くボーカロイドを知らない人でも知っているような曲がいくつもあったが、

ナユタン星人の一連の作品以降、そこまで市民権を獲得している楽曲はほとんどないように思える。

 

これの理由は複数あるが、その一つに昨今流行りのトラックメイカーの台頭が挙げられるだろう。

彼らのやっていることは以前の非ロック系のボカロPに酷似してるものの、

ボーカルを自分や他のボーカリストで取ってしまっていたり、ボーカロイドを使っても「キャラ」的には使わず「楽器」として利用する。

例えばAOTQ氏やhirihiri氏は「あまりキャラとしてボカロを使いたくない」という発言をしている。

彼らは「ポストボカロP」ひいては「アンチボカロP」としての性格が強いのだ。

 

今回取り上げる「MKLYPN」は、そんな彼らへのボカロPからの返答のような作品だ。

作者のdaniwellPはNyan Catの作曲者。

ミニマルテクノの如く延々と繰り返すメロディを「Nyan」のみで歌わせるこの曲は、ボーカロイドを楽器として使う発想の先駆けであるとも言われる。

 

以降は意味のある歌詞付きの歌(とはいっても、初期大滝詠一の如く、意味を破綻させた節回しだ)を多く作っていたのだが、

ここにきてNyan Catの作風に回帰。今作ではその発展が楽しめる。

 

白眉は②「きみはツインテール」。この曲は彼が今作で何を伝えたいかがよく現れた、アルバム内でも非常に象徴的な一曲である。

www.youtube.com

 内容としてはNyan Catの手法に基づいた、ハナモゲラ+ループで成り立つもの。

音像は現代風にアップデートされ、初音ミクが歌うのも例の如く無意味な言葉の羅列。

その為か非常にボーカルが耳に心地よく、コードも多好感にあふれる進行で、展開がほとんどないのにも関わらず飽きることなく聴き続けられる。

Maltineあたりから出てても違和感がないほどにトラックメイカー的な曲である。

 

 

しかしながら、前面に初音ミクという存在が押し出されている点は画期的である。

同氏のNyan Catではニコ動のコメントに「ミクいる?」と頻繁に流れてくるほどに初音ミクは解体されていたのだが、

この曲を含め、今作では一聴すればすぐ初音ミク、もしくは鏡音リンレンと分かるほど。

ボーカロイドを「ボーカリスト」として使っているのである。

そしてなによりタイトル「きみはツインテール」に「これは初音ミクの歌であるのだ」という強い意志を感じる。

 

他の曲タイトルも鏡音リンレンのものは「Reft Or Light」、初音ミクの曲でも「YYYY」(これはニコ動を見ていた人ならすぐに分かるネタ)とかなりフレーバーに富んでいる。

 

 

このような「ボーカロイドのキャラ性を捨てつつもキャラとして成立させる」という実験が今作のテーマの一つであることは間違いなく、

「最近の曲は私が先にやっていました」、そして「あくまで私はボカロPです」という一種の対決姿勢とも見て取れる。

ちょうど山下達郎渋谷系一派へ「俺の方が先にやっていたんだ」と帯に書いたように。

そしてそれが後々「ポスト渋谷系」としてシティポップに回帰したように、

彼のワークスも「ポストトラックメイカー」として復古するかもしれない。

 

 ただ、やはりボカロP感が少なくなっているのは否めない。

 この路線で、よりキャラクター性を前面に打ち出した作品を待っております。

 

 

 

評2;ヨコザワカイト(MOZAIC MAGAZINE編集長)

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▶︎MOZAIC MAGAZINE – 端っこカルチャーを愛するWEBマガジン
▶︎ヨコザワカイト/『MOZAIC MAGAZINE』編集長 (@SW_Yokozawa) | Twitter

 

f:id:EPOCALC:20201129223447p:plainこの前寄稿してお世話になったところの編集長さんですね。この企画も半分この方主導です。

f:id:EPOCALC:20201129225316j:plain彼の記事では真面目そうな印象を受けました。どんな風に評してくれるでしょうか。

 

Nyan Catと1万時間

 

 daniwellPの『MKLYPN』。MKLYPNは収録楽曲の頭文字をとっている。

一億八千万再生を超えたご存知「Nyan Cat」の作者である。

ちなみに、10時間耐久動画も合計1000万再生を超えているからその中毒性は計り知れない。

後者だけで、時間にして1万年ほど再生されている。

youtu.be

 

本作『MKLYPN』も、フレーズをループさせることで少しずつ展開させるdaniwellPの手腕は健在で、その小さな展開的差異がとても心地よく、何度もアルバムごとループしてしまった。

気持ち良いものを何度も繰り返す、これぞ動画とともにある私たちの生活そのものである。

わかりやすい例がtiktok。アプリを開けば何回も同じ曲を聞くことになるが、その中毒性にやられ、動画作成者の微々たる個性の差異を脳の片隅で感じながら時間を潰していく。

 

以下は、依存症について解説したHPよりの引用である。
https://www.a-h-c.jp/article/4974

「行動が習慣化されるとともに、薬物を使用したのと同じように大脳辺縁系をめぐるドーパミンのネットワークが暴走し、「はまる回路」ができていきます。回路がフル稼動した状態が脳にとって「ふつう」になると、そうでない状態は退屈で色あせて感じられたり、自分が保てないように思えたり、あるいはひどい苦痛をともなうものになっていきます。そのために特定の行動を繰り返し、徐々にエスカレートするのです。同時に、ほかのことへの興味を失い、生活の幅が狭まっていきます。」

 

「繰り返す」という現代的な行為は、悲惨な現実からの逃避とともに蔓延し、多くのSNSの構造で利用されている。

あら、気がつけば、嫌な方に進んできてしまったので、話をアルバムに戻そう。

本作の最後の曲は、「Nyan Cat(Momo 10th Anniversary)」。Momoとは、昨年生誕10周年を迎えたUTAU音源「桃音モモ」のこと。繰り返しは、進化を持って肯定される。

「Nyan Cat」とともに、明るく、繰り返すくだらない日常をもう1万年ほど乗り越えていこう。

 

 

f:id:EPOCALC:20201129223447p:plainアルバムのテーマ「ループ」にそって展開してくださいました。

f:id:EPOCALC:20201129225316j:plainこのアルバムは現実からの逃避、存在しない楽園を描いているのかもしれませんね。その意味でシティポップ的かもしれません。

 

 

 

評3;浅井直樹(シンガーソングライター)

アバ・ハイジ

アバ・ハイジ

  • 浅井直樹
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

▶︎浅井直樹 : Naoki Asai (@Aber_Heidschi) | Twitter

 

f:id:EPOCALC:20201129223447p:plain伝説的なSSWの方です。まさかOKがくるとは…

f:id:EPOCALC:20201129225316j:plain調べてみましたが、昨年のベスト・リイシューアルバムとして柴崎裕二氏が4位に挙げられていましたね。幻想的な歌詞を書かれる方が評論だとどうなるのかに注目です。

 

2019年1月にリリースされた6曲入りのボーカロイド作品集。作者のdaniwellP は、ニコニコ動画で100万回再生を記録している人気ボカロPである。

 4つ打ちを基調としたダンス・ビートにのせて心地よい歌メロが繰り返され、まったく飽きさせることもなく、ずっと聴いていたいという気持ちにさせる。このループの快感はなかなかのもの。痒いところを最適なリズムで掻いてもらっているような感じとでも言おうか、曲が終わってしまう時にはやめないでくれ、と切なくなってしまう。

 

 この歌メロには、ポップというだけでは言い足りない、より普遍的な何かを感じる。試しにアコースティック・ギターをフォーク調で、あるいはファンク調で弾きながら本作の歌メロを口ずさんでみると、それがどんなアレンジにも耐えうるような強い骨格をもった旋律であることがわかる。ギター1本の伴奏だけでも成立してしまう楽曲の生命力は強靭。

 

 アレンジも流石。各パートが丁寧に必要なだけ配されており、過剰で耳ざわりな音圧とも無縁で大変聴きやすい。M2では、全体にかかるイコライザーがローからハイへ、そしてまたローへという周期で、寄せては返す波のような具合に処理されている。クラブ・ミュージックではよくある演出なのかもしれないが、私のような耳には新鮮だった。秀逸。

 

 さて、兎にも角にもボーカロイドである。なぜボーカロイドなのだろうか。かく言う私もボーカロイドで楽曲制作をしていた時期があったのだが、その理由のひとつは死人に歌って欲しかったからというものだった。生きてはいない人に歌ってもらえば、「からっぽな感じ」をうまく表現できるかもしれない、そんな風に考えていたと記憶している。

 

からっぽな感じ。時々思うのだけど、この世でいちばんリアルなものは空虚感ではないだろうか。虚無感と言ってもいいが、そうした自身の感覚と世界とをすり合わせ、調律し、歌わずして歌おうとする時、ボーカロイドは最適なツールとなる。

 

 さらに、本作の特徴であるループという手法もまた虚無的である。例えば父、という漢字を凝視し続けていると次第にそれが父とは見えなくなっていくように、ループは今鳴っている自身の音そのものを曖昧にする。  

 

このアルバムの魅力は、全編を覆っているそうした空虚感、虚無感にもあると感じ、その流れでミニマルやダブといった音楽も連想させられたのだった。

 

 それにしてもこの歌詞、何を歌っているのかまったくと言っていいほど聴きとれない。これ、もしもすべてが作者の造語だったりしたらさらに虚無っていてカッコいいんだけど、どうなんだろう。

 

f:id:EPOCALC:20201129223447p:plain作曲家の視点としてサウンド面、編曲面にも注目されています。音楽ライターだけでは気づきにくいポイントですね。

f:id:EPOCALC:20201129225316j:plain「虚無感」についての説明が、さすが作詞家、非常に美しいですね。ミニマル的な手法とボーカロイドは「存在しているのに非存在」ということで似ているのかもしれません。

 

評4;JMX(音楽ブロガー)

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▶︎http://www.mybackpages-jmx.com/

▶︎JMX (@JmxMbp) | Twitter

f:id:EPOCALC:20201129223447p:plain#みんなが選ぶ邦楽オールタイムベストアルバム100_In2020の主宰の方です。この企画の立案にも協力してくださいました。

f:id:EPOCALC:20201129225316j:plain数多の音楽を平等に知り尽くしているこの方のレビューには期待できますね。

 

 

恥ずかしながらボカロPなるものを一度も通らずに今までの人生を過ごしてきました。米津玄師ですら一二回PVを聴いた程度でして、今回ガッツリ初音ミクをフィーチャーしたアルバムを聴いたので、ある意味色んなバイアス抜きでレビュー出来るかもしれないし、逆に偏見にまみれたものかも知れないので、その点はご容赦いただくかフィードバック下さい。

 

daniwellP『MKLYPN-EP』
まずタイトルですね。この謎は簡単に解けました。それぞれの楽曲の頭文字を並べただけのものです。ここら辺の肩の力の抜けたセンスは全体を覆っていると思いましたね。

まぁ通ったことはないと言いつつも流石に初音ミク関連の何曲かは聴いたことがあって、なんだかんだで機械的な歌唱に反して結構エモーショナルな楽曲が多いと思いましたけど、本作はもう初音ミクを主体にしたというか完全に素材として使い倒したって感じのアルバムですね。

なので、全ての曲でfeaturing扱いになってますけど強ち間違いではないと思いました。

 

個々の楽曲について見ていきます。

 

1.MIKUUUUUUUUUU! (feat. 初音ミク)
テンション高めなタイトルに反してクールなジングル的小曲。本当にラジオのジングルととして使えそうなハイセンスかつおしゃれでクールなナンバーで、コレいきなり聴かされても初音ミク関連作品ってあんまり思わないんじゃ無いですかね。ちょっと歌詞を見つけられなかったんですけど、英語詩っぽい音をメロディというか装飾音的に使ってます。アメリカのラジオCMでめちゃくちゃ早口なCMがあったんですけど、それをキルスイッチでぶつ切り再生したようになってますね。

 

2.きみはツインテール (feat. 初音ミク)

うーん。コレも面白いっすね。

曲調的にはPerfume的な割とありふれたテクノポップなんだけど、やっぱり初音ミクが装飾音的に使われてて、歌詞は本当はあるのかも知れないですけど、一定のフレーズを英語にも日本語にも中国語にも聞こえるような言葉を歌わせてます。ミニマルミュージック的な使い方といってもいいですね。または初音ミクが適当になんだかわかんない言葉で仮歌を入れたような感じです。実はもう一般的な手法なのかもしれないですけど、コペルニクス的発想の曲だとおもいます。

初音ミクの歌唱の機械感がどうしても受け付けない人でもコレはありなんじゃないですかね。

タイトルが「きみはツインテール」ですけどまんまですよね。ここら辺の力の抜け具合も好きです。

 

 

3.LEFT OR RIGHT (feat. 鏡音リン&鏡音レン)
こちらはもっと普通のボーカル曲っぽい要素に寄せた曲。ポップに世界観をまとめられたシューティングゲームとかの選択画面で流れてそうな曲。リンとレンって頭文字的にLeft、Rightだよなって所がアイデアの出発点ぽいですね。

 

 

4. YYYYY (feat. 初音ミク)
スキャットマンジョンっていうミュージシャンがいて、その名の通りコミカルなスキャットを織り交ぜた癖になる楽曲で日本でも人気だったんですけど、そんな感じで初音ミクに高速スキャットをやらせたような曲。
生音に寄せたドラムの音色でパンクっぽい感じになってるのも面白いです。
ただ折角機械にやらせるからにはもっとエクストリームな事をやらせたらよかったのでは、そういうカタルシスも欲しいなと思ってしまいました。そこをあえておさえて上品に仕上げたかったのかも知れないですけどね。

 

 

5. PQPQ (feat. 初音ミク)
コレもコンセプトは他の曲と一緒。2曲目よりも素材的な要素が強い。タイトルも記号的。ぴこぴこサウンドだからPQPQなんですかね。

 

 

6. Nyan Cat (Momo 10th Anniversary) (feat. 初音ミク&桃音モモ)
daniwellPの代表作の再録らしい曲。原曲を聴いてみたが、桃音モモにひたすらニャンニャン言わせてる曲だったので、この頃から素材としてボーカロイドを使ってたんですね。今作ではそれが更に推し進められた感じになっていますね。

 

 

まとめ

というわけで素材として初音ミクを使い倒すというコンセプトがメインのEPでした。発想としてはどのくらい一般的なやり方なのかはわかりませんが面白かったです。

ただもう一歩踏み込んだ作品になった可能性もあったのではないかという気はします。初音ミクを素材として扱うのは良いのですが、それなら初音ミクである必然的もあまりないという気も同時にしちゃうんですね。それがこのEP最大の特徴であり、個性であり、弱点でもあるのかなと言う気がします。素材として初音ミクを使いつつもキャラとしての強度を利用することはできたのではと思っちゃいますね。

一見矛盾するようですが両立は可能だとは思います。

例えば2曲目の「きみはツインテール (feat. 初音ミク)」ですが、断片的な意味を成さない何語かもわからない歌にもう少し詩的に意味を持たせて、聴き手に何らかのストーリーを想起させる事は出来たのではと思います。

Life Without Buildings というバンドのLeanoverという曲が正にそんな曲で高速で様々な断片的な言葉が発せられる、ある種ポエトリーリーディングと歌の中間みたいな曲なんですけど、意味を成さないようでいて、断片的な言葉の間から確かなストーリーや情景が浮かんでくる様になっています。

これと同じにしろとは言わないけど、この2曲目に断片的でいいから歌詞を書いて、それをもっと練り込んで、意味のなさそうな言葉の羅列の中に、初音ミクのキャラクター性を活かした何らかのストーリーみたいなものが浮かび上がってくればもっと素晴らしい物になったのではないかと思いました

f:id:EPOCALC:20201129223447p:plainJMXさんはあまりボカロを聴いてこなかったということでしたが、非常に分析的に聴いてくださいました。内容がなんだか僕のレビューに似ている気も...(どちらも独立して書いています)

f:id:EPOCALC:20201129225316j:plainJMXさんは改善策まで提案されているので流石です。

 

 

 

 

というわけで、新企画、Xレビューをすることになりました。

選者の一人が毎週好きなアルバムを一枚選び、各選者のブログやnoteで日曜夜紹介する形になります。

選者はどしどし応募中です。こちらから声をかけさせていただくかもしれません。

今週はわたくしEPOCALCの選盤、まとめでお送りいたしました。

次週はMOZAIC MAGAZINEの方で纏められることとなります。よろしくお願いいたします。

 

 

 

 

ⒸEPOCALC