体感時間一枚組、内容三枚組。
なんだかよく知らないが、僕のTwitterのTLではボブ・ディランが超☆超☆超大人気だ。
これについては、ある博覧強記とも言える音楽好きの青年がディラン好きで
彼のフォロワーが互いにFFした結果、彼を中心にボブ・ディラン運命共同体的な何かができたからである。
ちなみに僕は一応当初からいるが、ずっとナイアガラーを標榜しディランについてよく知らない上、DMもリプも全くしないので
それをたまに覗き見るくらいにしか関わっていない。言っちゃえば部外者。ボッチ。陰キャ。
ただ、彼らのせいで「音楽詳しい人=ボブ・ディランファン」の等式が頭に刷り込まれたくらいには影響を受けている*1。
発起人たる青年は今はTwitter上にいないが共同体自体はまだ存続しているようで、
たまにディランやその世代のアーティストのヤバいレベルのカバーが飛んできてビビる。
BS15発売記念再掲うたいりえ。John Wesley Harding〜Self Portrait好きにはご褒美です。今年の年末調整は通常盤で済んで良かったなーと思ってたら来日発表でお財布が吹き飛びました。
— Soichiro Irie (@irienisotte) 2019年11月1日
いりえ:うたとウクレレ
しう: のこりぜんぶ
John Wesley Harding (Bob Dylan cover) https://t.co/YC1RYL2ZLY pic.twitter.com/rqqo02uNjW
C D で 出 せ 。サ ブ ス ク に あ げ ろ 。
僕はかの青年にフォローされるまでボブディランと言えばなんか村上春樹のキャラが好んでレコードを回す人、もしくはGAROというイメージだった。
かったすみっで きいっていった ボブ・ディラン~♪
↑これが高校時代までの僕のディランのすべて。
曲としては風に吹かれてくらい。
あとはノーベル賞とって断ってたな~って感じかな。
そのくらいディランについて無知・無蒙だった僕だが
次々TLに絶賛が流れてくるので、じゃあ聴いてみるかぁと
Book offで手にしたのが今回ご紹介するBlonde on Blondeでございます。
正直僕のフォロワーは僕なんかよりこれについて遥かに知っているだろうから
さあフォロワーの皆さんはここでお別れだ!バックボタンに手を伸ばせ!回れ右!バイバイ!アディオス!
そろそろ帰ったかな?じゃあ続けます。
いまはCD一枚に収録されているが
このアルバムはもともとLP二枚組だったそうだ。
僕は二枚組アルバムが基本的に嫌いである。なぜなら長いから。
一曲がいくら長くてもアルバム一枚45分程度で終わるなら良いのだが、
二枚組アルバムは本当に駄目。London Callingも海洋地形学もKAMAKURAも駄目だった。
どうあがいても飽きてしまうのだ。ほんの一部の例外を除いて。
調べてみるとこのアルバム、名盤として有名なHighway 61 Revisitedから半年ちょいで発売したらしく、
アレ出した後にコレをそのスピード感で作り出すのは良い意味で頭おかしい。
じゃあ聴いていきましょう。
一曲目はRainy Day Women #12 & 35からスタート。
Bob Dylan - Rainy Day Women #12 & 35 (Audio)
ちょっとマーチっぽいブルース。
裏に効果音的に入っている人の騒ぎ声や管楽器の音が凄くサイケ。
というかディラン自身も笑っちゃってるしね。
何やらお酒を飲みながらとったらしい。通りで・・・
なんだか気が抜けた感じもするけれど、
きちんと確固たる芯が通っている雰囲気があるのは独特の歌声のせいかな。
かなり明瞭な発音であんまり英語が得意ではない僕でも歌詞を聴き取れる。
ボーカリストとして最高ですね、この当時のディラン。
ものの本によると、歌詞が薬物中毒の隠喩であるとして色々規制されたそうな。
僕の敬愛する現国のエム先生が好きな歌でもあり、
「この曲のStonedっていうのは罪の象徴なんだよ、
この世に生きている限り罪ってのはあるんだと言ってるんだ、
これをドラッグソングっていうやつは間違っているね」
みたいなことを言っていた気がする。うん、あやふやだから言っていること違かったかもしれない。
好きな曲が多いこのアルバムだが、かいつまんでもう2曲紹介させていただく。
6曲目のStuck Inside Of Mobile With The Memphis Blues Again。
Bob Dylan - Stuck Inside of Mobile with the Memphis Blues Again (Audio)
このアルバムの中でも軽快な曲。オルガンの音が爽やかで小気味よい。
これ今動画貼って気づいたけど7分もあるんだね。
聴いている限りだと全く長いと思ったことがない。
さて今まで全く歌詞を気にしてこなかったが
今回記事を書くにあたって読んでみようと思い、実際読んでみた。
が、難しすぎて意味が分からない。
↓まだの方は見てみてください。
一行目の「Oh, the ragman draws circles」からもう異次元。
常人には古着屋が丸を描くさまを歌詞にしようという発想が出てこない。
どんな人生歩んだんだこの人。さすがノーベル賞級…
そして9番まである。もはや掌編小説の域。
アルバム最後の曲Sad Eyed Lady Of The Lowlandsも凄まじい。
Bob Dylan - Sad-Eyed Lady of the Lowlands (Audio)
この曲も長く、驚きの11分21秒。
プログレでもないのにこの長さ。世界で初めてレコード片面全部使ったロックらしい。
曲調としては温かくて優しいフォークソング。全体を通して曲調に特に大きな変化はない。
11分もあってずっとこの感じだとさすがに飽きる、かと思いきや
演奏や歌に適度な緩急があり普通に聴けてしまう。
歌詞もさっきのStuck Inside Of Mobile With The Memphis Blues Againに比べればまだ理解できる。
それでも十分難解だけどね。24歳でこれかいな。
情報量がとんでもなく多い。ちょっとこれは日本語にはできない芸当。しかも抽象的ときた。
でもローランドなる場所に住むある孤独な人への愛情だということは何とか分かる(小並感)。
この引用したブログ含め、複数文献によれば奥さんを思って書いた歌だとのこと。
こんなに素敵な歌を奥さんに書くとはきっとおしどり夫婦だったのだろう。
…と思いきや77年、不倫のため離婚とのこと。デスヨネ~*3
このアルバムの直後ディランは交通事故にあってしまう。これは僕も昔から知ってたから、詳しくない人も知っている有名な話だろうね。
その後のディランについて僕はThe Bandと2,3枚のアルバム、トラベリング・ウィルベリーズくらいしか知らないが、
ファンではない人からすると、交通事故に遭う直前のこのアルバムが最大瞬間風速だったんじゃないかと思う。
こんなにバラエティに富んでいる曲なのにもかかわらず、「節操ないな」と感じない奇跡的なバランス。
そして深く読み応えのある詞。独特で聴きやすい声。
多分、コレを超えるフォークロックのアルバムはもう出ないでしょう。
僕みたいな「ボブディランなんか知らね~」みたいな人もこれを聴いて全く損はないと思います。
Bob Dylan - Blonde on Blonde (full album)