聴くしかねえ・・・このBig Waveを・・・！！
Big Wave (30th Anniversary Edition)
- アーティスト: 山下達郎
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2014/07/23
- メディア: CD
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ビートルズが作った、「マジカル・ミステリー・ツアー」という映画がある。
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この映画、当時大衆や評論家から「ビートルズ最初の失敗」と言われ、大爆死したことで知られている。
今だったらTwitterで炎上し、すかさず知的風ハットがレビューしただろう。
ただ今では「PVの先駆け」として評価されることも多くなっているようだ。
しかしながらその一方でこれのサントラのほうは当時からかなり評判がよく、今でも名盤として崇め奉られている。
この中には有名な"Strawberry Fields Forever"や"All You Need Is Love"なんかが入っていて、普通に優秀な作品になっているヨ。
個人的なことを言えば
プログレ好きとしてはプログレのルーツ"I Am The Walrus"、
ナイアガラーとしては「空飛ぶくじら」の元ネタ"Your Mother Should Know"も見逃せない。
これ以後、著名なアーティストが携わったサントラについて「映画が爆死したのにサントラが名盤」という現象がたまに起こるようになる。
これをマジカルミステリー現象と（僕は）呼ぶ。
代表的なのはサザンの「稲村ジェーン」 。
入っている「希望の轍」は日本国民皆聴いたことあるレベルの有名曲だが
肝心な「稲村ジェーン」ってどんな映画なのか誰も知らない、知られちゃいけない。
あと離れ行くエボシラインって何？
今回取り上げるタツローの"Big Wave"もマジカルミステリー現象が起こった名盤で
このサントラの大本になるBig Waveなる映画は
「どうやらサーフィンの映画らしい」という情報だけが歩き回り
僕の周りの人物は誰一人とて見たことないし
タツロー自身も「映画はちょっとアレだった」という話をしている。
・・・なんて言ってたらYoutubeにフルで載ってた。
すとっぷ・えいがどろぼう（棒読み）
・・・たしかにちょっとアレですね。そして字幕が同時翻訳レベルの適当さ。
ただタツローが流れた瞬間に画が引き締まるのがめちゃめちゃ面白い。PVにしたほうが良かったのでは？
映画はこんなんだが、アルバムのほうはレッキとした名盤である。
このアルバムは
A面がタツローのオリジナル曲の英語歌唱版
B面がビーチボーイズのカバー
という構成になっている。
つまり英語で歌うタツローが堪能できる、という具合。
この際、英語で歌うにあたって
歌詞担当の外国人にみっちり指導してもらったそうな。
だからタツロー氏の英語歌唱はあんなに発音良いんですネ。
ではアルバムを聴きましょ。
アルバム頭はテーマ曲で華々しくスタート。
Tatsuro Yamashita - The Theme From Big Wave
「夏男」のイメージの具現化みたいな曲ですナ。
コーラスワークはもちろん、サビで一気に持ち上がる所もビーチボーイズ臭いですね。
映画の題材がサーフィンということもあって「サーフィン＆ホットロッド」な感じのビーチボーイズを意識しているのかもネ。
A面お勧めはなぜかベストに入らなかったこの曲。
Tatsuro Yamashita - Magic Ways
シティポップ特有のカッティングが頭から終わりまで聴けるぞ！
あ～イントロサンプリングして30分くらいに引き伸ばしたい～
きちんと”Clap your hands”といったところでハンドクラップを入れているのが良いですね。
このころのタツローは歌詞とアレンジをリンクさせることにハマっていたのか
竹内まりやの曲でも似たことやってた気がする。
てか大瀧詠一もこのころそんなことやってたわ。
あ、佐野元春も！
ナイアガラ界隈でちょっとしたブームになっていたのか。
B面のお勧めは何といっても"Darin’"のカバー！
原曲のイメージをそのままに84年当時のレベルまで押し上げているすさまじさ。
これタツローの新曲ですって言っても原曲知らなきゃ気づかなかったんじゃないだろうか。原曲に多少感じられた古臭さが消え失せている。
伝説の"Add Some Music To Your Day”での経験があるからこそできたカバーなのかもしれない。
さて実をいうとこの盤、海外人気ではFor Youより上だったりする。
Rate Your Musicという海外の音楽オタクたちが集うサイトの点数では
For Youが3.64点であるのに対して
Big Waveが3.71点である。
もっとも他の情報を加味されてランキングではFor Youが上になっている。
でも純粋な人気投票ならBig Waveが若干上ということなのかな。
やっぱり英語で歌っていたり、聴いたことあるビーチボーイズが入っていたりするからだろうか。
ただタツロー氏いわく「対象は国内だけに絞りたい」そうなので
外国にこびて英語の曲を作ることはなさそうだ。
ただ、今のタツローが歌う英語の歌を聴いてみたい気はする。
近頃大御所で流行りの丸ごと再録アルバム、これで作ってくれないかなぁ・・・
