𝓑𝓪𝓵𝓮𝓪𝓻𝓲𝓬 𝓒𝓱𝓻𝓲𝓼𝓽𝓶𝓪𝓼...
クリスマスソング何にするかの不毛な議論が白熱しつつあります今日この頃。Wham!と山下達郎が2021年にもなって毎冬しのぎを削っているとは80年代の人が想像できたでしょうか。JR東海おそるべし。
というわけで、クリスマスソングレビューを久しぶりにいたします...といってもクリスマスソングかスコブル怪しいですが...
この作品の入っているアルバム・1/2ダースの想い出のプロデュースは村田和人。おどろく方も多いかもしれない。
村田和人といえば山下達郎の愛弟子で、師匠を裏切り今年サブスク解禁されたのが記憶に新しい。
この通り山下達郎み全開*1であり、山下達郎関連のレコードが高騰する昨今ジェネリックタツローとして彼のレコードも人気がある。
またその手*2の人たちには90年代のガールズポップの諸作でなじみ深い名前のはず。
80年代はムーンレコードから何作かソロを出していたのだが、90年代は打ち込みに苦戦したりソロでパッとした売り上げを出すことができなかったりという状況で、裏方稼業で食い扶持をつないでいたらしい。
その為、Book Offに漂着した残骸の中に村田和人裏方期の作品が転がっていることがあるのだ。
中でも村田和人ファンの間で有名なものが田中友紀子の「君たちのくれた夏」と「1/2ダースの想い出」。二枚で一セットになっている。*3
君のくれた夏はその名の通り夏をイメージしたアルバム。
直球の村田和人節が聴ける、非常にハイセンスな内容になっている。
特に本作収録のSummer Vacationは本人も相当気に入っていたらしく、のちに竹内まりやと一緒にセルフカバーしたバージョンも残っている。
こちらはなんかロンバケ感が凄いアレンジ。
夏があれば冬があるわけですが、その冬サイドが1/2ダースの想い出。
一応前作の続きということで一曲目は「出会ったあの夏」というワードから始まる。
収録曲はやはりハイセンスなモノに満ち満ちておりどれも一線級のクリスマスソングとして扱えるようなものが揃っているが、個人的には優しい時間の中でを推したい。
正確無比なコーラス。一人コーラスは山下達郎インスパイアドな人はよくやる芸当だけれど、村田和人が頭一つ抜きんでているのに異論はないはず。
そして曲。完膚なきまでにオールディーズですね。特に最後のベースコーラス。
この手の打ち込み×オールディーズでパッと思い浮かぶのは山下達郎のGirl In White*4だけれど、それにSeasons Greetingのエッセンスをまぶしたような雰囲気があって良良良。成功が約束された組み合わせと言ってよいでしょう。
また、昨今のリヴァイバル的には所謂「バレアリック」的な解釈も可能なのが高ポイント。*5スティーブ・ハイエットみを感じる瞬間もちょくちょくあるよね。
勿論田中友紀子自身の歌唱力もなかなかのもの。田中友紀子自身による甘々コッテリな歌詞なのだが、さらっと聴かせてしまうのは彼女の声質と歌に依るところが大きいね。
シティポップにおいてはコーラスワークが効いている曲は夏が似合う曲でしょ!なイメージがあるけど、ビーチボーイズやスペクターなんかの古い例を持ち出すまでもなくこの曲を聴くといや本当にコーラスが輝くのは冬の情景を表した曲なんじゃないかと思えてしまう。
さて、このアルバムには他にも冬の佳曲が盛りだくさん。届かないX'masなる曲もあるんですが、YouTubeになかったので割愛。やいサブスク解禁しろ!
ちなみにファンからそもそも人気があったのに加えてBOOKOFFディガーの魔の手に落ちる例も増えており、ほとんど売りに出されていないのが現状。フィジカルを見かけたらすかさず買ってしまうのが良いかもしれない。
ちなみに僕は某ディガーさんに売ってもらった。ラッキー。