EPOCALC's GARAGE

本州一下らない音楽レビューブログ

2021年の新譜で良かったものを16枚並べる記事

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並べます。

年末年始と言えば、帰省、紅白、初詣、そして今年の年間ベストというのは江戸時代からの常識、知らない人はいないでしょう。

そういうわけで今回の記事は今年の洋邦混在年間ベスト15のご紹介です。これは国民の義務であり、最近ボドゲアリーナとToeicの勉強しかしてない僕も書くのです。ええ。

 

※一枚だけ、どうしても入れなくてはということでこの記事公開後に追加した作品があります。

 

16位 Back In Mono-The Courettes

Back in Mono [Analog]

Back in Mono [Analog]

  • アーティスト:Courettes
  • Cargo Duitsland
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まずジャケが最高。思いっきり某ロネッツの某名盤のパロディ。また、アルバム名も弾丸を気軽にぶっ放すことで有名なフィルスペクターの名言"Back to Mono"のもじりだね。

内容もオールディーズチックでウォールオブサウンド。あまりにも50年代の空気感が忠実に再現されており、本当に今年の新譜なのか???と疑問に思ってしまうほど高レベルに仕上がっている。

今年は結構オールディーズ的なニュアンスがある洋楽曲がちょこちょこあったのだけれど、今作はアルバム一枚に渡ってオールディーズに向き合った点で頭一つ抜けている。これから来る(かもしれない)50年代リバイバルへの一つの道しるべを立てたような気がする。


今年の新曲でオールディーズ調なものの例

また、単なる再現にとどまらないところがこのアルバムの偉大なところ。程よく歪ませたギターなどのガレージロック的要素もガールズポップに入れているのである。

僕の先輩のラモーンズ好き曰く「ラモーンズは50年代ガールズポップの影響がある」とのことだが、このアルバムはまさにラモーンズ+ロネッツみたいなことをやっているのではなかろうか。

 

15位 Sphere-Salamanda

Sphere

Sphere

  • Small Méasures / Métron Records
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韓国の二人組ユニット。でっかいトマトを持ち帰る健康的な宇宙人が描かれているジャケが印象的。

このSFチックなジャケなのでサイケデリックorアシッドな音世界が広がっているのかとおもいきや、意外や意外純粋なミニマルミュージックでなんなら自然派と言っても差し支えないような音作りの楽曲たちが揃っている。

本人たち曰く、スティーライヒに影響を受けたとのこと。でもライヒにはない、Mkwajuとかを彷彿とさせる土着的・民俗的な香りが随所から漂ってくる。もしかすると、ジャケに描かれているのは宇宙人ではなく天使かそれに準ずる使者なのかもしれない。


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また単なるミニマルというわけでもなく、音が急に変調したりノイズが挟まれたりと現代的なIDM風解釈もちょこちょこ挟まれているので新鮮に聴けるのも良良良。

 

14位 大土蔵録音2020 - 山田参助とG.C.R.管絃楽団

大土蔵録音2020

大土蔵録音2020

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VIDEOTAPEMUSICのアルバム内での客演でも知られる、山田参助による戦前歌謡のカバーアルバム。♪海はコバルト♪の歌詞で有名な「夏の行進曲」から全く無名な曲まで収録されている。

これの凄いところは戦前の機材を戦前の録音方法で、そしてアルバム名通り戦前に作られた土蔵で録音すると徹底してオリジナルのレコードと同じ録音を目指して作られている点。似たコンセプトの民謡クルセイダーズが全く新しいアレンジで見せているのとは対照的だね。

こう聞くと当時のものそのままだと古臭くなっちゃうんじゃ?と思ってしまうが、今までの録音ではありえない高音質で聴かされると下手な最近の音楽よりも新鮮に聴こえるので不思議。現代のリスナーが無視しがちな戦前歌謡の先進性にスポットライトを当てた点で唯一無二。

問題はサブスクにないこと。今年のアルバムでサブスクにない良作が結構あるのだが、一種の抵抗なのだろうか。

 

13位 The Heart Pumps Kool-Aid - Seth Graham & More Eaze


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こう見えてちょっと斜に構えたクラシカルな歌ものアンビエントアルバム。これほど外見と中身が違う物体に出会ったのは久々である。

Corneliusと青葉市子の「外は戦場だよ」という曲があるが、基本路線としては大体あんな感じ。音は基本的に最小限度にとどめられ「間」を主体としたドローンを主軸にしている。教会音楽っぽい空気感を感じる節々もあり、細かく調べれば宗教音楽由来の要素もいくつかありそうだ。

 

ただこのジャケを採用する人がそれで終わるわけがなく。突然チェロ等のインプロの断片や謎のデスボイスが挟まるなど、ただのアンビエントにとどまらない狂気も忘れていない。アンビエントはある程度の条件を満たせばなんでも許容できる懐の広さが魅力だが、そんなアンビエントの枠組みの広大さを思う存分に使いまくっている印象がある。

また個人的にはシームレスにつながっている箇所がちょくちょくあるという、曲再生が基本の現代としては時代錯誤な構成もイチオシ。しかもそれでいてちゃんとシャッフル再生で聴いても違和感が無いように作られているのは見事としか言いようがない。

 

12位 A Good Fool - Michael Seyer

A Good Fool

A Good Fool

  • Michael Seyer
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LA在住のSSW。Men I Trustのツアーサポートもしているらしい。

フィリピン出身だからか、東南アジアや台湾のインディーっぽいニュアンスを感じる空気感とシンセ使い。しかもそれがアメリカ的な音で鳴っているので、イワユル普通のベッドルームポップとは一線を画すものになっている。落日飛車とか好きな人にはおススメ。

 

また、昨今の三大流行・R&BAORアンビエントを巧みに組み合わせた、なかなかにハイセンスなことをしているのも特徴。ここら辺を取り入れている人もよくいたけれど、どの観点から切り取っても高水準にまとまっているのは流石。そもそも曲自体のレベルも高く、音楽に特段興味のない友人にも気兼ねなく勧められそうだ。

僕はSteive HiettのNever Find The Girlを思い出した。それの現代版と云うのが一番自然かな。


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11位 Close Your Eyes and Sing Me My Dreams - Henry Solomon


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こちらもLA出身、若手サックスプレイヤーらしい。今年は元Vampire WeekendのROSTAMの新譜に参加していたことでも彼の名前が挙げられていた。


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このように他人の曲でもお構いなしにお洒落なサックスを自由奔放に演奏していたが、ソロではそれがさらにさらに楽しめる。

今作は長谷川白紙のような、手数の異様の多い打ち込みドラムが鳴り響くベッドルームジャズともいうべき作品。PV等でVaporwave的意匠を引用しているところからも、そこらへんの影響も抜きにして語れないハズ。

特筆すべきは、手数の多さ故ハイパーポップじみているのだがミックスの妙なのかハイパーポップにありがちなノイジーな取っつきにくさは全くと言っていいほどなくされている点。ハイパーポップの一番おいしいところだけを丁寧に掬いとって提示しており、大変にリスナー思い。ここまで優しい音楽家はなかなかいない。友達になって

これからハイパーポップ入門としてこれを勧める機会が多くなりそうである。それほど良くできている。

 

10位 月の兎はヴァーチュアルの夢をみる - 月ノ美兎


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はい、ご存知VTuber界に多大なる影響を与えたこの方のアルバム。僕は(今や伝説になっている)この人の初回配信を生で見たことがあるので、ここまで来たか...と一種感慨深い気持ちになった。

ASA-CHANG&巡礼、長谷川白紙等々、作家陣が凄いのは言わずもがな。キャラものに豪華作家陣がついたという類似性から00年代初頭のNew Chappieと比較されている文章を何回か見かけたけれど、20年代初頭の文化を示す未来への資料と言っても良い気がするね。


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また凄いのはこれだけてんでバラバラな偉大なる作家陣を一つのアルバムとして提示できてしまう月ノ美兎のキャラ強度である。New ChappieはChappie自体の無個性によって音楽人たちに統一感を持たせていたが、今作は月ノ美兎のパワープレイにより偉大なる音楽家たちがまとめ上げられていると云う彼女以外にまねできない芸当で一作品に仕上がっている。しばらくこれ以上のキャラソンアルバムは出てこなさそうだ。

 

9位 第一集 - わがつま

第1集 [Analog]

第1集 [Analog]

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新進気鋭のSSWの新譜。前からサンクラで話題だったらしい。

飾りなし、純粋なる曲の良さだけで今年のベストに入れたアルバム。これほど曲が良いからこそ、ピアノで弾き語っているだけで成立するのである。ピアノ弾き語りはギター弾き語り以上に曲の良さが必要になるからね。

カネコアヤノや柴田聡子なんかと比べられることが多いような気がしたけれど、彼等より断然ポップサイドなのも特徴。またカネコアヤノが非常にシリアスに歌うのに対し、わがつまは肩の力を抜き、ある種牧歌的ともいえるようなボーカルとメロであるので今までの現行フォークとは全く傾向の違うものとして捉えた方がよさげ。

どちらかというと初期の折坂悠太の空気感の方が近いのかなという気もする。ただやはり折坂悠太ともまた別軸であるので、わがつまは一つの発明をしたと言っても良いかもしれない。


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8位 アトリエの小謡 - 鈴木雄大

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はい。この記事が16枚という半端な数値になったのはコレを追記でねじ込んだためです。この記事投稿直後に聴いたのだけれど、これはどうしても今年のベストに入れるべきと思った。

秋田のトランぺッター・鈴木雄大氏が自身の活動するアトリエ"studio"内で収録したアンビエント&ポストロックなアルバム。アンビエントよろしくそのアトリエの空気感がパッケージングされており、ヘッドホンよりもステレオで聴きたい。

「アトリエ」というだけあって音楽以外の芸術家も多くいらっしゃるようで、楽音以外に後ろで彫刻を削っている音やろくろの回転する音等の非楽音も入っている。そういった非楽音を含めたアルバムということで、どこか石原洋のformulaを彷彿とさせる作風。


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しかしながらformulaが都会の喧噪を主題としたのに対して、田舎の静けさ異種芸術の交差に焦点が当たっているのが特徴的。またこれを紹介してくださったレコ屋の店主さん曰く日によって聴こえ方が変わるとのことで、よりナマモノに近いものである気がする。

販売方法も独特。通販・店頭販売のみなのにCDはなく、各曲をイメージした紙にサンクラのダウンロードコードのみがついているという仕様。いかにもCDが入ってそうなパッケージにただ絵しか入っていないのは斬新すぎる。

7位 Sturle Dagsland - Sturle Dagsland


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今年のどうせみんな入れるやつ枠。他にはbetocover!!、そしてPrannoul。これ読んでる君もどうせどれか入れているんでしょ。

この記事でもたびたび言っていたかもしれないけれど、民族音楽的な要素をどのように入れるかという昨今の命題に一つの答えを出したのがコレ。この作風で真っ先に思い浮かぶのはArcaだけれど、ある種未来感のあるArcaに比べてこちらは土着の民間信仰の儀式のような土臭さがプンプンする。

もちろんArca的な未来感もあるので内容と楽音にズレができ、不可思議なニュアンスになっているような感じ。こういう点は大滝詠一的なノヴェルティ論が使えそうだ。宇宙人の実験材料にされて異形化したレッツオンドアゲイン見たいな風もする。これを聴いて難しく思った方はノヴェルティソングとして捉えると分かりやすいかもしれない。

あとこれ30分ないんですね。昔King Gnu初めて聴いた時も思ったけれど、最近の音楽は密度が高い。

 

6位 Pájara - Clara Presta

Pájara (RCIP-0324)

Pájara (RCIP-0324)

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アルゼンチンのSSWの新譜。去年アルバムが話題になっていたRodrigo Carazoも協力しているらしい。今作も、前にこのブログでも紹介したCarlos Aguirre Gruppoのようなフォルクローレ

大きな特徴として、多種多様なフォルクローレを取り入れている点がある。フォルクローレと一口に言ってもアルゼンチンは勿論、ブラジルのミナス派の人がやるのようなものから「コンドルは飛んでいく」のようなアンデス系まで様々。それをこのアルバムでは客演等を駆使して一つのアルバムに落とし込んでいる。意外と今までありそうでなかったコンセプト。

また、ただの良いフォークに終始しないのもアルゼンチンらしい。つづれ折るように同じフレーズが輪唱していくのはポストロック的な感性も感じさせ、アルゼンチン音響派にも多大なる影響を受けているのもよみとれる。現代フォルクローレの新スタンダードを示す意図があったのかもしれないね。

 

5位《水を掬えば月は手に在り》《FOUJITA》 - 佐藤聰明


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日本を代表する現代音楽家、佐藤聰明が近年携わった映画音楽二つをまとめたサントラ。前半の「水を掬えば月は手に在り」は中国のドキュメンタリー映画、後半の「FOUJITA」は日本の小栗康平の映画かららしい。

佐藤聰明といえば名盤と言われるのは太陽讃歌。これはピアノによる短いフレーズをディレイしていくミニマムミュージック。


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今作のジャケも太陽讃歌に似ているが、中身は全くミニマムではなくむしろ東アジアの音楽をどのようにして自然なオーケストラにするかという題目で作られている。

「水を掬えば月は手に在り」は監督の意向により杜甫の詩を参考にして作曲しているらしいのだが、中国のみならず和な邦楽要素もたっぷり。佐藤聰明は邦楽器を使って作曲するのに長けており、今作でもその邦楽器遣いを堪能できる。中国映画なのに...

FOUJITAは日本映画なのに逆に邦楽器は使わずオーケストラだけで勝負。おい、と誰しも思ってしまうが、こちらでは佐藤聰明の売りの一つ「無音を聴かせる」オーケストレーションを堪能できる。

昨今のサントラ盤でもかなり良い出来のもののはず。個人的には地元の仙台フィルを使っているのが嬉しい。

 

4位 Silence/Motion-Blackwater Holylight


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今回のベスト唯一のハードロックかつメタル。活動歴は長いらしく、今作は4thになる。

サウンド的にはサイケデリックドゥームメタルであるのだが、女性ボーカルの方の力が抜けきっておりまるでシューゲイザーのようなことになっている。しかもそのボーカルと一緒に時折デスボイスも炸裂するので、一体これは何なのだ・・・?という気分になること請け合い。

ドゥームメタルシューゲイザーの親和性についてよく議論がなされてきたが、ちゃんと実践し、ここまで高水準でまとめ上げたものは聴いたことがない。メタルというと他と比べて硬直したジャンルの印象があったのだが、これはあまりにも新鮮。考えを改めねばならない。今後この手のメタルバンドが増えることを願ってこの順位。

SleepとPixiesが一緒くたになった不可思議音楽を是非聴いてみよう。

 

3位 Doll's Love Songs - Boys Age

 


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Bandcampには去年の暮れに来ていたのだが、配信開始は今年なので今年のベストに入れた。著名な宅録作家のフルアルバム。

NieRシリーズのような退廃SFチックな世界観をローファイなシティポップ要素を用いてコンセプトアルバムで表現したアルバム。普通に曲のレベルが高いのはもちろんのこと、今の時代にコンセプトアルバムを出す意義、かすれた合成音声を使う必然性を持たせるコンセプトなど様々な点で画期的な作品。

長谷川白紙等の前衛を攻める宅録作家が多い中、あからさまに前衛狙いではない宅録ポップスがどうあるべきか答えを出した貴重な作品

ブログ記事にもしてあります。

epocalcgarage.hatenablog.com

 

2位 Searching for the Disappeared Hour - Sylvie Courvoisier & Mary Halvorson

Searching For The Disappeared Hour

Searching For The Disappeared Hour

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ギターとピアノによるアヴァンジャズ。恐らく即興演奏。

両者特殊奏法は当たり前。水に潜った時のような音を出すギターやミニマムなピアノフレーズが頻出し、洋館の廊下の不気味な深夜が想起させられる。ベートーヴェン「月光」の露骨な引用もあるしね。*1

ギターもピアノも一定のリズムを曲の最初から最後まで保つことはなく、互いに最も遠い位置を目指して演奏しているような印象さえ思えるほどズレにズレまくっている。が、決してバラバラではないのが不思議。なんなら夜のBGMとして実家で流してもあまり問題ないほどに聴きやすい。

とあるレビューでガラスの破片のようなアルバムと表現していたが、まさにそんな感じ。トゲトゲしさと美しさの共存が、このアルバムには内包されている。

またこの手の前衛ジャズアルバムは概して聴きにくかったり非音楽ファンには勧めづらい節があるのだが、これはその点もちゃんとクリアしてくれている。そんなアルバム滅多にないので高順位。

 

1位 心眼銀河 - 志人

templeats.net

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はい、今年のベストはこちら。志人の心眼銀河。日本語ラップの名MCの新譜。今年は絶対的名盤と言えるものが少なかったように思えたけれど、今作については頭一つ抜けていたように思う。

とりあえず以前記事にしたのはこちら。

epocalcgarage.hatenablog.com

この後これを聴いているうちに、これは一種のModern Timesへの返答なのじゃないだろうかと思ってきた。Modern Timesは2017年のPUNPEEの1stアルバムで、既に日本語ラップの名盤と言われている代物。


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これが出たときの評は次のようなものであった。

・様々なサブカルからのサンプリングを一つのテーマで回収した統一感

・隠しトラックなどのフィジカル面の仕掛け

・新しいヒップホップの立ち位置を確立した意義

心眼銀河は、Modern Timesに似た構造をしている。

例えば、心眼銀河はサブスクで配信されていない。一見不便だが、これはには大きな理由がある。それは届くときに分かるのだが、ネタバレになってしまうのでここでは伏せておこう。フィジカル要素が届くとき(=聴取直前)に分かるのは、Modern Times隠しトラックや小ネタが聞いた後の体験になるのと対になる。また、アルバムに関連する詩集などの作品もあり「フィジカルで出す意義」を意識しているのが伝わってくる。

また内容も古典文学から引用する彼の得意技は勿論、ラップの仕方も声明のようなものから文化系ラップのようなものまで、トラックもYAMAHAの機材を用いたパソコン音楽クラブ的アプローチをしている等々、様々な新旧日本文化を模したものになっている。それらを「心眼銀河」なる一つの哲学でまとめ上げているのじゃなかろうか。

さらに京都の山奥で木こりをしながら感じたであろう物事を記述していくスタイルは、享楽的な未来像への警鐘をならしたModern Timesとは別ながら似たストイックさがあるね。ヒップホップのみならず、文化のオルタナとして機能しているように思う。今までの志人の活動の集大成ともいえるかもしれない。

心眼銀河はModern Timesを真摯に受け取りつつ、それとは違う未来観を提示しているように思う。本当に輝ける未来とは、遠い田舎のような懐かしいものなのだ。その未来への澪標が心眼銀河に示されている。

 

 

今年は総じていかにして既存のジャンルから脱出するかというテーマがあった気がする。そろそろVaporwaveに次ぐ新しいジャンルの発見が必要になってきたころかもしれないね。

ここに入らなかった良いアルバムも多々あったので、是非こちらも参照してみてください。

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*1:𝙱𝙸𝙾𝙷𝙰𝚉𝙰𝚁𝙳

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