オルタナなのに渋谷系でクリスマスソング
cliché - しあわせの嵐 HIROMIX ヒロミックス カジヒデキ 堀江博久
前回はえらく古いクリスマスソングを長々とやったので
今回は後期渋谷系から手軽にクリスマスの曲を紹介。
非常に個人的な話だが、僕はあんまりカジヒデキが好きじゃない。
なんだかあまりに「渋谷系」過ぎてやけどしてしまうのだ。
このセンチメンタル~なかんじ。
当時から遅れてきた渋谷系と言われていたそうだが、
まさにそんな感じで、完璧すぎてなんだかなあ、となってしまう。
なので僕は2枚しか持っていない。
が、このclicheはなかなか良い。と言うか、カジヒデキの曲なのかコレ?と一瞬疑う。
歌っているHiromixとは誰かというと、カルチャーとしての渋谷系を代表する写真家。
写真はオタクな男性のもの、というイメージが強かった時代に現れた
デジカメやチェキ、写ルンですを用いて日常を写すガーリーフォトという一派の主導者で
いまのインスタ女子の系統の一番最初にいる人かもしれない。
なんだか今年の夏位から写ルンですが流行っているようだが
それはガーリーフォト・リヴァイヴァルなのかもしれない。
その人が何を考えたかアルバムデビューしちゃったというのがコレ。
カジヒデキや、今もコーネリアスのキーボードをしている堀江博久がプロデュースしている。
そのアルバムが下のもの。
かなり挑発的なジャケ写。
渋谷系の総本山Trattoriaからmenu.177。ガーリーフォトには自らのセミヌードも多かったらしい。
ちなみに僕はTrattoriaのコンピ・Prego!’99でこの曲を知った。
中古で安いし、この曲のほかにもいろいろ良い曲が入っていておススメ。
あと、Trattoriaコンピ全般に言えるがコンピのくせにトータルアルバムの性格を有している。
- アーティスト: オムニバス,コーネリアス,小山田圭吾
- 出版社/メーカー: ポリスター
- 発売日: 1999/03/25
- メディア: CD
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さてこの曲についてだが、なぜか知らないけれどこの通りオルタナチックである。
カジヒデキはポップの人だと思っていたが、こういう粗っぽい曲も書くのかと意外。
Hiromixはあくまで写真家なので、ボーカルがそんなに強くなく素人くさいのが
なんだかシューゲイザーっぽくて逆に素敵。
完璧と言えないアレンジや歌が完璧なカジヒデキの曲と合わさって絶妙なバランスになっているのかもしれない。
歌詞については専門家ではないHiromixが作詞しているからか、日常的で素朴な詞で
2000年一歩手前の渋谷のクリスマスがパッキングされている感じだ。
この曲に感じる「言いようのない懐かしさ」はどこから来るんでしょうネ。
特に後期渋谷系の曲からは僕が生まれる前の曲なのに
小さいころに行ったショッピングセンターに当時の最新アイテムが並んでいる様子が目に浮かぶ。
思うに、後期渋谷系は2000年代初頭のプロダクトデザインに強い影響を与えているのじゃないかと思う。
例えば子供のころに友人が面白そうにやっていた塊魂なんかのゲームには
サントラ含め、その影響がかなり反映されている。
でも、この時代以降こんな雰囲気の物品を見ていない。この年代が渋谷系の終わりだったのだろう。
そう考えると、渋谷系の残り香を体験できているだけでもありがたいネ・・・
とすれば、渋谷系が生まれたのが80年代終わり~90年代初頭なので
新しく生まれたカルチャーの最終形態が出てくるまでおよそ15年くらいかかるのかもしれない。
つまり、文化の寿命は15年くらいまでなのだろう。
そう考えると、割と辻褄が合う感じがしてくる。
まあ、色々抜きにしてもこの曲は良い。
僕がまだ生まれていない渋谷のクリスマスの景色が懐かしくなります。