VITAMIN EPO/EPO【1983】
No CALC, Yes EPO
まずおしらせ。このブログ、もうすぐ一周年です。やったね!
ただ、計算すると一週間に一回以上のペースで更新してきているので
さすがにこのブログのネタが切れて来た。
どうしようかなー方向性変えてボードゲームやMtG*1のブログにすっかーなんて思っていたこの頃、
思いがけないニュースが飛び込んできた。
J-POPの祖とも称されるあのEPOの初期作が配信解禁になったそうだ。
これはめでたい。
そして僕のHN・EPOCALCの直接の元ネタは大昔の表計算ソフトの名前なのだが、
この方EPOをイメージして付けた部分もかなり大きい。
これはレビューしない手はない。
EPOというと、古い歌謡曲を小学生の時分から好んで聴いてきた僕にとっては超超どメジャーな歌手なのだが、
最近だと比較的シティポップ等に精通している友人さえもあんまり知らない。
ちょっと悲しい。
EPOこと栄子*2さんは高校時代に組んだバンドがあるコンテストで優勝したところから音楽の道に進んだらしい。
ちなみに初期は大滝詠一作のCM曲を歌ったりしている。
上のクレジットにもあるけど、コーラスがまだ有名じゃない頃のラッツ&スター。
で出した1stシングルはシュガーベイブの名曲Down Townのカバー。
良い曲なので然るべきプロモーションをすればヒットしない訳がありませんね。
このカバーは「オレたちひょうきん族」のテーマソングになったらしく、
僕の両親はEPOといえばひょうきん族というイメージがあるらしい。
そしてあまり音楽詳しくない人にはDown TownはEPOの曲と認知されるほどだったそうな。
この曲もなかなかのヒットだったが、それを凌ぐ特大ヒットをぶちかますことになる。
それが、VITAMIN EPO収録の「う、ふ、ふ、ふ、」。
みんなしっているね。
資生堂のキャンペーンソングとして作られたもの。
当時の化粧品会社のCMソングは必ず流行ったというが、それを考えてもかなりのヒットを記録したらしい。
太刀打ちできたのは一風堂くらいか。
しかし恐るべきポップスセンスであり、古びてない。あと電波ソングっぽい。
今でもよくCMソングに使われるほど。
この二曲でEPOは竹内まりや、大貫妙子に並び称される存在になる。
しかしながら、当時のEPOは周囲から期待されるポップスシンガー像を重荷に思っていたそうで、
VITAMIN EPOにはそれへの反発が確かによく見てとれる。
まず表題作のVITAMIN EPOから結構やっちゃっている。
まあ普通の80年代ポップスだなーとか思っていると、サビがスキャットで不意打ちを食らう。
当時はサビが今よりさらに重きを置かれていただろうに、
サビ部分に歌詞を当てはめないというのはかなり斬新なことだっただろう。
次の土曜の夜はパラダイスも同時代のポップスの語法を使いながらも小ネタが光る。
間奏時に一瞬スキャットが入るのだが、
そこで四小節×2の8拍を5-1.5-1.5で割るという変態じみたことをしている。
似たことを大滝詠一もやっているが、それはまだ3-3-2と3-2-3の組み合わせなのでまだ穏やか。
半拍で割る譜割は当時としては異端だったに違いない。今でも結構変である。
こういう発想を当時最大のヒット曲の一つと同じアルバムで出すのだから、
なんだか変な人だなあ、と昔の僕は思って名前を拝借したわけです。
その後のEPOはロンドンへ移り住み、そこでブラジル音楽に傾倒。
カッコいい曲も残している。
もちろん、80年代全盛期の作風も健在で
あの土岐麻子のGift 〜あなたはマドンナ〜はEPOの曲だったりする。
でも80年代に比べるとちょっとブラジル音楽とかシャンソンの風味が入っているね。
ただの名曲だけど。
ちなみにEPO、ライブも結構変らしく、
胎教*3したり自作の童話を読み上げたりするらしい。
なんだか素直そうに見えてやっかいな優等生という感じである。
そういうタイプの生徒、絶対教えたくない。
*1:元祖トレカ、マジック・ザ・ギャザリングのこと。最近ハマっている。
*2:この名前をもじって、子供のころからエポちゃんと呼ばれていたらしい。