EPOCALC's GARAGE

本州一下らない音楽レビューブログ

I‘m Bored/44SUPER【2020】

日本人...!?Vtuber...!?!?

44super.com

 

前にも言っていたと思うが、僕は結構Vtuber古参ファンだ。(多分)

まあつまり「最近のVtuberはつまらん」とか言う面倒な奴なのだが今は置いとこう。

僕が主にVtuberを熱心に見回っていたのは本当に草創期~初期くらいのころ*1だったのだが

その頃から割と楽曲制作をするVtuberは多かったように思う。

有名どころだとミディ氏とかかな。

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あと、Vtuberという名前がまだなかったころにVRチャットで路上ライブするフォークシンガーがいた気がするのだが名前を思い出せない。情報提供ヨロシク。

 

 

このようなバーチャルなキャラクターと音楽は非常に相性が良い。

日本なら冨田勲パピプペ親父に始まり、それに影響を受けた初音ミクとかがそうだろう。

ゴリウォーグのケークウォーク

ゴリウォーグのケークウォーク

  • 冨田 勲
  • エレクトロニック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes
メルト

メルト

  • provided courtesy of iTunes

 

こんなシリアスな音楽でなくとも、アニメやゲームキャラが歌っている体で作られる音楽とかも含んでも良いかもしれないね。

千石撫子(C.V.花澤香菜なんて立派なバーチャルキャラクターだ。

 

洋楽でもゴリラズというまさにバーチャルなキャラクターを用いた著名なバンドがあるね。

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もっと昔でもZiggy Stardustがすぐに思い浮かぶ。

Starman (2012 Remastered Version)

Starman (2012 Remastered Version)

  • provided courtesy of iTunes

 

というか、ビートルズの「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」も

ビートルズ自身がサージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンドになり切り、

アルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」からサージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンドのライブ演奏をサージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンドのファンにお届けするという設定だったことを忘れてはならない。

 

 

とまあ、音楽ファンのスマートフォンに絶対入っている人だけでもこれだけあるが、

この世ではなんにでも名前がついているようで、このような形式のバンドをバーチャルバンドというようだ。

 

ちなみに起源を調べてみると思った以上に古く、少なくとも1958年のこの曲らしい。

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大滝詠一のレコード棚の中にシングル盤5枚は入ってそうなノヴェルティだが、

この曲に使われている早回しの声を(後付けで)Chipmunksというキャラクターにしたのが最初のバーチャルシンガーらしい。知らんかった。

ロックを踊る宇宙人とか帰ってきた酔っ払いとか多くのフォロワーを生み出した名曲。

このキャラクターは後にアニメになっていくらしいのだが

その過程がVtuberの逆ベクトルという感じでおもろい。

 

 

さて、ここまで長々々とバーチャルバンドとは何か?というのを見てきたが

この歴史に名を刻むような人が出てきた。

邂逅は何の気なしに見ていたオモコロチャンネルの広告。

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いきなりこれが流れてきたらビックリするでしょ!?!?

Youtubeの広告で大川隆法が出てきたときはアルゴリズム大丈夫かと思ったが

これに関してはここ数年で最高のファインプレー。 

 

彼らは44SUPERという。ご覧の通りバーチャルバンド。

最近ビリー・アイリッシュを流行らせたい音楽産業の手によって巷にあふれかえりつつあるbad guy系の音楽に近いのだが、

打ち込みが多い中でバンドでやる新鮮さよ。

まるでゆら帝が現代にアップデートして帰ってきた感じだ。



この妙にエロティックな雰囲気も似てるね。


 

そして重要なのはこの音楽性をこのキャラでやっているということ。

日本風のアニメキャラと言えば昨今流行りのシティポップ、トラックメイカーが好んでアイコンにしたがる存在である。

実際、この手のキャラが出てきたら十中八九Vapor絡みと思ってよい。

しかし、44SUPERは十中一二を取ったのである。クラブ音楽の対極にあるバンドサウンドを鳴らしたのだ。

名盤とされている「空洞です」ではないゆら帝のような。

 

そしてVapor系との対決姿勢が良く見て取れるのがこのPV。

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シティポップのアイコン的なリゾートを前面に押し出してこの曲である。*2

 

そしてよく見るとキャラも日本風ではあるのだが、どことなくカートゥーン

少女漫画由来の昨今のキャラクターたちとも一線を画すデザインだ。

 

これはVapor系のアーティストに対する強烈なアンチとみて間違いない。

やっていることが最早バーチャルバンドとかの域ではない。

 

こんなとんでもない音楽、どこの国の人がやっているんだ...と思ったらなんと日本の人だとのこと。

皆さん、これが日本の音楽ですよ。十年前だったら絶対に信用してない。

 

もう気に入ってしまって最近ずっと聞いている。めちゃんこ良い。

これだけ凄いことしてるんだからみんなTwitterフォローしてるんだろうな...と思いきや

知り合いの音楽筋では一人もフォローしておらず。

ネットで検索してもVtuberまとめサイトしか出てこない。

この記事の冒頭に貼り付けた公式サイトによると...

いや、公式サイトにも全然情報がない。あるのは謎の漫画。

 

44super.com

こら、設定大体ゴリラズじゃんとかいわない。

 

あとアニメもあるよ!やったね!

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絵柄に似合わずサイレントからめるみたいな作風。シュール。

 

非常に匿名性が高いからか、まだ一部のVRファンに支持されている程度で

音楽評論の俎上にのっかってはいないらしい。*3

いや、絶対注目すべき。ニコ動ならもっと評価されるべきタグを付けているだろう。

全国の音楽好き、音楽を愛する者たち、音楽を憎む者たち、全ての音楽関係者に伝われ。

 

 

 

 

*1:具体的には後ののらきゃっとのニコ動時代からにじさんじ二期くらいまで

*2:フラミンゴに象徴的。これは80年代都市音楽の代名詞的存在だったクリストファー・クロスのアイコンである。

*3:それでも最大20万再生行っているが

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