宮城県民、カミングアウト!
「地方CM」というのはとても面白いものである。
あんまりおもしろいので事あるごとにYouTubeで見ている。関西電気保安協会とか。
このCMのせいで関西人は保安を「ほーあん」と発音するというけど本当かいな。
こういった地方CMはその性質上、かなり閉じられたもので全国的知名度は低いはずなのだが
その地方の人にとっては当たり前なものなので特段気にされることがすくない。
実際、面白い地方CMが度々Twitterでバズっていることがあるが、
そのリプライに「えっ普通じゃないの!?」みたいなコメントがついていることがよくある。
その為、他県の人に紹介されずに燻っている名CM曲も多々あると思われる。
ただ僕の地元、仙台から何か名CMソングを一つ!と言うと、これが結構難しい。
というのも、仙台のCMソングは無駄に多いのである。
例えば八木山ベニーランドのテーマ曲は謎の中毒性があり、他県の人でも知っている人もいるんじゃなかろうか。
その知名度たるや、ベニーランドでググるとサジェストに「歌」がつくほど。
この他にもTBCだの三全だのメガネの相沢だの、挙げればきりがない。
そういや、だい久って仙台だけか。市販で一番旨い蕎麦。
そんな数多のCM曲中でも僕の気に入っているのは地元一の百貨店・藤崎のCM曲、「好きさ、この街が...」である。
藤崎は仙台一の百貨店である。
仙台人が何か高価なもの、大切なものを買うときは必ずここか仙台三越で買う。僕はスーツをここで仕立ててもらった。
江戸時代から続くかなり伝統的な百貨店であり、まだエレベーターガールがいるので県外の方はびっくりすること間違いなしだ。*1
なお、お笑い芸人の藤崎マーケットとは無関係である。(Wikipediaより引用)
そしてこのCM曲が作られたのは日本中がバブルに浮かれていた1980年代後半。
仙台市でも東北で初めて地下鉄が作られるなどイケイケだったようだ。*2
市内の民間企業も広告に全国的知名度を誇る女優や著名な挿絵画家を使ったりしたらしいのだが、
藤崎は仙台市内にその段違いな威光を示すため、ビリーバンバンの菅原進にCM曲を依頼。
そしてこの曲が出来上がったのである。
そして出来上がったのがフォーシーズンスを思わせるコーラスで始まる、素敵なシティポップ。
当時はやりのDXシリーズと思わしきシンセがガンガン使われているが、
FM音源を使った曲にありがちな薄っぺらさは全く感じず、歌詞のような風通しの良いアレンジ。
ちょっと寂し気な感じも漂うが、爽やかでありつつもどこか寂れたような雰囲気がまさに仙台そのものなのである。
さあみなさんも仙台の風景を見て聴いてみてください。
そしてなによりの特徴であると思うのだが「サビ」にあたる部分よりイントロやAメロが主役で
どちらかというとバース-コーラス形式になっている。CM曲でありつつも非常に意欲的な作品。
90年代のシティポップも再評価される昨今、オブスキュア・シティポップとして再評価されても良いのではないだろうか。
この曲が藤崎の店内はもちろんのこと、テレビ/ラジオのCM、ニュース内の藤崎からのお知らせコーナー等々、市内各所で流れているので、
仙台市民で知らない人はいないと言っても過言ではない。
サンドウィッチマンもこの曲を聴いて育ったはず。仙台市民の心の歌である。
さて、この曲のCDが欲しい!と思った方もいらっしゃるのではなかろうか。
しかしながら、この曲が入った市販の音楽媒体は驚くべきことにないのである。
伝説では藤崎関係者が希望すればCDがもらえるというが真偽はいかほどか。
これを入手するのはプリンスのBlack Albumのオリジナルより難度が高いことであろう。
しかし、店内で普通に高音質版が鳴っているということは存在していることは確か。
コレクターとしてなんとしてでも手に入れてやりたいところではある。
どうしても高音質で聴きたい方は藤崎の公式サイトで聴くことができる。是非聴いてみよう。
あと仙台市民からのおススメ文化としては四コマ漫画クレオ君シリーズも推しておく。
コボちゃんやサザエさんの系譜をひく、正しい新聞四コマみたいな作品である。*3
この古臭さが仙台である。