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本州一下らない音楽レビューブログ

彗星ハネムーン/ナユタン星人【2017】

ボカロから来た物体X。

 

ナユタン星からの物体Z(初回限定盤)

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皆さま、ボーカロイド音楽って聴きます?

こう僕の旧友に聞いてみると

「聴いていない」

「オタク用音楽」

「程度が低い」

 と散々な言われようである。

 

かく言う僕も中学時代は校内でも有名なアンチボカロ派

放送委員会書記の立場*1を利用し、ボカロの校内放送週一回までという不文律を作り上げた。

そんなことをしていたので、2chのアンチボカロ版を立てたのは僕だという噂*2が広まった。

ちなみに当時校内で頻繁にかかっていたのは千本桜やカゲプロの曲

ここに僕の邦ロック嫌いの萌芽が見て取れる。

今思えばメルトなんかを流してくれていれば僕の印象はだいぶ変わったと思うのだが、

当時ボカロ好きだった諸氏はもれなく今邦ロック好きになっているので

多分そこまで流したくなかったのであろう。

しかしながら、のちに割と馬鹿にできないジャンルだと気づくことになる。

 

確かボーカロイドをちゃんと聴いたのは高校2年のころだからかなり遅い。

ニコ動を徘徊していたころなのでおよそ平沢進と一緒に聴き始めた感じである。

それまでずっと旧い邦楽を聴いていた。大滝詠一万歳。

 

さて、ボーカロイドの曲には元ネタがしこんであることが多い。

ある程度音楽を聴いてから舞い戻ってみたとき「これってあれじゃん」みたいに何回かなった。

恐らくPに音楽好きが多いからだろう。

例えばこの前フォロワーと話題にしたNyanyanyanyanyanyanya!の元ネタ。

 

これはたぶんELPのHoedownだよねー、という話になった。


Emerson Lake & Palmer-Hoedown

結構、いやかなり似ている。

ELPはボカロ界隈から謎の支持があり、曲名が思い出せないがある音ゲーに収録された変拍子のボカロ曲がタルカスを引用していた記憶がある。

 

さっき言及したメルトも少しスーパーカーのcream sodaっぽくもある。


Cream Soda - Super Car スーパーカー

 というか、ryo氏はStorobolightsのカバーをやっているので多分そう。

 

 

そんな感じで元ネタ多めのボカロ曲だが、

今回ご紹介するナユタン星人彗星ハネムーは面白いところから引っ張ってきている。

 

そもそもナユタン星人とはどんなPかと言うとデビュー以降一気に有名になった凄い人。

シンデレラストーリーを地で行く人である。

多分、動画のヴィジュアルイメージが簡潔かつ強烈であり、キャッチーなダンスロックであるので

踊ってみたや歌ってみたが作りやすく、色々な動画に使われたからだと思われる。

あと、名前からわかる通り自称・異星人だそうだ。

マグマのコバイア星との関連はいかに。

 

では問題の彗星ハネムーンを。

 

 

まず、根底にはフジファブリックの銀河があるのが一目瞭然。

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まあでもこれは毎回のこと。ナユタン星人はフジファブリックのファンらしい。

 

重要なのは他の元ネタ。なんか似ている曲ありませんか?

そう、大滝詠一のさらばシベリア鉄道ですよ!

Aメロが似ている。大滝詠一をダンス風にした感じ。

歌詞の内容が似ているので恐らく意識的にやっていると思われる。

 

さらに歌詞中に出てくる「愛してモナムール」と言うのは

岩崎良美の曲名である。

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たいして有名ではないところから引っ張ってきますネ・・・ 

 

さらにさらに間奏部のラップには「ロマンス飛行」米米CLUBの曲名っぽいものが出てくる。

www.youtube.com

 

曲調も歌詞もなんだか全体的に80年代歌謡である。

これは確か投稿日に聴いたが、「シベ鉄!」と一人叫んだ気がする。

それくらい昭和歌謡風でありつつも自分のエッセンスを失わないのは凄い。

 

実はナユタン星人は古い音楽好きらしく、

CDのライナーで阿久悠がすき」というなかなか渋いことを言っている。

また、他のPとは比べ物にならないほど頻繁に歌詞やメロディに小ネタを引用しているため

ごくごく一部の人の間で渋谷系っぽい作り方」と評されている。

 

この曲までも様々な曲からの借用が多かったものの、

ここからリスナーの年齢層的に絶対に気づかないような元ネタを大量に入れ始めた。

挙句、今やピンクレディーとコラボしたりしている。古い曲が本当に好きなんだろう。

 

引用の多さ、そのデビュー以降からの活躍など

ボーカロイド界の小沢健二*3的な感じのナユタン星人だが、

渋谷系的存在が現れたということは何もしなければたぶんボカロシーンはこれから穏やかに死んでいく。

というかもうなっているか。

 

と言うのも、例えば渋谷系を例にとると

「もう良い音楽は生まれません!素敵な音楽全部引用してやります」

というなかなかニヒリズム的な考え方がベースとなっているからであって、

こういう人やジャンルの誕生はすなわちシーンの成熟を意味する。

例えば最近だとVaporwaveも同じような捉え方をされているネ。

ナユタン星人がそこまで考えているかは分からないけれど、

前述のとおりよくボカロ曲を引用して作っているのでその傾向がある。

 

さて、この状況を打開するうえで必要となるのは

「同じシーンから出てきた強烈なアンチ」

「全く違うシーンから出てきた回答」

である。

渋谷系であれば前者がサニーデイ・サービス、後者が中村一義もしくは椎名林檎

Vaporwaveであれば前者がFuture Funk、後者が現在のシティポップ

という感じだろうか。

現在のボカロシーンの衰退もこの二つがあればどうにかなるかもしれない。

がんばれ、ボーカロイド

 

初音ミクはなぜ世界を変えたのか?

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*1:実質委員長より格上。書記に権限が集中したのは共産圏と中学時代の僕だけと言われている。

*2:違います。

*3:作風全然違うけどね!

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