A LONG VACATION/大滝詠一【1981】
Breezeが音楽界を駆け抜ける。
一発目はこれに決めていた。記念すべき日本のポップスの金字塔である。
日本人であり、かつ音楽好きなやつは絶対これを聴いているといわれる、名盤。
ちなみにこれと双璧をなすのがYMOのSolid State Surviverね。テストに出るよ。
ナイアガラー(大滝詠一ファン)なら誰でも覚えているその日付、1981/3/21発売の今作は、
当時流行っていた「なんとなく、クリスタル」っぽい雰囲気
大衆に好意的に受け入れられ、世界初のCD化アルバムの一つになり
そしてアルバム&CD合計で100万枚売り上げる快挙をなしえたアルバムでございます。
大滝さんの前作は1000枚行かなかったことで有名な「レッツ・オンド・アゲイン」だから対比が凄まじい。
確か多く見積もって800枚だったっけ。
なのでこのブログでは、「800枚=1オンド」という単位をたまに用いていくよ。
つまりロンバケの戦闘力は1250オンドだね!わっかりやすい!
ロンバケは今でもシティポップのお手本として山下達郎のFor Youと一緒に紹介されることも多い。
- アーティスト: 山下達郎,ALAN O’DAY,吉田美奈子
- 出版社/メーカー: BMG JAPAN
- 発売日: 2002/02/14
- メディア: CD
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ジャケットの絵もあっちが鈴木英人なのに対し、こっちが永井博とちょうど良い感じに対比になっているネ。
海外の人に邦楽ポップス勧めるときもこの二枚渡しとけ感はあるね。
近頃のシティポップブームによってこのアルバムの海外の評価も高い。
・・・と言いたいところだけど全然なんだよね。もうびっくり。
一回TVで外国人が買っていったのを見たことあるが、リアルではタツローや
あんまりリズムが強調されていないからだろうか。
思えば似ている路線でも、海外人気もある佐藤博のawakeningはリンドラムがしっかり入っている。
リズム以外も聴いとくれ。めっちゃ良いからさぁ~・・・
僕が大滝詠一に邂逅したのもこのアルバムの一曲目「君は天然色」だったと思う。
幼いころからピアノとか音楽チックなことはやらされていたけど、
それはあくまで「やらされていた」ものであって、
それまでは音楽に興味があるとはほぼ言えなかった。
もし一流のピアニストが小学生の僕を見たら
「あー、この子はピアノやめさせてあげたほうが良いですよ」
といったはずだ。それほど僕は音楽に興味なかった。
しかし、運命が変わったのは忘れもしない2013/12/31、
紅白歌合戦のインターバルでのニュースであった。
「こんばんは。ニュースの時間です。
昨夜、「君は天然色」などで知られるミュージシャンの大瀧詠一さんが亡くなりました。」
蕎麦をゆでていた母親が「ええ!」と目を丸くした。
ソファでくつろいでいた父親が立ちあがって「大滝詠一死んじゃったの!?」と口を開けた。
僕はここまで驚く両親を見るのは初めてだった。
その時、初めて僕は「大滝詠一」の名を知った。
その後、家では紅白そっちのけで大瀧詠一哀悼企画が組まれ、親の持っている数少ない大滝詠一音源が年越しまで流れ続けた。大滝詠一について人並みの知識しかない僕の親でこうなったのだから、ナイアガラーの家ではさぞ恐ろしいことになっていただろう。
親の持っていた大滝詠一はわずか二枚だった。ロンバケとビーチ・タイム・ロングというベストアルバム。どっちもそれまでほぼかけていなかったように思う。その二枚から父はまずロンバケをかけた。
初めてロンバケを聴いたあの時をやはり忘れることはできない。
君は天然色、カナリア諸島にて、雨のウェンズデイ、恋するカレン・・・次々とステレオから流れてくる音の洪水に中学生の僕は衝撃を受けた。
なんだこれは。
こんなに穏やかなのに激しさを感じる。
こんなに遊んでいるのにポップスとして整っている。
こんな素晴らしい音楽がこの世にあったとは・・・
ちょうどこのころの僕は昼の放送で流れてくる邦ロックに飽き飽きしており、こんな面白くもきれいでもない上アーティストごとの差も感じないような曲の何が良いんだ、と思っていた。
そこに現れた大滝詠一であった。
その日の僕はそれまでの音楽を変えてしまったビートルズや
行き詰っていたロックシーンに現れたニルヴァーナに対して当時の人が受けた衝撃と同じ、もしくはそれ以上の何かを受けたんだと思う。
その日から僕は父親からロンバケ(選版)を貸してもらい、PCに入れてずっと聴いていた。それが僕が初めて自分から聴こうとした音楽だと思う。
そしてその日から僕は音楽への興味を持つことができた。
中学のころ吹奏楽部にいたが、僕のことをさんざん馬鹿にしていた先輩に
「めっちゃうまくなったね。何があったの?」
と言われることもあったし、
なぜか今までピアノで弾けなかった曲が突如弾けるようになる等、怪奇現象が多発した。
今思えば、すべて大滝詠一のおかげだろうと思う。
「音楽」とはなんぞやを教えてくれた。非常にありがたい。
その後僕はナイアガラ学生として数少い小遣いを大滝詠一に充当する生活が続くことになる。母に心配されたほどだったと記憶している。
ロンバケは今聴いても当時と同じくらいの衝撃をもって迫ってくる。こんな音楽後にも先にもないだろうなぁ・・・
Eiichi Ohtaki (大瀧詠一) - A Long Vacation [Full Album]